アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2022年 秋アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

今年も早年の瀬となり,秋アニメもほぼすべてが放送を終えた。期待作の多かった今クールの作品をみなさんはどうご覧になっただろうか。今回の記事では,恒例通り2022年秋アニメの中から,特にレベルの高かった10作品をランキング形式で振り返ってみたい。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,最終話の評価によって,「2022年 秋アニメ 中間評価」ではピックアップしなかった作品が含まれることをお断りしておく。また,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異なる。

www.otalog.jp

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10位:『ヤマノススメ Next Summit』

yamanosusume-ns.com

【コメント】
これまでのシリーズと同様,アニメーターの個性がしっかりと発揮された演出に目を奪われた。主人公のあおいは,ともすれば好き嫌いが分かれるキャラクターかもしれないが,富士登山を通して彼女の成長を描き切ったことにより,彼女のポジティブな変化を暗示する最終話となった。吉成鋼のエモーショナルなエンディングアニメーションも大きな見どころとなった。

 

9位:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

g-witch.net

【コメント】
これまで,日常風景と決闘を中心とした『ガルパン』流の“安全なミリタリズム”に終始してきた物語は,最終話近辺で俄かにきな臭い様相を呈してきた。多くの要素と複雑な人間関係を盛り込みながらも,スリリングなストーリーテリングで視聴者を惹きつける技術は,さすが『コードギアス』シリーズの大河内一楼といったところか。今後の展開にも大いに期待したい。

(第1クール最終話は2023年1月8日(日)放送予定)

 

8位:『ヒューマンバグ大学 -不死学部不幸学科-』

humanbug-anime.com

【コメント】
このペープサートのような画をアニメとして評価すべきかどうかという躊躇もあり,「中間評価」ではピックアップしなかった(「何を観る?」の記事ではピックアップしている)のだが,最終話までの物語がとても面白かったためにランクに入れた。ここまで“リミテッド”なアニメーションでも,ストーリーが面白ければ作品として成立するということの証左でもある。杉田智和小倉唯子安武人らキャスト陣の演技も素晴らしく,特にこれまで“萌え”演技の多かった小倉にとって,「千恵」訳は新境地だったようだ。

 

7位:『SPY×FAMILY』第2クール

spy-family.net

【コメント】
もはやおすすめ記事でピックアップするまでもないほど,高いクオリティを維持し続けている本作。特に第2クールでは「MISSION:23 揺るがぬ軌道」のアニメーションが非常に面白かった。こうした作り込まれたシーンを観るにつけ,本作のアニメ化の意義を改めて実感する。「Season 2」と劇場版の制作(ともに2023年)がすでに発表されている。


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6位:『チェンソーマン』

chainsawman.dog

【コメント】
“実写映画的”な演出(この言い方には少々疑問があるが)は主に原作至上主義勢から批判も多いが,個人的には,むしろ原作解釈の一つの在り方として高く評価したい。特に「04. 救出」のアキ宅の演出「09. 京都より」のマキマ周りの演出「10. もっとボロボロ」のタバコとリンゴの演出などが優れていた(下のTweet参照)。MAPPA一社提供の重圧も大きいと思うが,中山竜監督はじめアニメ制作陣には今後もこの演出方針を貫いてもらいたい。続編の報が待ち望まれる。

 

5位:『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』

diy-anime.com

【コメント】
派手なキャラクターやドラマはないが,「DIYは楽しい」という素朴な価値観を実直な画作りで伝えた良作。一方で,高低差を活かした大胆な構図と演出も目を引いた。一つのテーマに誠実に寄り添い,自由な発想で演出する。こうしたオリジナル・アニメが継続的に作られる環境こそが,日本アニメのアドバンテージの一つだろう。今後もこのような作品が作られ続けることを望みたい。

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4位:『異世界おじさん』

isekaiojisan.com

【コメント】
3度の放送延期の憂き目を見ながらも,変わらずクオリティの高い話数を繰り出してくる本作。なんとしてでも作品の質をキープしたいという制作陣の心意気が伝わってくる。それもあってか,視聴者の評価は下がるどころか高まる一方のようだ。ユニークな作画と独特な間合いのギャグ,そして子安武人,福山潤,戸松遥,悠木碧の演技が光る異世界モノの傑作である。

(第13話は放送延期。放送時期は未定)

 

3位:『ぼっち・ざ・ろっく!』

bocchi.rocks

【コメント】
女子高生ガールズバンドの日常風景を中心とした本作。そこには大きな起伏のあるドラマ性はないが,実写を交えた豊かな表現力が多くの視聴者の心を捉えた傑作である。ある意味で,アニメーションそのものの面白さが高く評価された作品と言える。「ぼっち」というキャラクターが示す緩やかな成長のアークは,この作品をいつまでも観ていたいという気分にさせてくれる。続編が待望される。

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2位:『モブサイコ100 Ⅲ』

mobpsycho100.com

【コメント】

伍柏諭による名話数「#8 通信中②〜未知との遭遇〜」を経てから,最終話「#12 告白〜これから〜」までの緊張感のある演出が素晴らしく,第1期・第2期に続いて,アニメ制作陣の確かな技が感じられる傑作となった。『モブサイコ100』は「いい奴」たちの世界であり,また「かっこいい奴」たちの世界でもある。モブや霊幻などに潜む,この「いい」と「かっこいい」のキャラクターを,アニメ班はこの上なく的確に表現している。2022年のラインナップの中でも間違いなく上位に入る作品だろう。

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1位:『サイバーパンク エッジランナーズ』

『サイバーパンク エッジランナーズ』より引用 ©︎2022 CD PROJEKT S.A.

www.cyberpunk.net

【コメント】
TRIGGER&今石洋之のエッジの効いたアニメーションとエモーショナルな演出。graffitiのようなアクの強いアート性があるかと思えば,出﨑統アニメーションのような繊細な遺伝子が継がれている。“日本アニメ”や“海外アニメ”などといった地域性を超えた,普遍的なアニメの面白さが具現しているような作品である。そして10話という少ない話数でありながら,キャラクターへの感情移入を誘う演出が的確になされており,最終話のラストシーンが極めて強く心を打つ。TRIGGER&今石の最高傑作と言っても過言ではないだろう。Netflix限定配信のため,ネット上での盛り上がりは少なかったが,今期の中でも群を抜いて優れた作品である。

 

● その他の鑑賞済み作品(50音順)
『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』『TIGER & BUNNY 2』『不滅のあなたへ Season 2』『ポプテピピック 第二シリーズ』『羅小黒戦記 僕が選ぶ未来』

 

以上,当ブログが注目した2023年秋アニメ10作品を挙げた。

今回は2位以降のランキングに大いに悩んだ。特に『ぼっち・ざ・ろっく!』『モブサイコ100 Ⅲ』に関しては甲乙つけ難く,便宜上,上記のような順位づけにしているが,ほぼタイと考えていただいて構わない。冒頭にも書いたが,ここに挙げたものはすでに「一定の水準」を満たした作品である。ランクが低くても十分に優れた作品なので,まだご覧になっていない方には,上記のすべての作品をおすすめしたい。

2023年冬アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。

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