アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2025年 秋アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事は各作品の内容に関する部分的なネタバレを含みます。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

ピリピリと凍てつく北風が身も心も吹き枯らす中,2025年秋アニメもほぼ全ての作品の放送が終了した。今回も恒例通り,2025年秋アニメの中から当ブログが特にクオリティが高いと判断した9作品をランキング形式で振り返ってみよう。コメントの後には,作品視聴時のXのポストをいくつか掲載してある。今回は「中間評価」の記事でピックアップしたものから変更はない。

なお,この記事は当ブログの評価基準において「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているため,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。

www.otalog.jp

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9位:『不滅のあなたへ Season 3』

www.nhk-character.com

【コメント】
「現世編」に生きる人々はなぜ死を求めるのか。それを不死であるフシがどこまで理解できるのか。“不死”という設定と“死”という現実がこれまで以上に僕らに“近い”ものとしてテーマ化されている。また,血と運命に翻弄されるミズハのキャラメイクはたいへん見応えがあった。作画と美術のクオリティを維持できなかったのは惜しいが,完結編まで楽しめる作品になりそうだ。全22話の連続2クール作品のため,2026年1月10日(土)から放送が再開される(第1クール最終話の第13話が緊急地震速報で中断されたため,1月10日は第13話の放送となる)。

 

8位:『SPY×FAMILY Season 3』

spy-family.net

【コメント】
全体的なテンポもよく,本作の持ち味であるギャグとシリアスの絶妙な配分がアニメでもよく再現されていた。またSeason 3では,「子どもが笑顔でいられる世界」というメインテーマが改めて明確に示されていた点も評価に値する。最終話Cパート,ユージンの手がけた「アーニャの夢」は,このテーマに独自の世界観で寄り添ったビジュアルだったと言えるだろう。夏目真吾によるOPアニメーションスピッツの主題歌「灯を護る」幾田りらの主題歌「Actor」も本作のテーマ性・世界観に非常によくマッチしていた。具体的な続編の報は出ていないが,まず心配はないだろう。

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7位:『私を喰べたい,ひとでなし』

wata-tabe.com

【コメント】
妖怪と人との邂逅を学園モノ的な“ガール・ミーツ・ガール”へとコンバートした本作。比名子(人)と汐莉(妖怪)の関係性はもちろんのこと,汐莉(妖怪)と美胡(妖怪)の関係性が丁寧に描写されていた点が面白い。特に最終話では,比名子との対話に汐莉が戸惑い,それを美胡が気遣うという“人間関係”の機微が繊細に演出されていた。美胡が汐莉の足を蹴る所作(下のX投稿を参照)などは,まるで“腐れ縁”を見せられているかのような微笑ましさすら感じた。本来,敵同士であるはずの汐莉と美胡が,比名子という存在をめぐって友情のような関係性を育む。仮構された世界の中の,もう1つの仮構。素朴な作画ながら,物語面においては繊細かつ重曹的な世界観を見せた作品だった。続編の報を期待しよう。

 

6位:『SANDA』

sanda.red

【コメント】
アクションはもちろんのこと,三田(少年)からサンタクロース(老人)へのメタモルフォーゼや,冬村と小野の対照的な身体描写など,作画面で見応えのある描写が多い作品だった。また「10組」の光源使いなど,アニメならではの演出も特筆に値する。総じてアニメ化による付加価値の多かった作品と言えるだろう。“子どもであること”の価値と“成長すること”の価値のせめぎ合いという渋めのテーマに加え,深い時間帯の放送ということもあり,リアルタイムの盛り上がりは限定的だったが,アニメーションとしての完成度は間違いなく水準以上である。『ダンダダン』を含め,昨今サイエンスSARUはマンガ原作TVシリーズに積極的に乗り出している印象だが,今後もこうした制作方針のもと,ユニークな作品を作り続けていくことを期待したい。続編の報を待とう。

 

5位:『らんま1/2 第2期』

ranma-pr.com

【コメント】
旧作のキャストを多く引き継いで視聴者のキャライメージを大事にしつつ,デザイン面では可愛らしさを強調して現代風にアップデート。新旧の要素をうまく按配することに成功していたと言えるだろう。チョー(早乙女玄馬),大塚明夫(天道早雲),杉田智和(九能帯刀),佐倉綾音(九能小太刀),石田彰(五寸釘光),井上和彦(八宝斎)など,新作からのキャストもきわめて的確。作品の旨みを十分に引き出していた。可愛らしさの一方で,八宝斎のような奇怪なキャラの作画・芝居も大変面白く,これぞ“るーみっくわーるど”と頷かせる説得力があった。また第17話の杉本ミッシェル回など,各話演出の個性が発揮された話数もあり,コアなアニメファンも喜ばせる作りをしていたのも評価に値する。公式の最新情報によれば,2026年3月に「重大発表」があるとのことなので,続編制作は間違いないだろう。このままの勢いで,旧作では製作されていなかった完結編を期待したいところだ。

 

4位:『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』

tojima-rider.com

【コメント】
Cindy H. Yamauchiのコッテリとしてキャラデザ,小西克幸,茅野愛衣ファイルーズあい,津田健次郎らCVのやたらと濃い演技,そしてどぎつい格闘戦でのギャグ。これほど隅々まで力技に徹したコメディ作品も昨今珍しいのではないか。もちろんこの点に関しては好みの問題もあり,中には胃もたれを起こす視聴者もいるだろうが,個人的には今期一番“声に出して笑えるアニメ”として高く評価したい。そして濃いと言えば,一葉の妹・二葉とその師匠・トラマスターのキャラも濃すぎるくらい濃い。二葉役の小清水亜美とトラマスター役の朴路美の相性も抜群で,この2人の演者の力量と存在感を改めて思い知らされた。一方で,“ショッカーは実在した”という設定やそれぞれのキャラが背負った過去など,シリアスなドラマも見応えがある。今後の展開も楽しみだ。連続2クール作品のため,2026年1月10日(土)より放送が再開される。

 

3位:『グノーシア』

gnosia-anime.com

【コメント】
まず特筆すべきは画作りだ。ゲーム原作の奇抜なキャラクターデザインと色彩を綺麗にまとめつつ,挑戦的なカメラワークで画面を構成する。会議室での集合風景をマスターカットとし,そこから各キャラクターのアップの作画や,個室での密度の高いツーショットを見せていくという構成が上手く,ビジュアル的に飽きのこない作り方が成されている。デザインの妙もあって,1つひとつのカットがアート作品のように感じられる場面も多い。
無論,物語面の魅力も高い。いわゆる人狼ゲームを素材としているため,当初こそ“ゲーム原作”を思わせる脚本だったが,話数が進むにつれ,セツステラSQコメット沙明らのキャラクターが掘り下げられていく。特に後半の話数では,単にゲームの流れをなぞるのではなく,キャラクターとその物語の描写を徹底している。一言で言えば,“ゲーム原作を感じさせない”作りになっているのだ。これにはシリーズ構成・脚本の花田十輝の貢献度が高いだろう。ゲーム原作と比較し,アニメオリジナルの設定や演出を洗い出してみるのも面白いだろう。連続2クール作品のため,2026年1月10日(土)より放送が再開される。

 

2位:『ガチアクタ』

gachiakuta-anime.com

【コメント】
この作品は裏那圭による原作と晏童秀吉によるグラフィティがすでにかっこいいわけだが,アニメ班は的確なキャラクターデザインとアクション作画によって,このビジュアル面での魅力をブーストしている。特に第14話におけるセミュのアクションや,第16話におけるザンカのアクションなどは,アニメーションとしてたいへん見応えがあった。第21話ブンドゥス戦のアクションなどは,ぜひコマ送りで中割りまで確認したいと思わせる超絶作画だった。アクション作画のクオリティだけでも十分高評価に値する。
しかしこの作品はアクションだけではない。ルドの猛獣のようなルサンチマン,それを手懐けるエンジンの器量,ザンカリヨウの優しさ,そしてまるで幸福な孤児院のような掃除屋本部の温かさなど,抒情的な描写も優れている。それを支えているのは,個々のキャラクターの魅力であり,それに命を吹き込む声優陣の演技だ。特に市川蒼(ルド),小西克幸(エンジン),松岡禎丞(ザンカ),花守ゆみり(リヨウ),斎賀みつき(タムジー)の声質のバランスがとてもよく,それぞれに固有の激しさと優しさでキャラ(クター)に深みを与えている。
すでに第2期制作の報も出ている。連続2クールからの第2期制作ということで,ひょっとすれば完結編までのアニメ化を見込んでいるのかもしれない。期待しよう。

 

1位:『藤本タツキ 17-26』

『藤本タツキ 17-26』より引用 ©︎藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

fujimototatsuki17-26.com

【コメント】
『秋アニメは何を観る?』の記事でイチオシとしてピックアップした作品。

藤本タツキの作品には流血や惨殺のシーンが多い。しかしそれを単なる“スプラッター好み”と捉えてしまうと,彼の表現の象徴性を捉え損なってしまうような気がする。藤本の作品は,描写の暴力性が増せば増すほど,奥底にある心の温度を感じさせるような節がある。僕はそれを“血の温もり”と呼んでいる。『劇場版チェンソーマン レゼ篇』のラストで,レゼの不在を血の魔人・パワーが埋めるのも,『シカク』で吸血鬼・ユゲルシカクの命を救うのも,『予言のナユタ』でナユタが兎猫の死骸を兄・ケンジに投げつけるのも,藤本の中で猟奇性と抒情性が不可分に結びついていることを示しているように思えるのだ。『藤本タツキ 17-26』はそれを改めて感じさせてくれる作品だった。

各話で発揮された作り手の個性もこの作品の特徴だ。特に武内宣之監督『恋は盲目』(ラパントラック)寺澤和晃監督『目が覚めたら女の子になっていた病』(スタジオカフカ)など,アニメオリジナル演出をふんだんに盛り込んだ作品が目を引いた。個人的には,この2作品以外に長屋誠志郎監督『庭には二羽ニワトリがいた。』(ZEXCS)渡邉徹明監督『予言のナユタ』(100studio)本間修監督『妹の姉』(P.A.WORKS)のクオリティが突出していたように思う。特に『予言のナユタ』は,Kevin Penkinの音楽や背景美術を含め,制作班の解釈がはっきりと打ち出されていた点が面白い。

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● その他の鑑賞済み作品(50音順)
『ウマ娘 シンデレラグレイ 第2クール』『しゃばけ』『千歳くんはラムネ瓶のなか』『永久のユウグレ』『とんでもスキルで異世界放浪メシ 2』『羅小黒戦記』

 

以上,当ブログが注目した2025年 秋アニメ9作品を紹介した。

今回はオリジナル作品をピックアップしなかったが,原作付きだとしても,それぞれに制作会社やクリエイターの個性が発揮された作品だっと言える。特に『SANDA』サイエンスSARU『らんま1/2』MAPPA『ガチアクタ』ボンズフィルム『佐々木くんが銃弾止めた』『恋は盲目』『藤本タツキ 17-26』所収)のラパントラックに関しては,その制作力の高さを改めて実感したクールだった。このうち,ラパントラックは2026年冬クールの長友考和監督『正反対な君と僕』,サイエンスSARUは2026年夏クールの山田尚子総監督・Abel Gongora監督『天幕のジャードゥーガル』という,楽しみな作品が控えている。個人的にもこの2つの制作会社の評価は昨今高まりつつあるので,今後も多くの傑作を繰り出していって欲しいと思う。

さて,来年はどんな傑作アニメと出会えるだろうか。

2026年 冬アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。

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