アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2024年 夏アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

 

夏の暑さがようやく手心を加え始めたこの頃,2024年夏アニメもすでに大方の作品が折り返し地点に入っている。皆さんの評価もそろそろ定まりつつあるのではないだろうか。今回の記事では,当ブログ独自の観点から2024年夏アニメ注目の作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)注目作品をいくつか取り上げる。

なお「2024年 夏アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルをにしてある(今回はすべてピックアップ済みの作品である)。

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1. 『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』

mahoaku-anime.com

【コメント】
当初からキャラの「可愛い」をセールスポイントにしていた本作だが,作画・演出・声優の演技の面で高いクオリティの「可愛い」を表現することに成功している。白夜とミラの関係性,そこに絡む御使いや火花のユニークなキャラなども面白く,物語としての完成度も高い。全体としてきわめて丁寧な作りのアニメだ。『海辺のエトランゼ』(2020年)の大橋明代監督の技が冴える秀作だ。

 

2. 『小市民シリーズ』

shoshimin-anime.com

【コメント】
推理モノとして薄味であることは否めないが,現実的な風景や事物に基づきつつ,実在の中に“非日常”を呼び込む演出手法が際立つ。作画・演出も丁寧で破綻がない。小鳩と小佐内のキャラメイクに関しては別解もあるだろうが,本作の全体的な雰囲気とのバランスから見ればこれが最適解だろう。幼女のように華奢な小佐内が見せる“狼性”と,狡猾だが狼を前にしては尻尾を巻いてしまう小鳩の“狐性”。作画・芝居・羊宮妃那梅田修一朗の演技によって,このコントラストが綺麗にアニメーションに落とし込まれている。

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3. 『先輩はおとこのこ』

senpaiha-otokonoko.com

【コメント】
作画はシンプルだが丁寧。特にまことの「おとこのこ」としての魅力がとてもうまく画と芝居に落とし込まれている。性のステレオタイプから解放されることを望むまこと,まことに好意を寄せつつも心が揺れる咲,まことに本心から心を寄せる竜二。この奇妙で複雑な“三角関係”を,素朴だが繊細な演出で巧みに描いた秀作だ。それぞれのキャラクターを演じた梅田修一朗関根明良内田雄馬の貢献度も極めて高い。“人を好きになる”という心のありようをリアルかつ真摯に描いた作品として,高く評価されるべき作品だ。

 

4. 『逃げ上手の若君』

nigewaka.run

【コメント】
「2024年 夏アニメは何を観る?」の記事でイチオシとして挙げた作品。美麗なキャラクターデザイン,緻密な背景美術,計算された色彩設計,ブレない作画。隙をまったく見せない画作りをベースに,それを程よく崩す多彩な演出術を毎話繰り出してくる。視聴者を飽きさせない秀逸な作りだ。原作に依拠しつつ,的確なオリジナル演出を随所に散りばめている点も,アニメ作品として高評価に値する。作品の持つ祝祭的な賑やかさを全面に押し出したOPも見応えがある。近年のマンガ原作アニメの中でも,特筆すべきクオリティの作品と言えるだろう。

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5 『負けヒロインが多すぎる!』

makeine-anime.com

【コメント】
ジャンルとしてはラブ“コメ”ということになるだろうが,「負けヒロイン」をテーマとしているためか,作品の底にそこはかとない哀愁を感じる。真夏の“裏面”としての影を多めに配した画作りは,本作のそうした情感成分を的確に視覚化している。底抜けに明るいOPアニメーションとのコントラストも効果的だ。テーマや画作りの点において,近年のラブコメアニメの中でも抜きん出て優れた秀作と言えるだろう。

 

以上,「アニ録ブログ」が注目する2024年夏アニメ5作品を挙げた。

今回もピックアップできるオリジナル作品はなかった。『菜なれ花なれ』『真夜中ぱんチ』のP.A.WORKSオリジナルに期待したのだが,残念ながらどちらもパンチに欠ける。また,ラノベ原作の『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』にも当初期待したのだが,作画が極めて優れている反面,物語の点でさほど魅力を感じない。上記の作品から感じられるのは,オリジナルにせよ原作付きにせよ,“脚本”の力が肝心だということだ。

 

最終的なランキング記事は,全作品の放映終了後に掲載する予定である。