
- 2026年 春アニメ振返り
- ①『株式会社マジルミエ 第2期』
- ②『きみが死ぬまで恋をしたい』
- ③『グロウアップショウ 〜ひまわりのサーカス団〜』(オリジナル)
- ④『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』
- ⑤『さよならララ』(オリジナル)
- ⑥『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
- ⑦『正反対な君と僕 第2期』
- ⑧『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』
- ⑨『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』
- ⑩『天幕のジャードゥーガル』
- ⑪『逃げ上手の若君 第二期』
- ⑫『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
- ⑬『ヤニねこ』
- ⑭『幼女戦記Ⅱ』
- ⑮『ワールド イズ ダンシング』
- 2026年 夏アニメのイチオシは…
2026年 春アニメ振返り
春クールの作品で特に評価したいのは,『あかね噺』『淡島百景』『上伊那ぼたん,酔へる姿は百合の花』『春夏秋冬代行者 春の舞』『ドロヘドロ Season 2』『とんがり帽子のアトリエ』『日本三國』『黄泉のツガイ』の8作品だ。
渡辺歩監督『あかね噺』:魅力的なキャラデザ,安定した作画,噺の際のダイナミックな演出など,本作をアニメ化する上で必須の基本要素は標準以上の仕上がりを見せている。加えて,噺家や弟子陣を演じる声優の演技がとてもいい。特に主あかね役・永瀬アンナの演技は,“天才高校生”という役所として非常に説得力がある。
浅香守生監督『粟島百景』:「歌劇学校」という,煌びやかさの裏に正負の感情が犇めく場を,繊細なキャラクター描写,美術,劇伴で描き出すことに成功している。特に岡部絵美の悲劇と伊吹桂子の悔悛というテーマは,作品の奥底で通奏低音のように響き続け,物語全体に重厚な深みを与えている。まるで文学作品のような趣のアニメである。
佐久間貴史監督『上伊那ぼたん,酔へる姿は百合の花』:まず目を引くのが,各話毎に演出家の個性を打ち出した演出方針だ。物語とは別の次元で,演出そのものの考察を楽しめる作品であると言ってよいだろう。また作品のテーマでもある「百合」要素に関しても,ぼたん登場による“親和力”の変化,ジンラン登場による再変化を繊細に表現し得ている。ちな演出のOPアニメーションも極めてクオリティが高い。
山本健監督『春夏秋冬代行者 春の舞』:代行者と護衛官の間の共依存にも似た絆,悲劇に見舞われた雛菊が生み出した防衛機制としての“雛菊”。外的な設定以上に,内的な感情表現が光る叙情的な作品だ。独特な淡い色彩設計や繊細な撮影処理もこの世界観にマッチしている。またOrangestarのOP・ED主題歌による貢献度も極めて高い。
林祐一郎『ドロヘドロ Season 2』:本作の持ち味であるハードコアな要素をうまくアニメーションに落とし込んでおり,グロ表現が多いにもかかわらず,アート作品を観ているかのような感覚すら覚える。MAPPA制作アニメの中でも一際クオリティが高いと言える。すでにSeason 3制作の報が出ている。
渡辺歩監督『とんがり帽子のアトリエ』:映像化不可能と思わせるほど緻密な原作の絵を,加算・減算の絶妙な配分で見事にアニメーションとして成立させている。純粋に技術面だけとってみても,今季の中で最も高いクオリティを示した作品と言えるだろう。また「優しい魔法」というテーマを軸に,それを脅かす「禁断の魔法」を対置させながら展開する物語もスリリングで面白い。今季トップクラスの作品であることは間違いない。
寺澤和晃『日本三國』:そもそもの物語の面白さに加え,アニメではユニークなオリジナル表現を盛り込みつつ,作品に内在する感情値を増幅させた演出を随所で行っている。特に主人公・青輝に関しては,常に冷静沈着・理性的でありながら,その行動原理の根底には亡き妻・小紀への愛がある,というキャラクターの妙がうまくアニメーションとして表現されている。本作の今季のトップに食い込むことになりそうだ。
安藤真裕『黄泉のツガイ』:作画・演出のブレがなく,安心して観ていられる。当たり前のことのようだが,この手の作品では重要な要素だ。画作りが安定しているからこそ,物語に集中できる。ある意味,作画と演出そのものに感情を乗せた『上伊那ぼたん』とは対極にある作り方と言えるかもしれない。キャラメイクも魅力的で,個人的には当初“殺人鬼”として登場したガブちゃんが,今では推しキャラになっている。
この他,敢えて懐かしい作画と主題歌でBLコメディを描いた『ガンバレ!中村くん!!』,独特で愛らしいキャラ・クジマを中心に一風変わった“日常”を描たい『クジマ歌えば家ほろろ』,ニワトリの闘志と「鬼獣」の恐怖を高いクオリティの3DCGで表現した『ニワトリファイター』なども高評価に値するだろう。
2026年 春アニメの最終的なランキングは,下記の記事を参照いただきたい。
では今回も2026年 夏アニメのラインナップの中から,五十音順に注目作をピックアップしていこう。各作品タイトルの下に最新PVなどのリンクを貼ってあるので,ぜひご覧になりながら本記事をお読みいただきたい。なお,オリジナルアニメ(マンガ,ラノベ,ゲーム等の原作がない作品)のタイトルの末尾には「(オリジナル)」と付記してある。
①『株式会社マジルミエ 第2期』
【スタッフ】
原作:岩田雪花,青木裕/監督:福島利規/副監督:小田裕康/シリーズ構成・脚本:横手美智子/キャラクターデザイン:藤井昌宏/音楽:宮崎誠/音響監督:岩浪美和/美術監督:吉井駿/色彩設計:日野亜朱佳/撮影監督:野口優輔/CGディレクター:春日俊介/編集:近藤勇二(REAL-T)/アニメーション制作:J.C.STAFF
【キャスト】
桜木カナ:ファイルーズあい/越谷仁美:東内マリ子/重本浩司:小山力也/二子山和央:山下大輝/翠川:逢坂良太/土刃メイ:安済知佳/葵リリー:石原夏織/槇野あかね:天海由梨奈/古賀圭:石田彰/越谷長官:後藤光祐/萬田所長:武虎/赤坂いろは:渡部紗弓
【コメント】
2024年秋クールに放送されたTVシリーズの続編。作画等は素朴だが,“魔法少女×ベンチャーの美学”という取り合わせの妙がたいへん面白い作品である。監督が平岡正浩から『Duel Masters LOST 〜追憶の水晶〜』(2024年)などの福島利規へ交代する他,副監督は小坂春女から小田裕康へ交代,シリーズ構成・脚本は永井真吾から横手美智子へ交代,キャラクターデザインは浅間英裕が抜けて藤井昌宏単独担当,音響監督は三間雅文から岩浪美和へ交代,美術監督は大嶋健太と瀬理実穂から吉井駿へと交代,制作会社は萌が抜けてJ.C.STAFF単独担当など,座組みが大きく変化する。PVからはわずかな違いしか認められないが,作画や演出面での変化があるかもしれない。作品の変化・成長を楽しむのもいいだろう。
②『きみが死ぬまで恋をしたい』
【スタッフ】
原作:あおのなち/監督:友田康/副監督:榎本直央/クリエイティブアドバイザー:かくちたくだい/シリーズ構成・脚本:花田十輝/キャラクターデザイン:油布京子/プロップデザイン:中山奈々/美術デザイン:綱頭瑛子(草薙)/美術監督:中田洵輝(草薙)/色彩設計:中野尚美(ステラ),永井唯香(ステラ)/撮影監督:許庭禎(Cypic)/3Dディレクター:千野勝平(CHOTOTU)/編集:瀧川三智(REAL-T)/音楽:橋本由香利,未知瑠/音響監督:明田川仁/音響効果:安藤由衣/アニメーションプロデューサー:應地一晃/プロデュース:インフィニット/プロダクトサポート:EVOLROAR/アニメーション制作:ROLL2
【キャスト】
トツキ・シーナ:高橋李依/カガリ・ミミ:日高里菜/リジィ・セイラン:瀬戸麻沙美/モード・アリ:石川由依
【コメント】
原作はあおのなちによる同名マンガ。身寄りのない子どもを戦争兵器へと育成する養成学校を舞台に,“死と隣り合わせの恋”を描くファンタジー作品だ。注目はシリーズ構成・脚本を務める花田十輝。花田が百合要素中心のアニメを手がけるのは,おそらく『やがて君になる』(2018年)以来となる。無論,花田は“百合脚本家”というわけではないのだが,『やがて君になる』が評価されただけに,この方面での手腕を期待したくなる。監督は『僕の心のヤバイやつ』(2023年)『ガールズバンドクライ』(2024年)(以上2作品は花田十輝脚本)『逃げ上手の若君』(2024年)などに演出家として参加経歴のある友田康,制作は『恋は双子で割り切れない』(2024年)のROLL2である。
③『グロウアップショウ 〜ひまわりのサーカス団〜』(オリジナル)
【スタッフ】
原作:キルクスコレクション協会/監督:亀井幹太/キャラクター原案:深崎暮人/シリーズ構成:菊池たけし/キャラクターデザイン・総作画監督:牧野和俊/助監督:髙橋さつき/アクション監修:稲田正輝/絵本デザイン・エフェクトデザイン:まつもとあやね/時代考証:山田順子/イメージボード:六七質/美術監督:橋本巧/美術設定:綱頭瑛子/美術レイアウト:平義樹弥/色彩設計:ホカリカナコ/CG監督:神田瑞帆/撮影監督:青嶋俊明/編集:坪根健太郎/音響監督:藤田亜紀子/音楽:菅野祐悟/制作:A-1 Pictures,Psyde Kick Studio
【キャスト】
鶴巻瑞佳:野田朋花/川澄桜翔:黒崎しおり/吾野伊万里:小山内怜央/五十土五十鈴:安堂ななこ/由良葵:楠木ともり/由良茜:夏吉ゆうこ/酒匂雫:鎌倉有那/スヴェトラーナ:岩橋由佳/間宮凛:茅野愛衣/麻利亜:釘宮理恵
【コメント】
舞台は昭和30年代,高度経済成長期の日本。貧乏サーカス団「ひまわりサーカス」のもとに,サーカスの天才・鶴巻瑞佳がやってきて…という話。来季期待のオリジナルアニメである。監督は『冴えない彼女の育て方』(2015年)などの亀井幹太,キャラクター原案は同作の深崎暮人,制作はA-1 PicturesとPsyde Kick Studio(サイドキックスタジオ)である。Psyde Kick Studioは,2025年にA-1 Pictures内に新設されたレーベル。若手クリエイターを積極的に起用・育成していくことをコンセプトにしているということで,本作でもフレッシュな表現を期待したい。
④『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』
www.theghostintheshell-anime.jp
『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』公式X
【スタッフ】
原作:士郎正宗/監督:モコちゃん/シリーズ構成・脚本:円城塔/キャラクターデザイン・総作画監督:半田修平/美術監督:片野坂恵美/美術監修:増山修/色彩設計:橋本賢/撮影監督:伊藤ひかり/編集:廣瀬清志/音響監督:丹下雄二/音響効果:八十正太/録音:太田泰明/音楽監督・音楽:岩崎太整/音楽:小西遼/音楽:YUKI KANESAKA/音楽制作:フライングドッグ/アニメーション制作:サイエンス SARU/製作:THE GHOST IN THE SHELL COMMITTEE
【キャスト】
未発表
【コメント】
言わずと知れたSFマンガの金字塔,再びのアニメ化である。これまで押井守の映画版,神山健治のTV版,黄瀬和哉の映画版,ルパート・サンダースの実写映画版と,複数の映像化が行われてきた本作だが,少なくともビジュアル面ではこれまでで最も原作に準拠した作りをしていると思われる。しかしそこはサイエンスSARUだ。原作の世界観にどう“サイエンスSARUらしさ”を乗せてくるかが最大の見どころとなるだろう。本記事執筆時点でキャストが発表されていないというのも,逆に気になる。監督は『平家物語』(2022年)第5話演出,『ダンダダン』(2024年)副監督などを務めたモコちゃん。シリーズ構成・脚本はSF作家で『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021年)などにも参加経歴のある円城塔。キャラクターデザイン・総作画監督は『リトルウィッチアカデミア』(2017年)などの半田修平。座組に不足はない。
⑤『さよならララ』(オリジナル)
【スタッフ】
原作:キネマシトラス/監督:小出卓史/シリーズ構成:川原杏奈/キャラクターデザイン:谷紫織/美術監督:藤野真里(スタジオ Pablo)/色彩設計:相澤里佳/撮影監督:出水田和人(T2studio)/編集:黒澤雅之/グラフィックデザイン:濱祐斗,山口真生/深海イメージ:MON/ウォーターアーティスト:吉邉尚希/音響監督:山田陽/音楽:yuma yamaguchi/音楽制作:KADOKAWA/シニアプロデューサー:小笠原宗紀/チームプロデューサー:石川祥気/クリエイティブプロデューサー:森山菜月/原作・アニメーション制作:キネマシトラス/製作:「さよならララ」製作委員会
【キャスト】
ララ:菱川花菜/大津茉里:川石奈奈/グレイス:深見梨加/ルカ:村瀬歩/大津祥弥:大野智敬/大津誠:真殿光昭/大津江万:住友七絵/ローワン:てらそままさき
【コメント】
本当の愛を成就できず海の泡となった人魚姫が200年後の琵琶湖に蘇り,再び愛を見つけようと奮闘する,という物語。アンデルセンの『人魚姫』の“その後”という設定だ。『メイドインアビス』(2017年)のキネマシトラスオリジナルアニメということだが,テーマ的にもデザイン面でも「世界名作劇場」の趣のある作風だ。「深海イメージ」「ウォーターアーティスト」といったユニークな役職が設置されているのも興味深い。監督は『メイドインアビス』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(2018年)に参加経歴のある小出卓史。キャラクターデザインは『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』や『メイドインアビス 深き魂の黎明』(2020年)『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(2022年)などに参加経歴のある谷紫織。さて,この布陣が手がける“古典的名作”は現代の視聴者に何を伝えるか。
⑥『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
【スタッフ】
原作:地主/監督:鈴木理人,森あおい/シリーズ構成:井上美緒/キャラクターデザイン:大滝那佳/プロップデザイン:新谷真昼/美術監督:外谷勝/色彩設計:上村修司/撮影監督:鯨井亮/CG監督:藤谷秀法/編集:石井亜美/音響監督:吉田光平/音楽:河野伸,青木沙也果/音楽プロデューサー:久世烈/音楽制作:日音/アニメーションプロデューサー:渡部雅悠/アニメーション制作:旭プロダクション
【キャスト】
佐々木:佐藤拓也/山田/田山:星希成奏/後藤:行成とあ/大野:豊口めぐみ/小畑:安田陸矢/前澤:日笠陽子/鈴木:高橋伸也
【コメント】
原作は地主の同名マンガ。『上伊那ぼたん,酔へる姿は百合の花』,『日本三國』,『ガンバレ!中村くん!!』ーー春アニメは喫煙の描写が優れた作品が多かった。そのトレンドを受けてということもないだろうが,来季も“ヤニアニメ”が面白くなりそうだ(後述する『ヤニねこ』も然りである)。百害あって一利なしのタバコ。多くの人から忌み嫌われる喫煙。それは百も承知だ。にもかかわらずーーあるいはだからこそーー“ヤニ”から生まれる叙情というものがある。宮﨑駿監督『風立ちぬ』(2013年)を振り返ってみるのもいいかもしれない。“ヤニ”に固有のドラマがあることは確かなのだ。監督は『魔法少女にあこがれて』(2024年)共同監督の鈴木理人,および同作に絵コンテ・演出・作画監督として参加経歴のある森あおい。制作も同作を手がけた旭プロダクションである。この少々背徳感のある座組も頼もしい。
⑦『正反対な君と僕 第2期』
【スタッフ】
原作:阿賀沢紅茶/監督:長友孝和/シリーズ構成・アニメーションプロデューサー:内海照子/キャラクターデザイン:みやこまこ/サブキャラクターデザイン・総作画監督:小園菜穂/総作画監督:﨑本さゆり,伊澤珠美,迫江沙羅/メインアニメーター:前原里恵/美術監督:中村千恵子/色彩設計:秋元由紀/撮影監督:塩川智幸/3Dディレクター:越田祐史/編集:黒澤雅之/2Dデザインワークス:越阪部ワタル/音楽:tofubeats/音響監督:木村絵理子/音響効果:安藤由衣/録音調整:太田泰明/選曲:合田麻衣子/アニメーション制作:ラパントラック
【キャスト】
鈴木:鈴代紗弓/谷:坂田将吾/渡辺:谷口夢奈/佐藤:平林瑚夏/山田:岩田アンジ/東:島袋美由利/平:加藤渉/西:大森こころ/本田:楠木ともり
【コメント】
2026年冬クールに放送された作品の続編。ほぼ間を置かずに続編が観られるのは嬉しい。鈴木&谷の出来上がった恋愛模様も楽しみだが,個人的には山田&西とタイラズマの進展が気になる。スタッフに関しては,総作画監督が﨑本さゆりと早川加寿子の2名体制から﨑本さゆり,伊澤珠美,迫江沙羅の3名体制へ,メインアニメーターが前原里恵と伊澤珠美の2名体制から前原里恵の1名体制へと変わるなど若干の異同はあるものの,それ以外のメインスタッフは第1期からの続投である。
⑧『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』
『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』公式X
【スタッフ】
原作:江島絵理/監督:井畑翔太/シリーズ構成:渡航/キャラクターデザイン:松本麻友子/美術設定:高橋麻穂/美術監督:Scott MacDonald/色彩設計:林由稀/撮影監督:伊藤康行/編集:小島俊彦/音響監督:立石弥生/音楽:橋口佳奈/アニメーション制作:ディオメディア/収録協力:FAV gaming
【キャスト】
深月綾:長谷川育美/夜絵美緒:市ノ瀬加那/犬井夕:千本木彩花/一ノ瀬珠樹:下地紫野/藤宮亜里沙:長縄まりあ/一ノ瀬花:花守ゆみり/gekido:檜山修之/禍腐餌悪霊:阿座上洋平/星識:八代拓/フランベルジュ:アール
【コメント】
原作は江島絵理による同名マンガ。“お嬢さま×格ゲー”という取り合わせは,『ロックは淑女の嗜みでして』(2025年)などと同系統。この方面が好きな人であれば楽しめるだろう。ただし,今回この作品をピックアップしたのは純粋にPVの仕上がりからだ。キャラクターデザインは原作の個性をうまくまとめており,極めて美麗。芝居も細部まで行き届いている印象だ。格ゲーがモチーフということで,ボタン操作を中心とした“アクション”も楽しめそうだ。なかなかの作画アニメになることが期待される。また,大人しいキャラの配役が多い市ノ瀬加那のドスの効いた演技も楽しみだ。監督は『聖女の魔力は万能です』(2021年)『鴨乃橋ロンの禁断推理』(2023年)などの井畑翔太。シリーズ構成の渡航とキャラクターデザインの松本麻友子も『聖女の魔力は万能です』と『鴨乃橋ロンの禁断推理』に参加しており,かつ制作のディオメディアも両作を手がけている。安定した座組もクオリティを保証してくれるかもしれない。
⑨『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』
【スタッフ】
原作:猫子/漫画:武六甲理衣/キャラクター原案:じゃいあん/総監督:鈴木信吾/監督:横峯克昌/キャラクターデザイン:谷圭司,内田孝行/総作画監督:谷圭司,古田誠/チーフディレクター:山岸徹一/メインアニメーター:大久保宏/音響制作:グロービジョン/音響監督:中島えんじ,郡司哲也/音楽:Ludvig Forssell/アニメーション制作:GoHands
【キャスト】
エルマ・エドヴァン:大塚剛央/ルーチェ・ルービス:若山詩音/マリス・エドヴァン:阿部菜摘子
【コメント】
原作は猫子による同名小説。“転生+無双+説明的なタイトルのラノベ”という取り合わせは,個人的にはあまり食指の動かないジャンルなのだが,GoHands制作ということで観ないわけにいかない。PVを観ると,“GoHandsらしさ”が一見してわかる作りになっていることが確認できる。GoHandsの画作りは必ずしも万人受けするものではないかもしれないが,これだけ制作会社単位での個性を打ち出している会社もそう多くない。彼らの作品を観続け,その矜持と固辞と変化と成長を追っていくのも1つのアニメの楽しみ方だろう。総監督の鈴木慎吾,監督の横峯克昌,キャラクターデザインと総作画監督の谷圭司,キャラクターデザインの内田孝行,総作画監督の古田誠らは,GoHandsの過去作『デキる猫は今日も憂鬱』(2023年)と『もめんたりー・リリィ』(2025年)にも参加している(役職は異なる)。
⑩『天幕のジャードゥーガル』
【スタッフ】
原作:トマトスープ/総監督:山田尚子/監督:Abel Gongora/シリーズ構成:加藤還一/キャラクターデザイン・作画チーフ:吉田健一/演出チーフ:藤倉拓也/美術監督:樺澤侑里/色彩設計:今野成美/撮影監督:高橋直希/編集:廣瀬清志/音楽:日野浩志郎/音響監督:小沼則義/アニメーション制作:サイエンスSARU
【キャスト】
シタラ:関根明良/ドレゲネ:小清水亜美/ファーティマ:桑島法子/ムハンマド:齋藤潤/オゴタイ:下野紘/トルイ:鈴木崚汰/シラ:入野自由/チャガタイ:浪川大輔
【コメント】
原作はトマトスープによる同名マンガ。舞台は13世紀のイラン。奴隷の少女・シタラは,モンゴル帝国の侵略によって全てを失うも,学問を通して得た知恵を武器に,帝国を内部から破壊しようと目論む。歴史の暴力,それに抗う女性,そして知の力といったものをテーマとした作品である。最大の注目ポイントは,総監督:山田尚子×監督:Abel Gongora×サイエンスSARUという布陣だ。山田は京都アニメーションを離れてから,もっぱらサイエンスSARUを軸に活動しているが,今回は総監督という立場で制作を仕切る。かたや『聲の形』(2016年)『リズと青い鳥』(2018年)で繊細な内面描写を披露し,『平家物語』で歴史の無常を描いた山田尚子。かたや『ダンダダン 第1期』(2024年)のOPアニメーションや同作第2期(2025年)の監督業などで軽妙な演出手腕を発揮したAbel Gongora。この一見異質な2人の采配が,作品の中でどう化合していくか。また『交響詩篇エウレカセブン』(2005年)『地球外少年少女』(2022年)などの吉田健一のキャラクターデザインにも要注目だ。
⑪『逃げ上手の若君 第二期』
【スタッフ】
原作:松井優征/監督:山﨑雄太/シリーズ構成:冨田頼子/キャラクターデザイン・総作画監督:西谷泰史/副監督:川上雄介/アニメーションディレクター:太田慎之介/プロップデザイン:よごいぬ/色彩設計:中島和子/美術監督:小島あゆみ/美術設定:taracod,takao/建築考証:鴎利一/タイポグラフィ:濱祐斗,山口真生/撮影監督:佐久間悠也/CGディレクター:任杰,河北茉衣/編集:平木大輔/音響監督:藤田亜紀子/音楽:GEMBI,立山秋航/音響効果:三井友和/制作:CloverWorks
【キャスト】
北条時行:結川あさき/雫:矢野妃菜喜/弧次郎:日野まり/亜也子:鈴代紗弓/風間玄蕃:悠木碧/吹雪:戸谷菊之介/諏訪頼重:中村悠一/足利尊氏:小西克幸
【コメント】
当ブログをお読みになっている方なら多くを語る必要はないだろう。2024年夏クールに放送された,CloverWorksの渾身の傑作の続編である。新たにアニメーションディレクターとして太田慎之介が参加,タイポグラフィとして濱祐斗に加えて山口真生が新たに参加,CGディレクターが有沢包三と宮地克明から任杰と河北茉衣に交代,サブキャラクターデザインの高橋沙紀が抜ける(役職自体もなし)など,スタッフに若干の異同があるが、監督・シリーズ構成・キャラクターデザイン・総作画監督等は第一期からの続投である。個人的には今期も小林恵祐の演出を期待したい。
⑫『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
【スタッフ】
原作:結城弘/監督:太田稔/シリーズ構成:浦畑達彦/キャラクターデザイン・総作画監督:岡村公平/世界観設定:鈴木貴昭/美術監督:高山真緒/色彩設計:大塚芙由紀/小物設定:疋田彩/撮影監督:植田弘貴/3D監督:髙木美槻/音響監督:鶴岡陽太/音楽:湖東ひとみ/音楽制作:ランティス,ハートカンパニー/アニメーション制作:京都アニメーション/製作:明滋電氣商工会
【キャスト】
坂本喜八:内田雄馬/百川稲子:雨宮天/三添洋輔:内山昂輝/坂本清六:小野大輔/陸健吾:武内駿輔/百川規子:寿美菜子/原島すず:大地葉/大倉ケイト:川井田夏海/矢倉弥治郎:浦和希/鱒淵伊蔵:平川大輔/百川甚右衛門:家中宏/百川苗子:浅野まゆみ/矢倉文七:遠藤大智/とめ/イナリ:高垣彩陽
【コメント】
原作は結城弘による小説『二十世紀電氣目録』。舞台は架空の歴史を辿った20世紀初頭の京都。蒸気機関だけが発達した社会で,主人公の坂本喜八・百川稲子らが“電氣の時代”を求めて奮闘する,という物語である(一部の設定は原作と異なる)。注目は,やはり京都アニメーションの新機軸が楽しめるという点だろう。キャラクターデザインや芝居などの点において従来の京アニの“美意識”を継ぐ一方,美術や撮影効果などは,これまでの作品とは一線を画していると言ってよい。「電氣」がテーマということもあり,光源などの処理にも注目したいところだ。監督は『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』(2023年)以降の『ユーフォ』シリーズで楽器作画監督を,『ツルネ -つながりの一射-』(2023年)や『CITY THE ANIMATION』(2025年)で絵コンテ・演出を務めた太田稔。シリーズ構成は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018年)『ハイスコアガール』(2018年)などに参加経歴のある浦畑達彦。キャラクターデザイン・総作画監督は『劇場版 Free!-the Final Stroke-』(2021年)『ツルネ -つながりの一射-』などに参加経歴のある岡村公平。2018年にアニメ化が発表されて以来,京アニファン(もちろん僕自身も含め)が“おあずけ”を食らっていた作品だ。大いに注目したい。
⑬『ヤニねこ』
【スタッフ】
原作:にゃんにゃんファクトリー/監督:木村拓(スタジオ・レモン)/脚本:あおしまたかし/キャラクターデザイン:松浦力/美術監督:丸山由紀子(アトリエ・ムサ),吉野翔太郎(アトリエ・ムサ)/色彩設計:太田ゆいは/撮影監督:米澤寿/編集:武宮むつみ/音楽:鈴木慶一/音響監督:濱野高年/音響制作:マジックカプセル/アニメーション制作:バイブリーアニメーションスタジオ
【キャスト】
ヤニねこ:夏吉ゆうこ/ヤクねこ:松岡美里/ハメねこ:船戸ゆり絵/カンサイねこ:清水彩香/アルねこ:井澤詩織/妹子:本泉莉奈/おちんぽ達郎:明智璃子/大家:稲田徹
【コメント】
原作はにゃんにゃんファクトリーによる同名マンガ。獣人と人間が共に暮らす世界で,ひたすらヤニを愛する猫耳少女の自堕落な生活を描いた作品だ。上述の『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』と並んで来季注目の“ヤニアニメ”だが,PVからもわかるように,はるかにインモラルな香りを漂わせる作品である。それもいいだろう。かつて坂口安吾は「文学のふるさと」の中で,「モラルがない,ということ自体が,モラルなのだ」と言ってのけた。坂口が正しければ,『ヤニねこ』はまさに「アニメのふるさと」だ。監督は『宇宙よりも遠い場所』(2018年)『グッバイ,ドン・グリーズ!』(2021年)『雨を告げる漂流団地』(2022年)『化け猫あんずちゃん』(2024年)などに参加経歴のある木村拓。脚本は『宇崎ちゃんは遊びたい!』(2020年)などのあおしまたかし。キャラクターデザインは『物語シリーズ』などシャフト作品や,『チェンソーマン』(2022年)『上伊那ぼたん,酔へる姿は百合の花』(2026年)などに参加経歴のある松浦力。座組も頼もしい。
⑭『幼女戦記Ⅱ』
【スタッフ】
原作:カルロ・ゼン/キャラクター原案:篠月しのぶ/監督:山本貴之/シリーズ構成・脚本:猪原健太/キャラクターデザイン・総作画監督:細越裕治/サブキャラクターデザイン:谷口宏美,牧孝雄,栗田新一/服飾デザイン:谷口宏美/魔導具デザイン:江畑諒真,月田文律/銃器デザイン:秋篠Denforword日和,大津直,月田文律/プロップデザイン:森山洋,秋篠Denforword日和/設定考証:鈴木貴昭/メインアニメーター:ほりうちひろゆき,栗田新一/美術監督:平栁悟(アートスタジオ・ザオ)/色彩設計:中村千穂/撮影監督:木舩颯人/CGディレクター:高橋将人/特技監督:シュウ浩嵩/編集:神宮司由美/音楽:片山修志/音響監督:岩浪美和/アニメーション制作:NUT/製作:幼女戦記2製作委員会
【キャスト】
ターニャ:悠木碧/ヴィーシャ:早見沙織/レルゲン:三木眞一郎/ルーデルドルフ:玄田哲章/ゼートゥーア:大塚芳忠/ヴァイス:濱野大輝/グランツ:小林裕介/ケーニッヒ:笠間淳/ノイマン:林大地/ミケル:杉田智和/ウィリアム・ドレイク:森川智之/リリーヤ:日笠陽子/メアリー:戸松遥
【コメント】
説明不要だろう。「幼女の皮をかぶった化物」再来である。2017年冬クールに放送された作品の続編である。9年の歳月を経ての続編ということで,待ちわびたファンも多いことだろう。第1期からの最も大きな変更としては,監督が上村泰から『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』(2024年)や『ネガポジアングラー』(2024年)に参加経歴のある山本貴之に交代したことだ。監督以外にも若干のスタッフの異同があり,場合によっては第1期との違いが感じられるかもしれない。
⑮『ワールド イズ ダンシング』
【スタッフ】
原作:三原和人/監督:黒柳トシマサ/キャラクターデザイン:佐々木啓悟/シリーズ構成・脚本:川滿佐和子/副監督:淵本宗平/サブキャラクターデザイン:久武伊織/プロップデザイン:おだし/美術設定:緒川マミオ/美術監督:小倉宏昌/井上一宏:色彩設計/佐藤直子:成毛久美子/3D監督:中野祥典/撮影監督:菊池優太郎/編集:平木大輔/音響監督:長崎行男/音楽:篠田大介/題字:根本知/型付監修:津村禮次郎/振付:森山開次,川村美紀子/能楽監修:川口晃平/歴史監修:清水克行/アニメーションプロデューサー:溝口侃/アニメーション制作:Cypic
【キャスト】
鬼夜叉:花守ゆみり/石也:土屋神葉/コガネ:内田真礼/増次郎:朴璐美/足利義満:櫻井孝宏/観阿弥:小西克幸/犬王:松田洋治/二条良基:飛田展男/業子:能登麻美子/千晴:水瀬いのり/白拍子:沢城みゆき/十二五郎:石谷春貴/サツキ:瀬戸芭月
【コメント】
原作は三原和人による同名マンガ。室町時代の猿楽師・世阿弥(幼名:鬼夜叉)の生涯を描いた作品ということで,時代設定的には湯浅政明監督『犬王』(2022年)と同じである。実際,本作にも犬王が登場する。本作と『犬王』を比較してみるのも面白いかもしれない。またこの時代設定もあってか,『逃げ上手の若君』と絵作りの方向性が似ているように感じるが,いずれにせよ作画のレベルは相当に高いようだ。監督は『舟を編む』(2016年)『バクテン!!』(2021年)などの黒柳トシマサ。キャラクターデザインは『僕だけがいない街』(2016年)『ウマ娘 シンデレラグレイ』(2015年)などの佐々木啓悟。来季のラインナップの中でも,頭一つ分抜けた作品となりそうだ。
2026年 夏アニメのイチオシは…
2026年 夏アニメの注目の期待作として,今回は15作品をピックアップした。
この中でも特にイチオシとして,太田稔監督『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』を挙げる。新世代の京アニのお手並み拝見と行こう。
次点として,井畑翔太監督『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』,山田尚子総監督/Abel Gongora監督『天幕のジャードゥーガル』,山﨑雄太監督『逃げ上手の若君 第二期』,木村拓監督『ヤニねこ』,黒柳トシマサ監督『ワールド イズ ダンシング』を挙げる。オリジナルアニメ推しの当ブログとしては,『グロウアップショウ〜ひまわりのサーカス団〜』『さよならララ』も挙げたいが,ひとまずは様子見ということにする。
以上,2026年 夏アニメ視聴の参考にして頂ければ幸いである。