- 2025年 春アニメ振返り
- ①『怪獣8号 第2期』
- ②『薫る花は凛と咲く』
- ③『神椿市建設中。』
- ④『cocoon(コクーン)〜ある夏の少女たちより〜』
- ⑤『CITY THE ANIMATION』
- ⑥『その着せ替え人形は恋をする Season 2』
- ⑦『タコピーの原罪』
- ⑧『ダンダダン 第2期』
- ⑨『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』(オリジナル)
- ⑩『BULLET/BULLET』(オリジナル)
- ⑪『光が死んだ夏』
- ⑫『フードコートで,また明日』
- ⑬『ぷにるはかわいいスライム 第2期』
- ⑭『よふかしのうた Season 2』
- ⑮『瑠璃の宝石』
- 2025年夏アニメのイチオシは…
2025年 春アニメ振返り
春クールの作品で特に評価したいのは,『アポカリプスホテル』『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』『薬屋のひとりごと 第2期』『小市民シリーズ 第2期』『LAZARUS ラザロ』の5作品だ。
春藤佳奈監督『アポカリプスホテル』は,人類不在の地球という状況を喜劇の舞台とし,毎話奇想天外なエピソードを繰り出している傑作オリジナルアニメである。コメディを基調としながらも,その根底には“ヒューマニティとは何か”という深い問いかけがある。特に「#11 穴は掘っても空けるなシフト!」は,ロボットであるヤチヨが“生きる”ことの実感を得る過程を,静謐とも言える時間の流れの中で示した傑作話数である。
鶴巻和哉監督『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は,旧作の換骨奪胎という方法を取りながらも,旧作ファンですら思いもよらない展開によって毎話話題を攫っている。物語もさることながら,キャラクターメイキングが巧みで,旧作では1話限りの登場だったシャリア・ブルや,「第4話 魔女の戦争」に登場した新キャラ・シイコなど,魅力的なキャラが楽しめる点も評価に値する。
筆坂明規監督『薬屋のひとりごと 第2期』は,言わずと知れた人気シリーズの続編である。これまでの猫猫と壬氏の関係性が変化し,謎の少女・子翠の正体が明かされ,物語は大きく動き出している。特に子翠をめぐる心理描写が優れており,「#41 『狐の里』」「#43 『祭り』」「#45『蟇盆』」における繊細な表情作画は逸品である。
神戸守監督『小市民シリーズ 第2期』は,推理小説のロジカルな語りに,アニメーションという媒体ならではのエモーショナルな演出を加味することで,原作とは一味違う風味を持つ作品に仕上がっている。特にヒロイン・小佐内ゆきのキャラクターメイキングが秀逸で,特に今回の第2期では,もっぱらこのキャラが話題を攫ったと言っても過言ではない。
渡辺信一郎監督『LAZARUS ラザロ』は,ミステリーを基調とした巧みなストーリーテリングが魅力のオリジナルアニメだ。また随所に見られるハイクオリティの作画と芝居は,多くのアニメファンを唸らせている。特に音楽をテーマとして打ち出している作品ではないが,不思議と渡辺監督の音楽性を強く感じる作品でもある。
この他,「怪物」オグリキャップの勇姿を迫力の作画で見せる『ウマ娘 シンデレラグレイ』,絶対的アイデンティティへの希求を大人のロマンスの中で描く『九龍ジェネリックロマンス』,少女たちの儚い物語をKeyならではのナラティブで語る『Summer Pockets』,日常系ながらアニメファンをも唸らせる作画が魅力の『mono』,ロック×お嬢様というミスマッチの面白さを声優陣の優れた演技でいっそうブーストした『ロックは淑女の嗜みでして』など,最終話まで目が離せない作品が数多くある。
2025年 春アニメの最終的なランキングは,全作品の最終話放送終了後に掲載する予定である。
では今回も2025年 夏アニメのラインナップの中から,五十音順に注目作をピックアップしていこう。各作品タイトルの下に最新PVなどのリンクを貼ってあるので,ぜひご覧になりながら本記事をお読みいただきたい。なお,オリジナルアニメ(マンガ,ラノベ,ゲーム等の原作がない作品)のタイトルの末尾には「(オリジナル)」と付記してある。
①『怪獣8号 第2期』
【スタッフ】
原作:松本直也/監督:宮繁之/シリーズ構成・脚本:木戸雄一郎/キャラクターデザイン・総作画監督:西尾鉄也/怪獣デザイン:前田真宏/美術監督:木村真二/色彩設計:広瀬いづみ/3D監督:新垣隼/撮影監督:荒井栄児/編集:肥田文/音響監督:郷文裕貴/音楽:坂東祐大/怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラー/アニメーション制作:Production I.G
【キャスト】
日比野カフカ/怪獣8号:福西勝也/亜白ミナ:瀬戸麻沙美/市川レノ:加藤渉/四ノ宮キコル:ファイルーズあい/保科宗四郎:河西健吾/古橋伊春:新祐樹/出雲ハルイチ:河本啓佑/神楽木葵:武内駿輔/小此木このみ:千本木彩花/鳴海弦:内山昂輝/長谷川エイジ:安元洋貴/東雲りん:花澤香菜/四ノ宮功:玄田哲章/怪獣10号:三宅健太/怪獣9号:吉野裕行
【コメント】
2024年春クールに放送された作品の続編。第1期では,隅々まで行き届いたキャラ作画,緊張感漲る演出,スタジオカラーによる迫力の怪獣作画など,アニメならではの表現手法で原作の魅力をブーストしていた。PVを観るに,この辺りのクオリティは十二分に維持されているか,あるいは第1期以上に勢いを増しているようにも見える。
監督以下の座組に関しては,第1期で共同監督だった神谷友美が外れ,シリーズ構成・脚本が 大河内一楼から『Dr. Stone』(2019年)や『映像研には手を出すな!』(2020年)などの木戸雄一郎に交代するなど,何名かのスタッフに異同がある。
②『薫る花は凛と咲く』
【スタッフ】
原作:三香見サカ/監督:黒木美幸/准監督:山口智/シリーズ構成:山崎莉乃/シリーズ演出:都築遥/キャラクターデザイン・総作画監督:徳岡紘平/サブキャラクターデザイン・衣装デザイン:梅下麻奈未/ケーキデザイン:田村恭穂/プロップデザイン:吉田優子/美術監督:幸喜あすか/美術設定:塩澤良憲/色彩設計:横田明日香/撮影監督:長瀬由起子/3D監督:渡邉啓太(サブリメイション)/編集:新居和弘/音楽:原田萌喜/音響監督:濱野高年/音響制作:マジックカプセル/制作:CloverWorks
紬凛太郎:中山祥徳/和栗薫子:井上ほの花/宇佐美翔平:戸谷菊之介/夏沢朔:内山昂輝/依田絢斗:石橋陽彩/保科昴:山根綺
原作は三香見サカによる同名マンガ。最大の注目ポイントは,『明日ちゃんのセーラー服』(2022年)の黒木美幸が監督を務める点だ。PVを観るとわかるが,『明日ちゃん』の監督だけあって,決めの表情作画の見せ方がとても上手い。シリーズ構成の山崎莉乃と制作のCloverWorksも『明日ちゃん』の座組だ。この作品を気に入った方は,きっと楽しめる作品になるだろう。キャラクターデザイン・総作画監督は,『SK∞ エスケーエイト』(2021年)や『LAZARUS ラザロ』(2025年)などに参加経歴のある徳岡紘平。申し分のない座組と言える。
③『神椿市建設中。』
【スタッフ】
原作・企画プロデュース:KAMITSUBAKI STUDIO,PIEDPIPER/世界観設定・監修・原作シナリオ:月島総記/原作企画:針谷建ニ郎(THINKR),秋山広行(THINKR)/監督・シリーズ構成・音響監督:柿本広大/キャラクターデザイン:PALOW./サブキャラクターデザイン・総作画監督:あおのゆか/メインCGディレクター:石原裕也/美術監督:内藤健/色彩設計:佐藤美由紀/撮影監督:江間常高/編集:梅津朋美/音響効果:猪俣泰史/音楽:朝比奈健人/音楽制作:KADOKAWA/劇中歌協力:KAMITSUBAKI STUDIO/アニメーション制作:SMDE/製作:SINKA ANIMATION PROJECT
【キャスト】
森先化歩:花譜/谷置狸眼:理芽/朝主派流:春猿火/夜河世界:ヰ世界情緒/輪廻此処:幸祜/らぷらす:佐倉綾音/はすたー:富田美憂/あぐに:阿座上洋平/あねもす:梅田修一朗/くーげる:藤堂真衣/復興課長:伊藤静/???:緑川光
【コメント】
KAMITSUBAKI STUDIOによるメディアミックスプロジェクトで,これまでにゲーム版と小説版が発売されている。大災害により人類文明が崩壊した後の「神椿市」を舞台に,「魔女の娘」と呼ばれる5人の少女が,歌声を武器に怪物「テセラクター」と戦う,という物語。既視感のある世界観と物語がやや気になるところだが,最大の注目は,『BanG Dream!』シリーズの柿本広大が監督を務める点だ。あの『BanG Dream! Ave Mujica』(2025年)を経た柿本が,どんな画作りをしてくるか。お手並み拝見と行きたい。
④『cocoon(コクーン)〜ある夏の少女たちより〜』
【スタッフ】
原作:今日マチ子/監督:伊奈透光/音楽:牛尾憲輔/アニメーションプロデューサー:舘野仁美仁美/アニメーション制作:ササユリ/制作:NHKエンタープライズ/制作・著作:NHK
【キャスト】
マユ:満島ひかり/サン:伊藤万理華
【コメント】
原作は今日マチコのマンガ『cocoon』。第二次世界大戦時の沖縄の「ひめゆり学徒隊」を題材としており,戦後80年を迎える2025年放送に向けて制作された。NHK連続テレビ小説『なつぞら』(2019年)で劇中アニメの監修を担当した舘野仁美(元スタジオジブリ所属)がアニメーションプロデューサーを務める。制作は舘野が率いるササユリ。監督も『なつぞら』に参加経歴のある若手クリエイター・伊奈透光(現在ササユリ所属)。牛尾憲輔が音楽を担当するのも見どころだ。
⑤『CITY THE ANIMATION』
【スタッフ】
原作:あらゐけいいち/監督:石立太一/キャラクターデザイン・総作画監督:徳山珠美/美術監督:山崎詩央里/色彩設計:宮田佳奈/撮影監督:植田弘貴/3D監督:加瀬達規/音響監督:鶴岡陽太/音楽:ピラニアンズ/音楽制作:ポニーキャニオン/アニメーション制作:京都アニメーション/製作:CITY THE ANIMATION製作委員会
【キャスト】
南雲美鳥:小松未可子/にーくら:豊崎愛生/泉わこ:石川由依/真壁鶴菱:川原慶久/真壁立涌:入野自由/真壁まつり:七瀬彩夏/雨飾えり:田所あずさ/泉りこ:和久井優/安達太良博士&安達太良の父:子安武人/安達太良の母:浅野まゆみ/安達太良達太:KENN/安達太良良太:猪股慧士/安達太良かもめ:林鼓子/安達太良うみ:福嶋晴菜/安達太良そら:天麻ゆうき/オババ:山本和臣/鬼カマボコ:宮崎遊/轟:鈴木崚汰/いい人:水内清光/タナベ菫桜子美:後藤邑子/穂高:土門仁/光岳伸晃:福山潤/帯那林道:金子誠/黒金大和:髙坂篤志/ナレーション:大塚芳忠
【コメント】
原作はあらゐけいいちのマンガ『CITY』。周知の通り,制作の京都アニメーションは,あらいの『日常』もアニメ化(2011年)している。あらゐけいいち×京アニのタッグ再びである。監督は『境界の彼方』(2013年)『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018年)の石立太一。石立は石原立也監督『日常』で副監督を務めていたため,本作では“昇格”ということになる。PVを観ると,『日常』に劣らぬパワーギャグが炸裂しており,とても最近まで『響け!ユーフォニアム 3』(石立は副監督)を作っていた人の作品とは思えない。これも京アニの“美意識”の別側面として楽しみたい作品だ。
⑥『その着せ替え人形は恋をする Season 2』
【スタッフ】
原作:福田晋一/監督:篠原啓輔/シリーズ構成:冨田頼子/キャラクターデザイン・総作画監督:石田一将/副監督:山本ゆうすけ/総作画監督:山崎淳,八重樫洋平/メインアニメーター:髙橋尚矢/衣装デザイン:西原恵利香/プロップデザイン:永木歩実/色彩設計:山口舞/美術監督:根本洋行/撮影監督:佐藤瑠里/テクニカルディレクター:佐久間悠也/CGディレクター:任杰/編集:平木大輔/音響監督:藤田亜紀子/音響効果:野崎博樹,小林亜依里/音楽:中塚武/制作:CloverWorks
【キャスト】
喜多川海夢:直田姫奈/五条新菜:石毛翔弥/乾紗寿叶:種﨑敦美/乾心寿:羊宮妃那/五条薫:斧アツシ
【コメント】
2022年冬クールに放送された作品の続編。Season 1では極めて繊細な作画・芝居が好評だったため,Season 2も大いに期待が高まる。これはあくまでも個人的な期待だが,Season 1第2話と第8話に参加していた“日常芝居”の鬼才・小林恵祐の技を再び目にしたいものである。副監督が平峯義大から山本ゆうすけに,総作画監督が小林真平・川妻智美・山崎淳から山崎淳・八重樫洋平に,撮影監督が金森つばさから佐藤瑠里にCGディレクターが宮地克明から任杰に交代するなど,数名のスタッフに異同があるが,全体としての座組に大きな変更はない。
⑦『タコピーの原罪』
【スタッフ】
原作:タイザン5/監督・シリーズ構成:飯野慎也/キャラクターデザイン:長原圭太/プロップデザイン:10+10,中井杏/2Dワークス:アズマ,10+10/美術監督:板倉佐賀子/色彩設計:秋元由紀/CGディレクター:茂木邦夫/カラースクリプト:大谷藍生/撮影監督:若林優/編集:坂本久美子/音響監督:明田川仁/音楽:藤澤慶昌/アニメーション制作・プロデュース協力:ENISHIYA
【キャスト】
タコピー:間宮くるみ/しずか:上田麗奈/まりな:小原好美/東:永瀬アンナ
【コメント】
原作はタイザン5の同名マンガ。2021年から2022年のマンガ界隈を席巻した問題作である。物語上センシティブな面があることを考慮してか,TV放送ではなく配信である点が少々残念だが,希代の怪作のアニメ化とあっては注目しないわけにいかない。監督は『Dr. Stone』(2019年)などの飯野慎也。『メイドインアビス』(2017年)や『葬送のフリーレン』(2023年)などの作品にも参加経歴がある。キャラクターデザインは『葬送のフリーレン』『ダンジョン飯』(2024年)などに参加経歴のある長原圭太。座組にも懸念はない。
⑧『ダンダダン 第2期』
【スタッフ】
原作:龍幸伸/監督:山代風我,Abel Gongora/シリーズ構成・脚本:瀬古浩司/音楽:牛尾憲輔/キャラクターデザイン:恩田尚之/宇宙人・妖怪デザイン:亀田祥倫/色彩設計:橋本賢,近藤牧穂/美術監督:東潤一/撮影監督:出水田和人/編集:廣瀬清志/音響監督:木村絵理子/アニメーション制作:サイエンスSARU
【キャスト】
モモ<綾瀬桃>:若山詩音/オカルン<高倉健>:花江夏樹/星子:水樹奈々/アイラ<白鳥愛羅>:佐倉綾音/ジジ<円城寺仁>:石川界人/満次郎:吉野裕行/ターボババア:田中真弓/ドーバーデーモン:関智一/太郎:杉田智和/花:平野文/鬼頭ナキ:磯辺万沙子/邪視:田村睦心/チキチータ:大空直美
【コメント】
言わずと知れた傑作アニメの続編である。第1期では,目玉となるアクションもさることながら,作品に内在するエモーショナルな要素を繊細に描き出すことに成功していた。第2期でもそうした方向性での演出を期待したいところだ。座組に大きな変更はないが,監督は山代風我とAbel Gongoraの連名になる(第1期は山代のみ)。Abel Gongoraと言えば,第1期であの傑作OPアニメーションを手がけたクリエイターである。間違いなく本作の面白さをブーストしてくれることだろう。
⑨『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』(オリジナル)
『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』公式X
【スタッフ】
原案:GEEKFLEET/監督:今石洋之/副監督:若林広海,古川晟/シリーズ構成:今石洋之,若林広海/オリジナルキャラクターデザイン:錦織敦史/キャラクターデザイン:コヤマシゲト,坂本勝,すしお/アートディレクション:コヤマシゲト/スペシャル スペシャリスト:吉成曜/コンセプトプランナー:若林広海/タイトルロゴデザイン:野中愛/動画統括:こすぎなほこ/色彩設計:垣田由紀子/美術監督:野村正信,市岡茉衣/撮影監督:志良堂勝規/編集:植松淳一/音響監督:浦狩裕樹/音楽プロデューサー:☆Taku Takahashi(m-flo)/音楽制作:フライングドッグ/アニメーションプロデューサー:堤尚子/アニメーション制作:TRIGGER
【キャスト】
パンティ:小笠原亜里沙/ストッキング:伊瀬茉莉也/ガーターベルト:石井康嗣/ブリーフ:吉野裕行/チャック:中村たかし/スキャンティ:小松由佳/ニーソックス:渡辺明乃/ファスナー:夏吉ゆうこ/ポリエステル:榎木淳弥/ポリウレタン:上村祐翔
【コメント】
超傑作エログロナンセンスアニメ,15年振りの新作である。TRIGGERと今石洋之監督のファンであれば多くを語る必要はないだろう。ちなみにこの新作の企画は,本作の権利がGAINAXからTRIGGERに譲渡されたことによって成立したものである。権利譲渡の際の交渉の経緯や企画のタイミングなどの詳細は不明だが,少なくともこの15年という歳月は,作品の権利関係がいかに困難な問題であるかを伺わせる。スタッフのクレジットに多少の異同はあるが,すべてTRIGGER=今石洋之作品の常連である。座組に懸念はない。
⑩『BULLET/BULLET』(オリジナル)
【スタッフ】
監督:朴性厚/原案:朴性厚/原作:E&H production,ギャガ/シリーズ構成:金田一士/キャラクターデザイン・総作画監督:吉松孝博/「ガッチャ」デザイン:辻󠄀野芳輝/コンセプト・メカニックデザイン:天神英貴/キーアニメーター:佐野誉幸,赤井方尚,諸貫哲朗/美術監督:赤井文尚/色彩設計:鎌田千賀子/3D総括:菅友彦/カーアクションディレクター:三沢伸/撮影監督:李周美/編集:柳圭介,ACE/音響監督:藤田亜紀子/音響効果:中野勝博/音響制作:INSPIONエッジ/音楽:堤博明/音楽プロデューサー:小林健樹/製作:ギャガ/アニメーション制作:E&H production
【キャスト】
ギア:井上麻里奈/シロクマ:山路和弘/ノサ姉:釘宮理恵奈/カウ姉:花澤香菜/ナカ兄:関智一/エイ婆:折笠愛/ノア:瀬戸麻沙美/バレル:古川慎/ウィール:茂木たかまさ/リン:若井友希/ブレックファースト:川原慶久/アフタヌーンティー:加隈亜衣/ランチ:田村奈央/ブランチ:新谷真弓/ディナー:折笠愛/天麩羅寿司丸:神尾晋一郎/デストロ犬:近藤浩徳/バッティングセンター斎藤:中村悠一
【コメント】
昼はジャンク屋,夜は「盗み屋」として働く主人公たちが,「世界の秘密」を手にしたことで戦いが始まる,という物語。注目は,『呪術廻戦 第1期』(2020年)などの朴性厚が監督を務める点だ。『呪術廻戦』で見せたような迫力のアクション作画を本作でも期待できそうだ。PVでもいくつかの場面でスタイリッシュな作画を確認できる。脚本は『ウマ娘シンデレラグレイ』(2025年)などの金田一士。キャラクターデザイン・総作画監督は『宇宙よりも遠い場所』(2018年)『からくりサーカス』(2018-2019年)の吉松孝博。豪華な座組にも期待が高まる。
⑪『光が死んだ夏』
【スタッフ】
原作:モクモクれん/監督・シリーズ構成:竹下良平/キャラクターデザイン・総作画監督:高橋裕一/ドロドロアニメーター:平岡政展/プロップデザイン:應地隆之介/サブキャラクターデザイン:渡辺舞,西願宏子,長澤翔子/美術設定:多田周平,高橋武之,曽野由大/美術監督:本田こうへい/色彩設計:中野尚美/色彩設計補佐:越田侑子/3D監督:中野祥典/撮影監督:前田智大/2Dデザイン:永良雄亮,津江優里/編集:木村佳史子/音響演出:笠松広司/音響制作:dugout/音楽:梅林太郎/アニメーション制作:CygamesPictures
【キャスト】
辻中佳紀:小林千晃/ヒカル:梅田修一朗/田中:小林親弘/暮林理恵:小若和郁那/山岸朝子:花守ゆみり/巻ゆうた:中島ヨシキ/田所結希:若山詩音
【コメント】
原作はモクモクれんによる同名マンガ。モクモクれん初の連載作品だが,絶妙なホラー要素と佳紀と光の繊細で複雑な関係を扱った傑作マンガだ。最大の注目ポイントは,『エロマンガ先生』(2017年)『夜のクラゲは泳げない』(2024年)などの竹下良平が監督・シリーズ構成を務める点だ。モクモクれんの描くような和風ホラーのアニメ化は,日常芝居の質の高さがものを言う。竹下が『エロマンガ先生』で見せた技が,本作でも最大の効果を発揮することは間違いないだろう。PVを観ればそれが達成されていることが一見してわかるはずだ。そしてやはり個人的な希望なのだが,『エロマンガ先生』に参加していた小林恵祐の技が本作でも見られることを期待したい。キャラクターデザイン・総作画監督は『星合の空』(2019年)『Vivy -Fluorite Eye's Song』(2021年)『劇場版 モノノ怪』(2024年)などの高橋裕一。
⑫『フードコートで,また明日』
【スタッフ】
原作:成家慎一郎/監督:古賀一臣/シリーズ構成・脚本:花田十輝/キャラクターデザイン・総作画監督:坂井久太/サブキャラクターデザイン:有我洋美/プロップデザイン:コレサワシゲユキ(デジタルノイズ),灯夢(デジタルノイズ)/美術監督:三宅昌和/美術設定・セットモデリング:小高みちる(デジタルノイズ)/色彩設計:坂本いづみ/特殊効果:チップチューン/2Dワークス:灯夢(デジタルノイズ)/撮影監督:東郷香澄(チップチューン)/編集:須藤瞳(REAL-T)/音響監督:明田川仁/音響制作:マジックカプセル/音楽:うたたね歌菜/音楽制作:KADOKAWA/アニメーション制作:Atelier Pontdarc
【キャスト】
和田:宮崎ヒヨリ/山本:青山吉能/斉藤:早見沙織/エイベル公爵:福山潤
【コメント】
原作は成家慎一郎による同名マンガ。フードコートで繰り広げられる,女子高生2人の他愛もない会話を描く。いわゆる“日常系”ジャンルど真ん中の作品と言える。監督は『彼女,お借りします』(2020年)などの古賀一臣。脚本は『響け!ユーフォニアム』(2015年)『やがて君になる』(2018年)『僕の心のヤバイやつ』(2023年)など,数々の名作で青春ドラマを描いた花田十輝。“自己目的的会話”という状況を,古賀と花田はどう料理するか。お手並みを拝見するとしよう。
⑬『ぷにるはかわいいスライム 第2期』
【スタッフ】
原作:まえだくん/監督:伊部勇志/シリーズ構成:横手美智子/脚本:横手美智子,平見瞠,池田臨太郎/キャラクターデザイン:田中彩/美術監督:宮本実生/美術設定:宮本実生,三原絵梨香,高薄亜実,泉寛/色彩設計:きつかわあさみ,髙田真有/撮影監督:後藤晴香/編集:榎田美咲/音楽:森いづみ/音響監督:丹下雄二/音響制作:東北新社/制作:TOHO animation STUDIO
【キャスト】
ぷにる:篠原侑/河合井コタロー:梅田修一朗/ジュレ:上坂すみれ/雲母麻美:清水理沙/南波遊助:榎木淳弥/御金賀アリス:花守ゆみり/ホネちゃん:越後屋コースケ/剛やん:武内駿輔/真戸博士:中井和哉/宝代:小林ゆう/ルンル/キュティ:大谷育江/星狩ちい:稲垣好/姫座輪ココア:伊藤彩沙/笹井:田中有紀
【コメント】
2024年秋クールに放送された作品の続編。原作は「週刊コロコロコミック」掲載のまえだくんの同名マンガ。一見,キッズアニメのようなルックだが,アクの強いキャラの面々はやはり深夜アニメにふさわしい風格である。そして何より,第1期第7話では,絵コンテ・演出を『エロマンガ先生』『ヤマノススメ サードシーズン』(2018年)『Sonny Boy』(2021年)『平家物語』(2022年)『薬屋のひとりごと』(2023-2024年)など数々の作品で洗練された技を見せつけているちなが,Vコンテを『モブサイコ100 Ⅱ』(2019年)『王様ランキング』(2021−2022年)『天国大魔境』(2023年)『呪術廻戦 懐玉・玉折』(2023年)など,こちらも数多の作品で超絶技巧を披露している土上いつきが担当するなど,意外にも作画面で見せてくる点,油断のならない作品である。
⑭『よふかしのうた Season 2』
【スタッフ】
原作:コトヤマ/監督:板村智幸/副監督:滝沢いづみ,三好なお/脚本:横手美智子/キャラクターデザイン:佐川遥/音楽:出羽良彰/美術監督:内藤健/色彩設計:きつかわあさみ/色彩設計補佐:橋上あきら/撮影監督:土本優貴/編集:榎田美咲/音響監督:木村絵理子/アニメーション制作:ライデンフィルム
【キャスト】
夜守コウ:佐藤元/七草ナズナ:雨宮天/朝井アキラ:花守ゆみり/桔梗セリ:戸松遥/平田ニコ:喜多村英梨/本田カブラ:伊藤静/小繁縷ミドリ:大空直美/蘿蔔ハツカ:和氣あず未/夕真昼:小野賢章/秋山昭人:吉野裕行/鶯餡子:沢城みゆき/星見キク:佐藤利奈/七草ハル:内田真礼
【コメント】
傑作ヴァンパイア系ラブコメ,待望の続編放送である。個人的に,あらゆるマンガの中で最も評価している作品だ。Season 1では,夜の場面を中心に彩豊かな色彩が美しい画作りをしていた。Season 2も素敵な夜を見せてくれるだろうか。そして何より嬉しいのは,本作のインスピレーションとなったCreepy Nutsが再びOP主題歌を担当することである。副監督として滝沢いづみと三好なおが参加,美術監督が横松紀彦から内藤健に交代するなど,スタッフに多少の変更がある。また,
⑮『瑠璃の宝石』
【スタッフ】
原作:渋谷圭一郎/監督:藤井慎吾/シリーズ構成:横手美智子/キャラクターデザイン:藤井茉由/助監督:秋山泰彦/総作画監督:藤井茉由,大田和寛/プロップデザイン:二宮歩路,中井杏/鉱物デザイン:CLUSELLER/美術監督:吉原俊一郎/美術設定:藤井一志/色彩設計:土居真紀子/撮影監督:尾形拓哉/編集:岡祐司/音響監督:吉田光平/音響効果:長谷川卓也/音響制作:ビットグルーヴプロモーション/音楽:阿知波大輔,柳川和樹/プロデュース:EGG FIRM/アニメーション制作:スタジオバインド
【キャスト】
谷川瑠璃:根本京里/荒砥凪:瀬戸麻沙美/伊万里曜子:宮本侑芽/瀬戸硝子:林咲紀/笠丸葵:山田美鈴
【コメント】
原作は渋谷圭一郎による同名マンガ。鉱物をテーマとした“サイエンスアドベンチャー”というジャンルは,深夜アニメとしてはやや珍しく新鮮だ。そして最大の注目ポイントは,監督の藤井慎吾,シリーズ構成の横手美智子,制作のスタジオバインドと,『お兄ちゃんはおしまい!』(2023年)の座組が結集する点だ。PVを観ると,確かに同作を彷彿とさせるデザインや芝居を確認することができる。ちなみにスタジオバインドは,当初『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』(2021年)制作のために立ち上げられた会社だが,実際には『おにいちゃんはおしまい!』の他,『花は咲く,修羅の如く』(2025年)など多様な作品を手がけている。今後,このスタジオがどのような独自カラーを打ち出してくるか楽しみである。
2025年夏アニメのイチオシは…
2025年夏アニメの期待作として,今回は15作品をピックアップした。
コメントからお気づきと思うが,今回は“監督で観る”作品が多い。その中でもイチオシとして,竹下良平監督『光が死んだ夏』を挙げる。竹下による“日常芝居が醸す恐怖”の可能性をこの作品に期待したい。
次点として,黒木美幸監督『薫る花は凛と咲く』,石立太一監督『CITY THE ANIMATION』,篠原啓輔監督『その着せ替え人形は恋をする Season 2』,山代風我・Abel Gongora監督『ダンダダン 第2期』,板村智幸監督『よふかしのうた Season 2』,藤井慎吾監督『瑠璃の宝石』を挙げる。今回は全体として,“日常芝居”に注目したいクールになりそうだ。
以上,2025年夏アニメ視聴の参考にして頂ければ幸いである。