アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

てれびくんデラックス愛蔵版『SSSS.GRIDMAN超全集』レビュー

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思えば「てれびくん」を手にしたのは何年振りだろう。

子どもの頃よく遊んだM君の家には必ず最新号があった。なぜか「コロコロコミック」しか買ってもらえなかった僕は,毎月のようにM君宅を訪れては,M君そっちのけで「てれびくん」を読ませてもらっていたものだ。この雑誌は,テレビがあらゆるメディアの中心にあり,特撮ヒーローものが何より憧れであった当時の僕らにとって,とても貴重な情報源だったのだ。今,テレビは“中心的メディア”とは言い難い状況になってしまったけれど,子どもが,そして子どものまま大人になってしまった僕らが,本当に面白いと思えるコンテンツの本質は変わっていないのかもしれない。それは「てれびくん」のような雑誌がずっと続いていることが証明しているように思う。

その「てれびくん」の関連書籍である「てれびくんデラックス」から,『SSSS.GRIDMAN超全集』が刊行された。『SSSS.GRIDMAN』は1993年の特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』を原作とし,2018年に放送されたアニメである。アニメでありながら,特撮モノへのリスペクトに満ち溢れ,様々な作品へのオマージュや引用をあちこちに散りばめながら,独特の世界観と空気感の演出で視聴者を虜にした本作。この『SSSS.GRIDMAN』の「超全集」に,かつて販売された『電光超人グリッドマン』の「超全集増補改訂版」を加えたセット販売とあって,まさにファン必携の商品となっている。

『SSSS.GRIDMAN超全集』

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『SSSS.GRIDMAN超全集』p.60より引用

『電光超人グリッドマン』が未就学児から中学生くらいまでをターゲットにした〈子ども向け特撮〉だったのに対し,『SSSS.GRIDMAN』はいわゆる〈オトナアニメ〉の部類に属するのだが,「てれびくん」がもともと児童向けの雑誌であるためか,すべての漢字にふりがながふってあるのが味わい深い。 

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『SSSS.GRIDMAN超全集』p.67より引用

付録には「きせかえペーパーフィギュア」。裕太のコスプレもちゃんとある。

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『SSSS.GRIDMAN超全集』p.69より引用

「卓上ミニミニジャンク」のペーパークラフトも付いてくる。「やまおり」「たにおり」というワードを何年振りに目にしたことだろう。

この他,監督や声優のインタビュー,各種考察,水沢夢のノベライズなど,ファン必見の情報が満載である。全88頁と薄めの書籍だが,1頁に情報がぎっしり詰まっている。この詰め込み方も実にうまい。

 

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『電光超人グリッドマン超全集』

これも素晴らしい。企画当初の裏話や,特撮監督の佐川和夫のインタビュー,怪獣のデザイン画など,今では目にすることが難しい情報がてんこ盛りだ。

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『電光超人グリッドマン超全集』p.52より引用

怪獣のデザイン画は,まるで図鑑を読んでいるように楽しい。25年も前の作品だけに,すべての頁にノスタルジックな空気がぎっしり詰まっている。

『SSSS.GRIDMAN』は独立した作品ではあるが,『電光超人グリッドマン』を知っていた方が面白さが10倍増すと断言できる。そういう意味でも,今回のセット販売はありがたい限りだ。

 

販売から間もないが,すでに品薄の状態になりつつあるようだ。現在,いくつかのショップではまだ販売しているようなので,早めに入手しておいた方がいいだろう。

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『SSSS.GRIDMAN』は,オタク新旧世代の感性をうまく接続し,幅広い層が楽しめる作品だった。その『SSSS.GRIDMAN』を,1976年の創刊以来,特撮やアニメを見つめ続けてきた「てれびくん」が特集することには感慨深いものがある。

オタクは世代ごとに感性が異なる。それは間違いない。しかしその歴史を見てみれば,どの作品にも過去作へのオマージュとパクリとリスペクトが織り込まれ,様々な世代の価値観で彩られていることがわかる。だからこそ,『SSSS.GRIDMAN』のような“古くて新しい傑作”が今でも生まれる。

せっかくここまでの傑作が生まれたのだ。とことんまで味わい尽くそうではないか。