アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2022年 夏アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話「黄金」より引用
©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会

秋が急激に深まる中,今年の夏アニメも最終話の放送がほぼ終了し,すでに秋アニメの放送が始まっている。ここで恒例通り,2022年夏アニメの中から特にレベルの高かった7作品をランキング形式で振り返っておこう。

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7位:『ちみも』

anime.shochiku.co.jp

カナヘイ原案によるかわいいキャラクターデザインうえのきみこのコメディ,そして監督ぴのあるとの柔らかな演出が見事にマッチした良作。丸みを帯びたキャラクターが細やかに動く様は,アニメーションの本来的な楽しさを伝えていた。惜しむらくは放送時間。夕方や日曜の朝など,キッズアニメの時間帯に放送した方が評価は高かったのではないだろうか。ともあれ,ロングラン作品として長く楽しめるポテンシャルを持った作品なので,続編をぜひ期待したいところだ。

 

6位:『組長娘と世話係』

kumichomusume.com

八重花(お嬢)と霧島が回を増すごとに絆を深めていく様子,そして2人がそれぞれに重要な変化を遂げていく姿が繊細に描かれていた。“幼女と野獣”というコンビは,それ自体としては珍しくはないが,丁寧な演出と細谷佳正と和多田美咲の抜群の演技力により,非常に魅力的な作品に仕上がっていたと言える。本作も続編が待ち望まれる。

 

5位:『シャインポスト』

shinepost.jp

本記事執筆時点ではまだ最終話が放送されていないが,第11話の段階でランクインが妥当と判断した。当ブログでは当初注目していなかったのだが,各所での評価が高かったため試聴を始めたところ,その表現力の高さに驚かされた。特に歌唱シーンにおける表情やモーションの作り込みは,近年のアイドルアニメの中でも抜きん出てクオリティが高いと言える。グループアイドルが「絶対アイドル」としてのソロアイドル=偶像に憧れる,という構図もユニークだ。及川啓監督の代表作となることは間違いないだろう。

 

4位:『サマータイムレンダ』

summertime-anime.com

抜群の作画力読者の心をつかむ演出,そして的確な引きと,多くの点で高いクオリティを見せた秀作。途中の展開でややダレた感も否めないが,全25話をたっぷり使った構成は原作の魅力を不足なく伝えたと言える。特に最終話では,丸々1話を使って“勝利”の後の世界を描いていたのがよかった。話数の制約のせいで最終話近辺で走り気味になる近年の作品と比べ,余韻をたっぷり味わえる最終話になったことは評価に値するだろう。

 

3位:『よふかしのうた』

yofukashi-no-uta.com

サイバーパンクのような輝度の高い色彩によって,原作の「夜」の魅力を一味違う形で伝えたアニメ。アニメが色で伝える媒体であることを再認識させてくれる傑作だった。夜守コウ役の佐藤元と朝井アキラ役の花守ゆみりの落ち着いた演技と,七草ナズナ役の雨宮天のダミ声との相性も絶妙だった。この3人の奏でるハーモニーが,彼ら/彼女らの“友だち”とも“恋人”ともつかない距離感をうまく表現していた。エモいアニメとはこういう作品のことだろう。原作もまだ続いている作品だ。「探偵さん」の活躍を見届けるためにも,ぜひ続編を制作してもらいたい。

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2位:『リコリス・リコイル』

lycoris-recoil.com

錦木千束×井ノ上たきなのバディを中心としたキャラ(クター)の魅力に加え,第1話から最終話まで,一瞬たりとも視聴者を飽きさせない脚本力。おそらく近年のオリジナルアニメの中でも,最も大衆的な成功を収めた作品と言えるだろう。華やかなルックとは対照的に,後半の「人工心臓」をめぐる緊迫した物語が適度なシリアス味を加えつつ,最終話ではきっちりおどけてくるといった“オチ”も絶妙だった。過度な鬱展開をあえて避け,“ハッピーエンド”で終止符を打ったのも,制作者が現代の視聴者の感性を的確に捉えていた証拠だろう。SNSでの盛り上げ方も実にうまく,ネットでの考察祭りの規模で言えば,2011年の『魔法少女まどか☆マギカ』に匹敵するのではないだろうか。その意味でも稀有なオリジナルアニメとなったことは間違いない。

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1位:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

miabyss.com

「温かい闇」というヴエコの言葉がすべてを物語っていた『烈日の黄金郷』。これほど凄まじい「憧れ」と「絶望」を描き切ることができるアニメ制作環境は,おそらく日本以外ではあまり見られないだろう。特に第7話と第8話における「成れ果ての村」の呪われた成り立ち,および第10話から最終話までの,喰らわれつつ喰らい尽くすファプタの「烈日」の姿は,制作陣自身が「憧れ」という名の狂気に憑依されているのではないかと思わせる迫力だった。その一方で,第10話ではレグとファプタの〈涙〉のアニオリ演出で盛り上げるなど,エモーショナルな表現の繊細さも際立っていた。そして『烈日の黄金郷』で特筆すべきは,やはりファプタ≒イルミューイ役の久野美咲の演技だろう。イルミューイの苦悩とファプタの怨嗟を見事に演じ切った彼女は,文句なしに今年のMVPである。

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● その他の鑑賞済み作品(50音順)
『Engage Kiss』『RWBY』『ユーレイデコ』『シャドーハウス』『プリマドール』

 

以上,当ブログが注目した2022年夏アニメ7作品を挙げた。

実は1位の『メイドインアビス』と2位の『リコリス・リコイル』の順位は大いに悩んだ。中盤の話数まではほぼタイの評価をしており,最終的にはオリジナルである『リコリス・リコイル』に軍配が上がるだろうという心算だったのだが,上述の通り,『メイドインアビス』の第7話以降の演出が並外れてよかったために,最終的にこの順になった次第である。

次の秋クールは,当ブログが推すオリジナル作品は少ないが,続編や原作付き作品に期待大のものが多い。2022年秋アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。

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