*この記事は各作品の内容に関する部分的なネタバレを含みます。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

不快に湿った猛暑が日本列島を襲う中,2025年春アニメもぼぼすべての作品が放送を終了した。今回も恒例通り,2025年春アニメの中から当ブログが特にクオリティが高いと判断した10作品をランキング形式で振り返ってみよう。コメントの後には,作品視聴時のXのポストをいくつか掲載してある。今回は「中間評価」の記事でピックアップしたものから異動はない。
なお,この記事は当ブログの評価基準において「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているため,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。
10位:『Summer Pockets』
【コメント】
ヒロインはもちろんのこと,主人公・羽依里を含めたすべてのキャラクターの作画の安定度には驚くべきものがある。作画のブレは1ミリもなく,常に“眼福”状態で美麗な作画を楽しめる作品だ。物語面でも正に“The Key 作品”という王道の展開で,Keyの恋愛ゲームを美しくアニメ化するという点においては,これまでで最も成功していると言っても過言ではないだろう。しかしそれだけに,綺麗にまとまりすぎて新鮮味に欠けた感は否めない。連続2クール作品で,本記事執筆時点では中盤の話数なので,今後の展開に期待したいところだ。
『サマポケ』1話。とても素晴らしい1話でした。これぞKeyという導入に感動すら覚えた。小原さん超大ファンなので、しろはの演技にはやられました。それと作画が予想以上に素晴らしい。羽依里が寝っ転がってるところの身体デッサンとか服の皺とか、基本的なことなんだけど、#サマポケ#サマポケアニメ pic.twitter.com/gYw7PD6fCa
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月7日
『サマポケ』2話。1話にいろんなものを詰め込むアニメが多い中、こういうゆったりした時間を感じさせる作品はいいですね。小原好美さん大好きなので、しろはのこの「変なの」だけで白飯10杯はいける。それとさっきも言いましたが、EDアニメーションもたいへん面白い。#サマポケ#サマポケアニメ pic.twitter.com/G3TvYvvN9q
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月14日
『サマポケ』6話。病弱の少女が「夢」において「夢」を叶えるという、これぞKeyというべき物語。Keyにはいつまでもこうした切ない物語を紡ぎ出していってもらいたいですね。#サマポケ #サマポケアニメ pic.twitter.com/2ryD83CQyw
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月12日
9位:『九龍ジェネリックロマンス』
【コメント】
まず第3の“主人公”とも言える「九龍」の美術が素晴らしい。この点を丁寧に描写した点だけでも,アニメ制作班の功績は大きいと言える。また,主演の白石晴香と杉田智和の落ち着いた演技は,“大人のロマンス”という本作の醍醐味を十二分に伝えていた。さらにこれらが相俟って,この作品における「場所へのノスタルジー」「絶対の私」というライトモチーフを的確に表現し得ていたと言える。話数不足のためか,後半はやや急ぎ足になり,実写映画の“販促”という印象になってしまった感はあるが,原作者・眉月じゅんが作品に込めた思想を伝えることには一定の成功を収めたと言えるのではないか。
『九龍ジェネリックロマンス』1話。とてもよかった。プロップの錆とか背景の廃墟具合とかを美しく描くアニメはそれだけで正義。しかもそれが「懐かしい」という感情と対応していて、単なる装飾ではなく作品のテーマと緊密に関連している。抑えめの劇伴もよかった。#九龍ジェネリックロマンス #九龍GR pic.twitter.com/Rt0iuws9zZ
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月5日
『九龍GR』2話。いいですねー。全身整形で過去を消した女との邂逅。歴史のないシワ。謎の開示の仕方がシンボリックでワクワクする。それと、煙草を吸う大人同士の恋愛って、昨今アニメではあまり見られなくなったんで、とても新鮮でいい。#九龍ジェネリックロマンス#九龍GR pic.twitter.com/dbEqiW0ord
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月12日
『九龍GR』3話。いいテーマですねえ。そもそも人は他者の欲望を欲望する生き物(ラカン)だから、欲望のオリジンなんてわからないんですよね。だからこそ、それが自分のオリジナルであることを信じる他ない。#九龍ジェネリックロマンス#九龍GR pic.twitter.com/zTJMSnukE2
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月19日
『九龍GR』8話。面白いですねー。工藤の「どこにも行くな」と鯨井の「どこにも行かないで」は本来意図の異なるものなんだろうけど、結局2人の中に生まれた“存在の絶対性”という決意と“愛”という感情において、この2つのセリフの意味が一致する。本当に綺麗な大人のロマンスです。#九龍GR pic.twitter.com/u0n7Vj3ZtE
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月24日
『九龍GR』最終話。人が世界を丸ごと作ってしまうほど世界に執着するということ。ハルヒ、ララァ、工藤が創造したエンドレス8の反復世界は、わずかな差異を生み出しながら世界を変えていく。それはおそらく、彼ら/彼女らが執着していたのが、本当は世界ではなく人だったからなのだろう。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月28日
#九龍GR
8位:『ロックは淑女の嗜みでして』
【コメント】
ロック×お嬢様という“ミスマッチ”設定自体がすでに面白いが,そこにリアルな演奏と楽曲,そして関根明良と島袋美由利のドラ声という天然の歪みエフェクトが加わり,アニメーションとしてとても楽しめる作品に仕上がっていた。また物語面においても,お嬢様という体面と本当に好きなこととの間の葛藤,完璧な演奏と楽しむこととの乖離,そしてそこから1つのバンドへと進化していく過程がドラマチックに描かれていた。現時点で続編の報はないが,ぜひとも今後の展開を期待したい作品である。
『ロックレディ』5話。伝統的バンドアニメのフロントマン的存在へのアンチテーゼ、その対比としての吹奏楽アンサンブルと『ユーフォ』的価値観へのリスペクト。そして妹ちゃんの求めていた姉の理想像が実はコレだったという“解答”提示。本作らしい要素を凝縮した素晴らしい脚本でした。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月1日
#ロックレディ pic.twitter.com/rLTQRLlZgL
『ロックレディ』8話。いい話数でした。関根さんの声のゲインが上がって割れるんですよ。まさしく天然の歪みエフェクト。ギターのディストーションとのマッチが耳心地いい。これもアニメ化による付加価値ですね。“技巧の前に音の楽しさがある”という思想の提示も本作らしくていい。#ロックレディ pic.twitter.com/DsZbQBNND0
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月22日
『ロックレディ』9話。小説やマンガと違って、アニメは演奏の時間がリアルに再現されるので、その現実的な尺をどう演出するかが見どころでもある。例えば『ユーフォ』なんかは音の(暫定的)完成形を示すが、本作は完成までの過程を示すんですよね。その生々しさがとてもよかった。#ロックレディ pic.twitter.com/qvHfV1KEWj
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月29日
『ロックレディ』11話。「ただのお遊び」呼ばわりされた際のダッチアングルと不穏な色彩、弥生側から押し寄せる暗雲。的確な演出でした。結局りりさにとって「ノーブルメイデン」は自由を圧殺する「アイアンメイデン」に過ぎないのか。低音弦ミュートの中指が自由の軛を完全否定する。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月12日
#ロックレディ pic.twitter.com/hVsIhhrlwa
『ロックレディ』最終話。もー最高の最終話でした!確かに音楽って“ぼっち”でも楽しめるんですよね。でも真のエロス(快楽、愛)に到達するには〈他者〉が必要なんですよ。これってバンドマンガ・アニメに普遍的なテーマなのかもしれませんね(あの『Ave Mujica』ですらね)。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月26日
#ロックレディ pic.twitter.com/5K8bH2qicS
7位:『ウマ娘シンデレラグレイ』
【コメント】
まず評価したいのは,ウマ娘一辺倒の描写ではなく,トレーナー・北原との関係性を重視し,これまでのシリーズ以上に人間関係の描写を深めた点だ。その意味でも,キャラクターの悲喜を的確に演じる小西克幸のキャスティングは正解だったと言える。また,オグリキャップの前傾姿勢を活かした構図や効果的な止め絵など,作画面でのクオリティも極めて高い。後半のタマモクロス登場による盛り上げ,オグリキャップの敗北による“引き”の作りなど,脚本面での完成度も高い。すでに続編の報が出ている。今後の展開を楽しみにしよう。
『シングレ』4話。2段スパート時のソニックブームみたいな爆音SEかっこよかったですね。この写真だと分かりづらいですが、オグリの周囲に円状の衝撃波っぽい効果が施されている。まさにロケット。それとオグリが大好きになっちゃったノルンエースもとてもよかった。#シングレ #アニメウマ娘 #ウマ娘 pic.twitter.com/J042etcHDt
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月27日
『シングレ』5話。北原をフィーチャーしたのいいですよねー。小西さんの声は張りと抜け感があるけど、負を背負った演技も最高にうまい。北原の異常を瞬時に察知するオグリの芝居もいい。ここまでで2人の信頼関係を丁寧に描いているからこそ、最小限の芝居で伝わるんですね。#シングレ #アニメウマ娘 pic.twitter.com/JCeNlGyVMs
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月4日
『シングレ』6話。とてもとてもとても素晴らしい話数でした。とにかく北原トレーナーの掘り下げがいい。今回の小西克幸さんには『グレンラガン』のカミナ並みに泣かされました。前話の時も言いましたけど、小西さんの演技やっぱすごいわ。北原と六平さんとの関係性もいいですねー。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月11日
#シングレ pic.twitter.com/ko5mLwubkG
『シングレ』9話。違和感と共に始まるレース。それでも視聴者はそれなりの理由づけをして普段通りに観る。しかし実はルドルフによる脳内モンタージュの世界だった。実に面白い叙述トリックでした。物語は虚構だったが、オグリは確かに伝統を変えるモーメントとなった、という流れもいい。#シングレ pic.twitter.com/niYcakElPH
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月1日
『シングレ』最終話。ここはマジでゾワっと鳥肌立ちましたね。そしてオグリにとっての北原と同様、おっちゃんがタマの勝利への原動力になっているというキャラの関係性がとてもよかった。ある意味で“美女と野獣”のような関係性ですね。第2クールも楽しみにしております。#シングレ pic.twitter.com/STLK5qujnp
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月29日
6位:『mono』
【コメント】
オバケ,背動,極端な構図などの作りに遊び心が多く,作画面でとても楽しめた作品だった。この作品はもともと超広角の歪んだ構図が多いため,作画の遊びとの相性がいい。その点を存分に活かした演出が本作の面白さをブーストしていたと言える。“上手い”アニメーターが揃っていた印象だ。アニメーションの楽しさという点では,おなじあfろ原作の『ゆるキャン△』より優っていたと言っても過言ではない。また,三川華月,古賀葵,遠野ひかる,上田麗奈ら主演のかけあいも楽しく,「玄熊先生」役・羊宮妃那のキャスティングも面白かった。総じて,今期の日常系アニメとして最も成功していたのではないだろうか。ぜひとも続編制作を期待したい作品だ。
『mono』3話。ここ面白かったですね。強風と不穏な雲、ビネットを施した主観カメラ。てっきり天候が悪化するかと思いきや、美しい夕景が広がるという流れ。このアニメ、キャラの芝居も含めてなかなか凝った作画してると思いますよ。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月26日
#mono pic.twitter.com/YTp2rhdnqy
『mono』4話。今回はとにかく作画が面白くて。1枚目のアンが手を振るところ、これだけ小さいのにちゃんと指まで動かしてる。キャラの崩し方とかカメラアングルとかもむちゃくちゃ面白かったですね。4枚目は後ろの木だけ背動なのかな?いろんな技が観れて大満足の話数でした。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月3日
#mono pic.twitter.com/Uiwn4SsEk1
『mono』5話。面白かった!ここら辺は部分的に背動なんですかね。エモいです。そしてエモいと言えば除霊シーンのトンネル出るところ。ここを手描きでこってりしっとり描いてきたのは驚いた。それをひっくり返すオチも面白い。そしてクロクマ先生、ゴスロリの上に中の人が羊宮さんで最高でした。#mono pic.twitter.com/7iN454Empj
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月10日
『mono』6話。むちゃくちゃ面白かった。アンのきゅうりから回想(?)までの流れのテンポ感が最高。こういうのを観るとアニメ化されてよかったと思う。それと4枚目の路地裏のシーン、美術が完璧かつ素晴らしい構図・人物配置でしたね。うまいと思う。#mono pic.twitter.com/YHGx17D1fY
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月17日
『mono』8話。スケボー関連の作画がほんと面白かった。桜子が技を見せるシーンはオバケ的な技法をたっぷり使っていて、スピード感もタイミングもバッチリ。ギャグとしても完璧に成立していた。そして最後の背動。見せてくれますねー。最高でした。突如劇画タッチになるところも吹いた。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月31日
#mono pic.twitter.com/kXgDCso5Dw
『mono』10話。すっばらしい。可愛くまとめたAパートに対し、Bパートはまさに自由。この作品はもともと超広角で空間が歪んだ描写が多いので、アニメにした時にも遊びやすいんですよね。うまい上にアニメーションの遊び心を心得た人が作った話数は最高に楽しい。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月14日
#mono pic.twitter.com/F2sdPjIPuG
『mono』最終話。まさかの最終話で“新キャラ”登場。ノリばかりか作画のノリまで違うキャラに笑うしかなかったわけですが、最後の最後に先輩が出てきてホロリまでの流れ、完璧でしたね。アニメーション的には『ゆるキャン』よりも楽しめたかも。#mono pic.twitter.com/2oLgDLBDvJ
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月28日
5位:『LAZARUS ラザロ』(オリジナル)
【コメント】
13話という限られた話数の中で適度に緩急を付けつつ,スキナーの壮大な企みを描き切った本作。渡辺信一郎監督らしい,重厚かつ音楽性を感じさせるアニメ作品だった。アクセルを中心としたアクション作画も実にユニークで見応えがあった。人類という種を罰する“神”の視点と,隣人としての個を愛する“イエス”の視点。この類のテーマ設定は,アニメでは決して珍しくはないが,本作は多くを詰め込みすぎず,コンパクトな脚本と魅力的なアニメーションと声優の卓越した演技とで,これを的確に伝えることに成功していたと言える。
『LAZARUS』1話。いやーもう素晴らしいの一言。ずーっと見入ってしまった。冒頭の幻想的なシーンで視聴者を世界観に引き込み、アクセルのパルクールで魅了する。特にアクセルがクレーンからクレーンに飛び移る場面の身体描写、ちょっと仰天しましたね。作画技術の塊ですよこれ。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月6日
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『ラザロ』5話。アクセルがエレベーターに乗った直後の警備員との無言の力くらべ、ちょっと見たことがない芝居でしたね。そしてこのゴタゴタの中、エレイナが「ライバル見つけちゃった」みたいな晴れやかな顔を見せるのもとても面白い。ちなみにこの子、15歳らしいですね。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月4日
#LAZARUS #LAZARUS_anime pic.twitter.com/S3zFFtgeyn
『ラザロ』7話。他のメンバーがスキナーの海を“満喫”する中、一人残されたエレイナがリゾート気分を味わおうとする。アポカリプスまで差し迫ったこの世界で、あえてのアダージョ。これが渡辺監督の時間感覚であり、ひょっとしたらスキナーが愛した時間感覚なのかもしれない。#LAZARUS #LAZARUS_anime pic.twitter.com/00ykjK80Jd
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月18日
『ラザロ』8話。アウトローの寄せ集めにすぎなかった彼ら/彼女らが、仲間を助けるために全力で助け合う。アクセルの「今のお前を助けに来た」という台詞に痺れる。過去を捨てようとして捨てきれていなかったクリスにとって強く響く言葉。そして手の芝居、最高でした。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月25日
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『ラザロ』11話。ここへ来て彼女の笑顔に安堵させられるとは露とも思わなかった…いや、思っていたのかな。そんな風に感じさせるキャラメイクの按配が最高。双竜の“動く紙芝居”風の回想も素晴らしかった。この終盤の話数で、“ヴィラン”に感情移入させてくるわけですからね。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月15日
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『ラザロ』最終話。僕も〈人類〉が大嫌いなんですよ。こんな薄汚い種族は滅びればいいとすら思っている(そして猫がこの惑星の主人になればいいと思っている)。でも〈人〉は存外、悪くないんですよね。この感情、実は結構多くの人が抱いている感情じゃないかと思ってます。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月29日
#LAZARUS_anime #LAZARUS
4位:『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』
【コメント】
新キャラにせよ旧作キャラにせよ,キャラク(ター)の(リ)メイクという点で群を抜いて優れた作品だった。特に第4話のみ登場したシイコ・スガイと,終始“狂言回し”として立ち回ったシャリア・ブルに関しては,近年のガンダムシリーズの中でも際立ってユニークなキャラ造形だったと言ってよいだろう。旧作の換骨奪胎によるサプライズも大変楽しませてもらった。しかし敢えて厳しい言い方をすれば,結局は“2次創作”の域を出なかったことは残念である。往年のファンの間に,瞬間最大風速的なお祭り騒ぎを引き起こしはしたが,肝心のマチュ・ニャアン・シュウジの扱いを掘り下げるには至っておらず,“新しいガンダム”を作りだせていたとは言い難い。それでもこの順位になったのは,ひとえに先述のキャラメイクの妙を評価してのことである。
『ジークアクス』4話。もー素晴らしい話数でした!シイコのキャラクターが最高。ンフフなしめじみたいな雰囲気で登場しながら、目を開いた時の瞳の色彩が毒薬のよう。かと思えばヘルメットを脱いだ時の髪の乱れが少女のような“隙”を見せる。そして母としての最期。#ジークアクス #GQuuuuuuX pic.twitter.com/PPBxhz01ds
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月29日
『ジークアクス』5話。マチュとニャアン、脱いだ後の服の置き方が違うわけですよ。話数タイトルも「ニャアンはキラキラを知らない」ですよ。2人が“ニュータイプ/オールドタイプ”的な対比関係にあると思わせに来ている。そしてそれをひっくり返す。素晴らしいミスリード。#ジークアクス #GQuuuuuuX pic.twitter.com/iNoI0Wqao4
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月6日
『ジークアクス』6話。いやーシャリア・ブルやっぱいい。今回も旧作のキャラがぼちぼち出てきたけど、シャリア・ブルが一番面白い。ラストの“舞い降りたのは天使か悪魔か”みたいな登場なんか仰天した。画像3枚目のカット、瞳孔開き気味の目とメガネの光の処理がとてもいい。#ジークアクス #GQuuuuuuX pic.twitter.com/syOygFqzv7
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月13日
『ジークアクス』9話。もう最っっっ高のララァでした。ラストの髪が解けるシーン、“向こう側”の彼女のアルター・エゴとして見事な存在感だった。そして羊宮妃那さんですよ。高松燈、小佐内ゆき、そしてララァ・スン。“神秘性”という方向性の演技にどんどん磨きがかかってる。#GQuuuuuuX #ジークアクス pic.twitter.com/vE79UgyN8A
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月3日
『ジークアクス』最終話。紛れもなく『エヴァ』を作った人たちの『ガンダム』でしたね。なんだかんだで、この宇宙のララァが幸せになってくれそうな結末が何より嬉しかった物語でした。マチュとニャアンに関しては…二次創作勢の皆様、がんばってください(笑)#GQuuuuuuX #ジークアクス pic.twitter.com/etJ6Bpgelb
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月24日
3位:『薬屋のひとりごと 第2期』
【コメント】
第1期4話のような作画面での“サプライズ”は結局なかったが,後半の話数における子翠=楼蘭にまつわる描写が大変素晴らしかった。アクションのような派手な演出ではなく,表情作画と繊細な芝居で視聴者を惹きつけた演出力は,現代アニメの“日常芝居”の1つの到達点として高く評価されるべきだろう。また壬氏はもちろんのこと,羅漢・羅半らワキの男性キャラを魅力的に描いていた点も評価に値する。特に第44話における羅漢の直願の所作(下記Xのポストを参照)は,CV・桐本拓哉の渋い演技とも相俟って,キャラの魅力を大いに高めるのに一役買った。すでに続編の報が出ている。今後も末長く楽しみたい作品だ。
『薬屋のひとりごと』41話。子翠が身バレする際の表情変化がいい。冷たい表情から覚悟の表情へ。そして目を映さない唐突な哄笑。こういう作画があるとキャラの厚みが増しますね。それとこれまでずっと後宮だったので、今回はRPGで新しい町にやってきたような新鮮さがあった。#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/xCTRiLuy9O
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月2日
『薬屋のひとりごと』43話。子翠が母の虐待を満面の笑みで語った後、カメラは敢えて彼女の眼を写さないんですよね。子翠の中に溜め込まれた様々な感情を暗示するようで、とても繊細な演出。素晴らしい。それと土着の“奇祭”に外部の人間が入り込むという状況って、
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月23日
#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/63GkHubVw2
『薬屋のひとりごと』44話。いやーラストの羅漢が全部持っていきましたね。それまで口汚い罵詈で攻め立てていた羅漢が羅門の言葉で目覚め、正式な儀礼的所作をもって壬氏に直訴する。西陽が差すとか眼鏡に壬氏の姿を映すとか、何もかもカッコいい。こういうの大好物です。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月30日
#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/XfURCWaXxi
『薬屋のひとりごと』45話。ここの芝居は完璧でしたねー。猫猫に「子翠」と呼ばれて一瞬戸惑い、表情を欠いた人形「楼蘭」として応じるかと思いきや、穏やかな笑みを浮かべ、最後には完全に「子翠」になる。彼女の複雑な感情の機微を詰め込んだ素晴らしい作画でした。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月6日
#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/wPZCepqV11
『薬屋のひとりごと』47話。ここ数話における子翠≒楼蘭の表情作画が本当にいい。化粧で固めた人形としての楼蘭、それを否定する黒い煤、そして「悪女」としての返り血。話数を追うごとに重ねられる壮絶な生き様。そしてそれら全てを否定しつつ肯定する最期の笑顔。見事でした。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月27日
#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/cAvv5K4YSe
『薬屋のひとりごと』最終話。回想とその後の1カットで、猫猫のすべての感情を伝える。うまいですね。ここはグッと来ました。それと猫猫と壬氏のこのカット、最高ですよ。今現在の彼女と彼の関係性をこれほど的確に要約した画はない。それとラストに、僕らが一番見たかった笑顔。#薬屋のひとりごと pic.twitter.com/JcCAI9geo9
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年7月4日
2位:『小市民シリーズ 第2期』
【コメント】
前半の『秋期限定栗きんとん事件』によって,再び互いに向き合うことになった小鳩常悟朗と小佐内ゆき。後半の『冬期限定ボンボンショコラ事件』では,推理小説の“謎解き”という体裁をとりつつも,2人の関係性の描写がメインテーマだったように思える。特にアニメ第21話では,小佐内が小鳩の手をとる所作と表情の作画,小鳩が泣く芝居など,これまでには見られなかった感情的な表現が多く見られた。文字媒体でロジカルに語られた原作小説に対して,アニメでは映像媒体でエモーショナルな成分の比率を上げてきた格好だ。それによって,この作品に対して多くの視聴者が抱く,“恋愛なのか,そうでないのか”というもどかしさのようなもの(いわゆる「付き合っちゃえよ!」という感情)がいっそう高められ,他作品にはない独特の爽やかさが生まれていたように思う。また,小佐内役の羊宮妃那の演技も素晴らしく,この“コケティッシュで神秘的で少し残酷”という多義的なキャラを上手く演じていた。イシグロキョウヘイ演出・ヨルシカ主題歌のOPのクオリティもきわめて高い。
『小市民』13話。このシーンの影は面白かったですね。夕陽が回析してる感じかな?ちょっと不気味さが出て、ドッペルゲンガーのような別人格が別次元で演じているような雰囲気になっている。この作品はこういう画作りうまいですよね。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月19日
#小市民 pic.twitter.com/IvbhNiIO9q
『小市民』16話。いいですねー。小柄で非力な小佐内がハンマーを振る芝居、その後の楽しくなっちゃって小鳩と一緒に笑うところも含めて非常によかった。そしてそのハンマーを瓜野の足元に投げるんですよね。この静かな暴力性もいい。台風の雨が静止する演出も本作らしくてよかった。#小市民 pic.twitter.com/DGTvBfePlz
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月11日
『小市民』14話。この場面の空気感の作り方、流石でしたね。十希子に見当はずれの「知恵働き」を披露する小鳩。十希子はやや鼻白むが、小鳩は顔色ひとつ変えない。2人の間の微妙な温度差が目に見えるようでした。十希子の満面の笑みでの「全然わかんない」がこの場面にとどめを刺す。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年4月26日
#小市民 pic.twitter.com/9VXJEdilzt
『小市民』17話。妙にロジカルで譲歩たっぷりな対話でしか「付き合いましょう」を伝えられない小鳩と小佐内。この2人らしい“より”の戻し方で本当に爽やかでした。青空の下の自然豊かな場所を場面に設定したのも大正解。そしてやはりスイーツを食べている時のこの2人の距離感はいいですね。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年5月17日
#小市民 pic.twitter.com/mnWtX1Y7pk
『小市民』21話。素晴らしい話数でした。この2人がここまで感情的に寄り添う場面は今までなかったですからね。手の芝居が最高なんですよ。コンテの武内宣之さんというと、ジオメトリックでお洒落な演出のイメージ(『化物語』の感じ)がしてたんですけど、今回は思いっきりエモでしたね。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月14日
#小市民 pic.twitter.com/CTmaux2Kv3
『小市民』最終話。もーここの小佐内さんの芝居が良すぎて最高!“小佐内ゆき”というキャラの美味しい所を濃縮したようなカットでした。思えばこの作品、小佐内さんのキャラを楽しむ作品だと言っても過言ではない(多少過言かも)。このキャラを作り出してくれた米澤先生とアニメ班に感謝。
— 🐾オフレット🐾 (@alter_Ego_3_02) 2025年6月21日
#小市民 pic.twitter.com/o9FWSUD5cP
1位:『アポカリプスホテル』(オリジナル)

【コメント】
久しぶりのオリジナルアニメ1位である(2021年夏アニメの『Sonny Boy』以来)。オリジナルアニメとしての特性を存分に活かし,毎話予測のつかない展開によって視聴者を楽しませた傑作喜劇。時にナンセンスとも思えるエピソードを挿入しつつも,その根底には,人類の尺度を超えた時間に対するかけがえのない一時,人類文明の悲壮感,生と死,などといった深いテーマが流れていたように思う。特に「#11 穴は掘っても空けるなシフト!」は,11話という終盤の話数にもかかわらず敢えて物語を滞留させ,淀みのように静かな時の中で,主人公・ヤチヨの“感情”と“思想”の深まりを描写していた。近年のオリジナルアニメの中でも,群を抜いてクオリティの高い話数だったと言えるだろう。
ヤチヨというキャラの造形もたいへん面白かった。ホテリエでありながら少女のように愛らしく,ロボットでありながら人間以上に人間くさい。彼女の存在があったからこそ,人類不在の地球という極限的終末世界を楽しむことができたのかもしれない。最終話では,人類は広い宇宙の中のone of themとして相対化されたが,人類の灯火が消え去ったわけではない。仮に僕らが消え去ってしまったとしても,ヤチヨという“ヒューマノイド”が存在してくれていれば,この地球は楽しいのだ。ヤチヨの代が八千代に続かんことを。
『アポカリプスホテル』3話。ほんといいアニメ。とにかくヤチヨの見せ方がうまい。キャラデザだけでなく、作画・芝居でキャラの魅力や可愛らしさを表現している。アニメーションの極意ですよ。“終末世界を舞台にした喜劇”という、悲喜が綯い交ぜになった物語の妙も面白い。
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『アポカリプスホテル』6話。とっくにアポカリプスの世界に出遅れたハルマゲドン、ヤチヨの恋(???)、アメコミアクションに朴路美さんの猛烈エモい挿入歌。これだけカオスなのに最後は「文明の価値とは」でまとまるんですよねー。今回もむちゃくちゃ面白かったです。
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『アポカリプスホテル』4話。ヤチヨのセーブモードとか最高に笑えたわけですが、一方で終始“食う/食われる”というシビアな弱肉強食的テーマを見せていたのがとても面白かった。ラスト、ポン子ちゃんが1人だけ泣きながらミミズを食うところがよかったですよ。最高の話数でした。#アポカリプスホテル pic.twitter.com/T070IDKEMZ
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『アポカリプスホテル』5話。ウィスキーを作るというからどうなるかと思ったら、むちゃくちゃ本格的でむしろ笑った(でもピートを忘れちゃだめ)。そして単なる酒の乱痴気騒ぎで終わらず、ラストは“待つ時間の意味”という、この作品の核心部分へと繋がる。素晴らしい脚本でした。#アポカリプスホテル pic.twitter.com/PPO6gzXbXR
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『アポカリプスホテル』9話。この作品らしいぶっ飛んだ展開でしたが、数百年という時間があっという間に過ぎるこの世界において、この1日を「栞」として心に留めるというとても素敵な想いが込められた話数でした。人間が1人もいないのに、とても人間味溢れるエピソードでしたね。#アポカリプスホテル pic.twitter.com/kf1pnKkfq4
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『アポカリプスホテル』10話。最高にぶっ飛んでいて最高に面白かった。死体に翻弄されるという、ヒッチコック『ハリーの災難』を思わせるプロットに、『サイコ』を思わせるカット。そして「映画っていいですね」的な価値観の提示。紛れもなく映画好きの人の本ですね。最高です。
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『アポカリプスホテル』11話。これは驚きました。最終話へ向けて加速してくるかと思いきや、思いっきりラルゴですよ。ヤチヨが“ヒロイン”であることを印象付ける衣装チェンジの演出もとてもよかった。そしてその一方で、“人がいない世界”の侘びを背景美術でたっぷり見せつける。
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『アポカリプスホテル』最終話。素晴らしい最終話でした。実は最終話の予告編を見て「人類帰還か…普通だけどまあいいか…」みたいに気分だったんですよね。ところが蓋を開けてみれば、ヒューマニティを完全相対化して地球を丸ごと「ホテル」にするという、完璧なタイトル回収。
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● その他の鑑賞済み作品(50音順)
『アン・シャーリー』『謎解きはディナーのあとで』『日々は過ぎれど飯うまし』『ユア・フォルマ』『リコリス・リコイル ショートムービー』
以上,当ブログが注目した2025年春アニメ10作品を紹介した。
当ブログは本来オリジナルアニメを推しているのだが,0から作り上げる作品が,原作付き作品の質を超えていくのはなかなか難しい。そんな中,『アポカリプスホテル』という素晴らしい作品と巡り会えたことを喜ばしく思う。
また当ブログでは,キャラメイキングや日常芝居が巧みな作品を高く評価することが多いが,特に2位以下の『小市民シリーズ 第2期』『薬屋のひとりごと 第2期』『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』などにそれが実現されていたように思う。さて,夏アニメではどの作品に優れたキャラと芝居を観ることができるだろうか。
2025年夏アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。