アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2021年 春アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

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『ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉』公式HPより引用 ©︎2020 TOHO CO., LTD.

2021年春アニメもおよそ3週目を迎え,そろそろ各作品の評価も安定してくる頃だ。今回の記事では,現時点までの当ブログ注目作品をおすすめ順にいくつか取り上げてみよう。 

なお「2021年 春アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを緑字にしてある。

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1. ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉

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怪獣の謎と「アーキタイプ」と呼ばれる新素材の謎とが並行して進行する,ミステリー仕立ての物語だ。この2つが最終的にどういう形で合流するかが見ものである。原作がすっかり手垢のついた感のある「ゴジラ」ということで,当初やや心配もあったのだが,過去作へのオマージュも多く取り入れつつ,新しい要素を加味した新鮮味のある作品となっている。

脚本を担当するSF作家・円城塔の話の運びが絶妙で,毎回視聴者を飽きさせることがない。手描きと3DCGを融合させたボンズ×オレンジのアニメーションも期待以上だ。また,OPとODのアニメーションの出来が非常によく,クレジットの文字を世界観に溶け込ませるセンスや,アラレちゃん化したヒロインの銘をカメラがぐるり回り込むカットなど,つい唸ってしまう要素が盛り沢山だ。


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2. オッドタクシー

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表面的には動物擬人化のジャンルなのだが,全体としてかなり“渋い”作りのアニメだ。そこら辺のケモノ系アニメとはわけが違う。

タクシー運転手の「小戸川」を中心に,様々な人間の運命が絡まり合って行くストーリー。それ自体はミステリーによくあるプロットだが,ここに軽妙な会話劇が加わることで話をグッと面白くしている。特に第3話の「柿花と黒田」「白川のカポエラ」は必見だ。

セリフの妙を全面的に押し出した作品ではあるが,アニメーションの技術も極めて高い。何よりもケモノキャラたちのデザインが秀逸だ。主役の小戸川(セイウチ)はブサと愛嬌との間の絶妙なラインを狙っている。ここに花江夏樹の低音の演技がマッチしている。ヒロインの白川(アルパカ)は,綺麗系でありながらどこかミステリアスな印象を与えるデザインになっており,彼女の抱える秘密をビジュアル的にも暗示しているようである。最近では,「線の少ないキャラは実は難しい」という事実も一般に認知されてきていると思われるが,この作品などは間違いなく高いデザイン力がなければ成立し得ない。また東京都内を模した街並みの美術は,程よく猥雑な空間を演出しており,個性豊かなキャラクターたちに負けない個性を放っている。 

3. Vivy -Fluorite Eye's Song-

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「何を観る?」の記事でこの作品をピックアップするかどうか迷い,結局外してしまったことを今では後悔している。それくらい面白い。AIをめぐる設定の一つひとつに目新しいものはない(だからこそストーリーを追いやすい)のだが,その見せ方・伝え方がうまい。作中しばしば挿入されるヴィヴィのアップのカットは“無気味の谷"感を醸し出しており,「彼女は人ではない」という事実を随時突きつける,ある種の異化効果を持っていて面白い。

言い方は悪いが,こういう作品は“設定厨"のオモチャにすることなく,作者のメッセージや演出意図をきっちり伝えていってほしいと思う。

4. 不滅のあなたへ

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原作は京都アニメーションによるアニメ化で話題になった『聲の形』(アニメ版:2016年)の大今良時。『不滅のあなたへ』は『聲の形』と世界観がまったく異なるが,不死の存在を中心に置くことで,逆に〈生きる〉ことのかけがえのなさを照射するというテーマは,聾者の西宮硝子という存在を登場させることにより,〈健常者〉たちの脆弱な人間関係を逆照射的に暴き出した『聲の形』と構造的に似ている。

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キャラクターデザインの薮野浩二は,柔らかくもどこか不気味な光を放つ「フシ」の眼をうまくアニメに落とし込んでおり,現実的な世界を扱った『聲の形』とは一味違ったキャラデザを楽しむことができる。

ショッキングな描写の多い作品だが,その中にも〈生きる〉という強いテーマが流れており,『進撃の巨人』(アニメ版:2013年春-)などにも引けを取らない傑作であると言える。

5. スーパーカブ

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完全なダークホース。僕はどちらかと言うと,この手のジャンルを絞り切った日常系アニメにはあまり注目しないのが常なのだが,今後は認識を改める必要があるかもしれない。

スーパーカブの丁寧な作画,控えめに抑えられたBGM,逆に空間を埋め尽くすかのような環境音。ジャンルもストーリーもまったく異なるが,アニメ『少女終末旅行』(2017年秋)に似た静謐感のある作品だ。主人公の小熊の心理を反映するように風景の彩度を変化させる演出も心地よく,アニメスタッフのセンスが光る。

今後の話数でも,おそらく大きな事件は起こらないだろう。ただ,世の中には事件が起こらなくても面白いアニメがあるのだ。

6. SSSS.DYNAZENON

dynazenon.net

前作『SSSS.GRIDMAN』と同様,BGMを一切用いず淡々と語られる日常と,怪獣登場シーン以降一気にテンションが上がるアクションシーンとの対比が印象的な作品だ。さらに主人公たちに“戦隊モノ"の要素も取り込むことで,『GRIDMAN』にはなかった賑やかさ『GRIDMAN』とは異なる世界設定の物語のようだが,まったく無関係なのか,それともどこかに通じる要素があるのかが気になるところだ。

怪獣のデザイン,怪獣に対する大衆のリアクション,BGMの使い方など,前述の『ゴジラS.P』と好対照を成しているのも面白い。テイストの異なる2つの怪獣アニメを同クールで鑑賞できるという機会もあまりないので,ぜひこの2作品を比較しながら楽しむことをおすすめしたい。

 

以上「アニ録ブログ」が注目する6作品を挙げてみた。これ以外にも「これだ!」と思う傑作があれば,ぜひコメント欄で教えて頂けると幸いである。