アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2022年 春アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』公式Twitterより引用 ©︎赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

真夏を先取りする酷暑の中,今年の春アニメもほぼすべての作品が最終話を迎えた。恒例通り,2022年春アニメの中から特にレベルの高かった8作品をランキング形式で振り返っておこう。なお,今回は以前掲載した「2022年春アニメ 中間報告」でピックアップした作品からほとんど異同はない。

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8位:『ヒーラー・ガール』

healer-girl.jp

当初はあまり注目していなかった作品だが,★歌唱3「お掃除,ラン・ラン・ラン」Bパートで,日常会話からため息に至るまで,主人公3人組の全セリフをミュージカル調にした演出がたいへん面白く,この辺りから一気に評価が高まった。画作りの面でも面白い話数が多く,アニメーションとしても十分楽しめる作品だった。『アイの歌声を聴かせて』『竜とそばかすの姫』『犬王』と,近年質の高いミュージカル・アニメが作られているが,その中でも際立った個性を持つ作品となったのではないだろうか。

 

7位:『プラック★★ロックシューター』

blackrockshooter-dawnfall.com

本作も途中から評価が変わった作品である(「中間評価」の記事ではピックアップしていない)。"胸糞の悪さ"と"希望"の配分がうまく,ストーリー展開の面では今クールの中でも抜きん出て面白かったのではないかと思う(ただしAIをラスボスにした点はやや凡庸に感じてしまったが)。とりわけ評価したいのは,#8「Crossing Iron Oceans」モニカ&イサナのサブストーリー。絶望的な状況の中の爽やでほろ苦いラブストーリーは,この2人の話だけで劇場版が作れてしまうのではないかと思わせるほどだった。

 

6位:『古見さんは,コミュ症です。』

komisan-official.com

第1期から高水準の作画と演出のテンションをほぼキープしており,TVシリーズとしてはかなりハイクオリティのアニメーションになった。この作品はギャグシーンも面白いのだが,それ以上に,古見さんと只野を中心とした登場人物の心情に寄り添った演出が光っていたと言える。特に最終話は,今期のアニメの中でももっとも美しい演出だっと言えるのではないだろうか。続編制作が待ち望まれる。

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5位:『であいもん』

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決してゴージャスなアニメではないのだが,水彩画のように柔らかい美術と京都の美しい自然を背景に繰り広げられる京なまりの人間模様,そしてそれと対照的なほんの少しほろ苦い親子・擬似親子関係は,今期一番の極上のドラマだった。偶然が産んだ一果と和の擬似親子関係は,通常の恋愛モノ以上にエモーショナルで胸を締め付ける"ボーイミーツガール"の亜種とも言える。個人的には和役の島崎信長の柔らかい演技が素晴らしく,一果役の結木梢との相性も抜群だった。続編を期待したい。

 

4位:『パリピ孔明』

paripikoumei-anime.com

完全にダークホース。「何を観る?」の記事で取り上げなかったのを後悔した作品だ。「三国志」「英霊召喚」「アイドル育成」「仲間探し」といった一見バラバラの要素が絶妙に絡み合い,最終話まで綺麗な盛り上がりを見せた。関口可奈味のキャラクターデザインもバッチリ決まっており,アニメーションのクオリティも申し分なかった。アップの決まるアニメというのは観ていて気持ちのいいものだ。本作もぜひ続編を制作してもらいたい。

 

3位:『SPY×FAMILY』

spy-family.net

放送前から期待度の高かった作品だが,結果として期待を上回る出来栄えとなった。「子どもが泣かない世界」というテーマを中心に原作をややシリアス寄りに解釈した演出は,作品に程よい重厚感を与えている。おそらく制作の進度上,多めに挿入されたアニオリもうまくできており,原作既読勢も楽しませる作りとなっている。そして何より評価に値するのは,アーニャというキャラクターの作り込みである。丁寧に表現された愛らしいモーションは,原作のデザインの魅力をさらに引き出すと同時に,「子どもが泣かない世界」というテーマとも調和しながら作品世界を彩っている。種﨑敦美の演技も当初の予想以上に素晴らしく,もはやこのキャスト以外は考えられないというほどに完成度が高い。分割2クール(2クール目は10月から放送予定)のため,最終的な評価は未定だが,2022年のアニメの中でもかなり高い順位にランキングされる作品となるだろう。

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2位:『サマータイムレンダ』

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1話からまったくダレることのない作画。緩急のある演出。絶妙な引き。どれをとっても,近年のホラーファンタジー系アニメの中でも群を抜いてクオリティの高い作品と言えるだろう。"敵の力を借りて敵を倒す"の水着美少女バージョンという,『デビルマン』以来のモチーフの大胆なアレンジもユニークで面白い。この手の"人間と非人間""味方と敵"との間の境界が曖昧になる物語に触れると,必然的に"人間とは何か"という問いに直面させられる。#12「血の夜」における「人間なめんな!」というセリフの中に,はたして誰が含まれて誰が含まれないのか。最終話まで目が離せない。こちらは連続2クールということで,やはり最終的な評価は未定だが,最終話までの出来栄えによってはランキング上位に食い込む可能性が高い作品だ。

 

1位:『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』

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本編とまったくテイストの違うエンディング・アニメーション,次々と変わるテクスチャや光源,歪むパース,ハイセンスなオマージュなどなど…毎話,次から次へと新しい表現が繰り出され,視聴者をまったく飽きさせない傑作であった。この貪欲とも言える演出方針は,ほとんど"エクスペリメンタル"と言っても過言ではないだろう。まさしくアニメの醍醐味を凝縮したような作品と言える。古賀葵古川慎小原好美鈴木崚汰を中心とした声優陣の演技も素晴らしく,多彩なアニメーションが作る小気味のよいリズムをさらに豊かに彩っていた。そしてふざけるところはしっかりとふざけ,真面目に恋するところは真面目に恋する,というメリハリのよさもこの作品の魅力だろう。その辺りが明確に打ち出されていたのが最終話だった。すでに続編制作の報も出ている。今後のさらなるパワーアップを期待しつつ,今期アニメの第1位に選ばせてもらった。

● その他の鑑賞済み作品(50音順)

『阿波連さんははかれない』『インセクトランド』『エスタブライフ』『可愛いだけじゃない式守さん』『処刑少女の生きる道』
 

以上,当ブログが注目した2022年春アニメ8作品を挙げた。

今期も原作アニメ化作品のクオリティの高さが目立った。これはいつも言っていることだが,原作アニメ化作品でもっとも面白いのは,"制作者が原作をどう解釈したか"という点だ。原作とアニメを比較しながら観るのが面白い。つまり"一粒で二度美味しい"。オリジナルアニメにはない楽しみと言えるだろう。

その一方で,やはり当ブログとしてはそろそろオリジナルアニメの躍進に期待したい。夏アニメはオリジナル作品が比較的多く,期待が高まる。2022年夏アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。

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