※このレビューには劇場版『Fate/stay night Heaven's feel』に関するネタバレが少々含まれます。気になる方は作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。
本日3月2日は,『Fate/stay night Heaven's feel』のヒロイン間桐桜の誕生日。劇場版『Fate/stay night [Heaven’s Feel] II. lost butterfly』のラストカットでは,彼女が「アンリマユ(この世全ての悪)」と一体化した姿が披露された。このいわゆる「黒桜」は,おそらく『Fate』シリーズの中でも最も強烈なインパクトを持つキャラクターデザインであろう。
今回の記事では,夢のカグツチノ公国・戸田聡が原型を手がけた「黒桜」のフィギュアを紹介する。前回の「セイバーオルタ」と同様,もともと戸田がガレージキット用に製作したものをスケールアップした作品で,息を飲むような造形はまさしく傑作と言わざるを得ない。
作品データ
メーカー:ムービック
発売年月:2011/4
サイズ:1/8(全高約200mm)
原型:戸田聡(夢のカグツチノ公国)
彩色:沙羅(蒼月少女)
価格:9,333円(税別)
作品レビュー
まずはいつもの通り全身を。
狂気に満ちた桜の表情や,血の塊のような「影」の造形の素晴らしさが一見しておわかり頂けると思う。特に顔の造形は,オリジナルのデザインよりも“恐ろしさ”を強調した解釈になっている。彩色担当の沙羅のセンスもずば抜けている。
血管のように禍々しく浮き出た魔術回路(?)。フィギュアなのだが,じっと見ていると心がザワザワしてくる…
背後でたなびいているような形になっている「影」の部分は,ややメタリック様の塗装になっている。
「桜」というキャラクターの持つエロティシズムもしっかり表現されている。
オリジナルの桜の頭部も付属。おわかりかと思うが,これはこれで大変怖い。
以前の記事で紹介した「セイバーオルタ」とジョイントできる仕様になっている。写真ではわかりづらいが,桜が左手をセイバーオルタの身体に回すような格好になる。このツーショット,どれだけ見続けていても永遠に飽きない(今まで何千枚写真を撮ってきたことか…)。
「桜」の多義性
『lost butterfly』のレビューでも言及したが,「間桐桜」は,〈愛嬌〉〈美〉〈醜〉〈慎み〉〈貪欲〉〈強さ〉〈脆さ〉〈聖〉〈邪〉〈純潔〉〈穢れ〉といった無数の記号を内包したキャラクターである。戸田の「黒桜」は,その中でも彼女の“暗黒面”を強調した作品として卓越していると言えるだろう。
これだけ素晴らしい作品だが,「セイバーオルタ」と同様,現在では正規販売がされておらず,転売屋が値をつり上げたものAmazonにあるのみだ。多くの人の手元に届くよう,グッドスマイルカンパニーには是非再販をお願いしたいところである。
劇場版第3章を待ち望みながら…
劇場版『Fate/stay night [Heaven’s Feel] II. lost butterfly』の上映後,第3章の公開が来春(2020年)の4月であることが発表された。そこでこの「黒桜」がどんな狂気乱舞を見せてくれるか。今から楽しみでならない。
最後に。
桜,誕生日おめでとう。あなたの幸せを心より願いつつ。