*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なく鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

今回の記事では,2025年に視聴したTVアニメの中から,特に優れた話数を作品横断的に10話選び,ランキング形式で紹介する。各話数に関するレビュー記事も併せてご覧いただければ幸いである。
それぞれのタイトルは,水色=冬アニメ,桃色=春アニメ,赤色=夏アニメ,茶色=秋アニメのように色分けしてある。
10位:『メダリスト』 第5話

【コメント】
正式タイトル:「score05 名港杯 初級女子(あと)」
主人公・ 結束いのりの登場は少ないが,ミケこと三家田涼佳のキャラ(クター)と狼嵜光の圧倒的な演技力を描いた優れた話数。演技シーンでは,カメラワークと画角を変えることにより,2人の決定的な力の差をアニメならでは手法で表現していた。制作会社ENGIの3DCG技術の高さを垣間見た話数だった。




【スタッフ】
脚本:花⽥⼗輝/絵コンテ:上原秀明/演出:福元しんいち/総作画監督:伊藤陽祐,⻲⼭千夏/作画監督:亀山千夏,田中栞里,MIGHTY MAX MOVIE(Kim Hyeon-ah,Lee Seong-jin,Park Seo-jeong,So Eun-ji)/作画監督補佐:fincrossed
原画:亀山千夏,斉藤愛美,武川陽,須田力也,竹内広幸,黄翔麟,MIGHTY MAX MOVIE(Kan Hyeon-guk,Lee Seong-jin)
9位:『瑠璃の宝石』 第9話

【コメント】
正式タイトル:「第9話 190万トンのタイムカプセル」
谷川瑠璃の芝居や荒砥凪の“着せ替え” などによって,改めてガーリーな可愛らしさを強調していた一方で,ダムという人工物の存在感を示すことで,人・用具・自然の関係に関する原作者の思想を明示していた話数。また瑠璃の「キラキラ」という感情が,学問的探究の初期衝動として示されていた点も面白い。




【スタッフ】
脚本:谷内直人/絵コンテ・演出:みとん/総作画監督:藤井茉由/総作画監督補佐:へいせ/作画監督:渡辺暁子,柳本鈴菜,車昊,大橋知華,みとん,飛鴻動畫[RAI,Yaya]/作画監督補佐:二宮歩路,佐々木菜美子
原画:Hero/加賀朱莉/山本健/中井杏/松井大樹/岩井田夏帆/三枝蒼/伊藤史華/東野力也/力徳欽也/北岡希/Rui2/さくや/みとん/永山歩美/車昊/三口/佐々木菜美子/飛鴻動畫[劉峻偉]/A-1 Pictures[前田芽美]
【レビュー記事】
8位:『BanG Dream! Ave Mujica』 第10話

【コメント】
正式タイトル:「#10 Odi et amo.」
Ave Mujicaメンバーたちの不和からバンド復活までの経緯を描いた重要な話数。特にRiNGのカフェにおけるフカンカットは,MyGOとAve Mujicaの心の錯綜を象徴的に表していて面白い。終盤の復活ライブでは,RiNGという,狭いが故に親密なハコを舞台に用いることで,彼女たちのまなざしのやりとりを繊細に描き出していた。Diggy-MO’作詞・作曲の楽曲「Imprisoned Ⅻ」と「Crucifix Ⅹ」のコントラストもきわめて効果的であった。




【スタッフ】
脚本:晴日たに/絵コンテ:奥川尚弥/演出:古賀公一郎/アニメーションキャラクターデザイン:茶之原拓也,八森優香,Shin Joseph/CGディレクター:古賀公一郎
【レビュー記事】
7位:『タコピーの原罪』 第1話

【コメント】
正式タイトル:「第1話 2016年のきみへ」
描線の処理や久世しずかの自死のシーンの描写など,原作の過酷な表現と真正面から向き合うことを示した話数。導入部としての役割を十二分に果たしていたと言える。一方で,夜のシーンの電柱,しずかの影に入り込むタコピー,広角レンズの使用など,アニメオリジナルの演出も目を引いた。母に虐待される雲母坂まりなのシーンで締めくくるという構成も上手い。
【スタッフ】
脚本・絵コンテ・演出:飯野慎也/作画監督:長原圭太/プロップ作画監督・ハッピーアーティスト:10+10
原画:長原圭太,新井博慧,小野寺蓮,中道紘彬,ship,佐藤利幸,和谷興,dong hoon,卓子意,亀澤蘭,大谷藍生,本田舞波,伊藤晋之,10+10,飯田悠一郎,白川亮介,大島塔也,辻彩夏,廣田光平,後田信介,尾辻浩晃,中村颯,入江篤,片出健太
【レビュー記事】
6位:『小市民シリーズ 第2期』第21話

【コメント】
正式タイトル:「第21話 黄金だと思っていた時代の終わり」
小鳩常悟朗と小佐内ゆきのエモーショナルな触れ合いを強調した美しい話数。特に小佐内が感極まって小鳩の手を握るアニメオリジナルシーンは,2人の感情値の変化を美しく映像化した演出として評価に値する。後半に登場する喫茶店の〈鏡〉の演出は,「第2話 おいしいココアの作り方」にも同様のものが見られたが,演出家・武内宣之らしいユニークなセンスを感じさせる。




【スタッフ】
脚本:内海照子/絵コンテ:武内宣之/演出:高野やよい/総作画監督:具志堅眞由(Production I.G.新潟)/作画監督:高野やよい/作画監督補佐:髙橋道子
原画:高野やよい,髙橋道子,橘由美子,坂祐太,内田百香,中川雅文,縫田修,伊東佳宏,DJ,小氷
【レビュー記事】
5位:『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』第4話

【コメント】
正式タイトル:「第4話 魔女の戦争」
何はさておきシイコ・スガイというキャラメイクの妙が光った話数。登場シーンからすでにインパクト大だったが,魔女・妻・母であることに加え,ある種の少女性すらも感じさせるこのキャラ(クター)は,たった1話の登場であるにもかかわらず話題を攫った。この作品のユニークネスを決定づけるキャラ(クター)だっと言えるだろう。ラストの静かな惨殺シーンもこの話数にこの上なくマッチした演出だった。




【スタッフ】
脚本:榎戸洋司/画コンテ:荒木哲郎,鶴巻和哉/演出:荒木哲郎/デザインワークス:射尾卓弥,井関修一,絵を描くPETER,網,mebae(PONCOTAN),稲田航,ミズノシンヤ,増田朋子,鶴弮和哉/キャラクター作画監督:井関修一/メカニカル作画監督:浅野元
原画:阿部慎吾,浅野元,松原秀典,田川裕子,小口萌花,富田浩章,大塚健,田澤潮,南野諒,辻彩夏,長谷川哲也,岩堀起久,岡田直樹,宇良隆太,長部州太,柴田夏来,三木達也,杉山和隆,諸冨直也,崎山知明,宮村明,田中宏紀,根本卓弥(studo maf),徳田靖,芳山優,松村佳子,藤原舞似子,井関修一,荒木哲郎
【レビュー記事】
4位:『タコピーの原罪』第3話

【コメント】
正式タイトル:「第3話 タコピーの告解」
タコピーの主観カメラを導入することによって視聴者の感情移入を促し,罪の「告解」までの流れを原作以上に抒情的に描いた話数。中盤で最も感動的な話数と言えるだろう。反射のモチーフ,しずかの魔性,直樹のメガネ=視野の歪みといった象徴的演出も見事だった。演出家・率華の手腕が発揮された話数である。
【スタッフ】
脚本: 飯野慎也/絵コンテ・演出:率華/作画監督:率華,新井博慧,飯田剛士/総作画監督:長原圭太/プロップ作画監督:10+10
原画:simo,矢田梓,dong hoon,まなもと,村田大亮,ふじいりな,坂口翔哉,安藤誠,范言新,北田久登,中島大智,井上香蓮,兼子慎哉,Raumil Nerurkar,横田拓巳,和谷興,新井博慧,みやち,Girardin Solal,超級豆仁,町野倫太,金井亜希子,率華,山田奈月,さんざし飴,五藤有樹
【レビュー記事】
3位:『その着せ替え人形は恋をする Season 2』第18話

【コメント】
正式タイトル:「#18 俺が絶対に 俺の手で」
アニメーション作品における〈日常芝居〉の重要性を改めて再考させてくれた名話数。「脇役」たちの日常的身体を丁寧に描くことで,「主役」北川海夢の存在感を際立たせるという手法は,この物語のコアメッセージともマッチしている。そういう意味では,アニメ化されるべくしてアニメ化された作品と言えるかもしれない。「アニメーションディレクター」として参加した小林恵祐の技が光った話数である。




【スタッフ】
脚本:冨田頼子/絵コンテ:刈谷暢秀,斎藤圭一郎/演出:刈谷暢秀/アニメーションディレクター:小林恵祐/作画監督:上武優也,高橋尚矢,まりんぐ・そんぐ,Nogya,山崎淳,石田一将
原画:髙石まみ,岡本敦紀,もにうむ,榎本柊斗,岡田圭佑,原輝陽人,huyu,坂田陽斗,助川裕彦,川上雄介,豊廣彩乃,永山歩実,近澤純平,高野綾,由良,TOMATO,横山未来,飯田海,高橋千尋,庄司瑠香,杉山翔香,丘城鋭
【レビュー記事】
2位:『BanG Dream! Ave Mujica』第6話

【コメント】
正式タイトル:「#6 Animum reges.」
若葉睦/モーティスという人格の乖離を一人芝居の形で見せた上,“階段落ち”という大掛かりな演出まで仕込んだ,きわめて演劇性の高い話数。単なるサプライズ演出にとどまらない,内的不安を掻き立てる演出だった。「史上最狂のバンドアニメ」の謳い文句の通り,睦というキャラ(クター)を媒体として“狂気”を描いた優れた話数だったと言える。MyGOとAve Mujicaの命運のコントラストの示し方なども見事だった。




【スタッフ】
脚本:和場明子/絵コンテ:奥川尚弥/アニメーションキャラクターデザイン:茶之原拓也,八森優香,Shin Joseph/CGディレクター・演出:古賀公一郎
【レビュー記事】
1位:『アポカリプスホテル』第11話

【コメント】
正式タイトル:「#11 穴は掘っても空けるなシフト!」
2026年春アニメランキングで1位としてピックアップした作品だが,その決め手となった話数。ほぼ全編セリフなしの静謐な時間の流れの中で,アンドロイドであるヤチヨの振る舞いが生命と人の営みの尊さを優しく諭す。この作品は,ドタバタギャグの連続の中に深い考察を促す要素を差し入れることがままあるが,とりわけこの話数は穏やかな哲学的風合いを持った傑作だった。このような話数がオリジナルアニメの中で作られたことを喜ばしく思う。




【スタッフ】
脚本:村越繁/絵コンテ:廖程芝/演出:廖程芝,春藤佳奈監督,城戸康平,CygamesPictures[西願宏子,谷本頼洋]/演出補佐:橋本有加/総作画監督:野田康行/作画監督:CygamesPictures[村田駿,井上廉太,新村杏子,西願宏子],長沼智也,王國年,KAGO,岡崎滉,滝吾郎,矢永沙織,前川葵,塚本あかね,李信英,槙田路子,雷
原画:百藤,車車人,鹿戸大介,大泉勇斗,ズグマ,ユン,Jiji,Lee Min woo,すもも,チェ・ジユン,李信英,樂園,KassandraChapa,KAGO,AoiSora7,ginji64g,JDGE,伊藤史華,雷,少隆,CygamesPictures[蔡尚東,Chen Zitu,柳野未来,川南佑華],Chuckle Mouse Studio[Mixemirai],ProductionIG新潟スタジオ[渡部由紀子],STUDIO CHRONO9[Jubei9,GabrielMartÍnez,ZETA]
【レビュー記事】
以上,2025年TVアニメ名話数の中から10作品を挙げた。
2025年は,オリジナルアニメ『アポカリプスホテル』の中から優れた話数が現れたことが何より喜ばしい。やはり日本のオリジナルアニメは豊かな源泉である。これからもこのような傑作話数がオリジナルアニメから輩出されることを願いたい。話数単位で分析いくと,『着せ恋』第18話のように日常芝居を重視したもの,『ジークアクス』第4話のようにキャラメイクを重視したものなど,作品の個性がはっきりと見えてくる。この記事を参考に,改めて各作品を再鑑賞していただければ幸いである。
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