アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

オピニオン

アニメレビュー雑感:生きろ,そなたは愉しい。

『天空の城ラピュタ』『エヴァンゲリオン』『魔法少女まどか☆マギカ』ーーこういった過去の傑作を前に必ずと言っていいほど繰り返される“語り尽くされた”という常套句。実は僕はこの言葉が好きではない。 ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミン(1892-1940年…

アニメレビュー覚書:『星合いの空』(2019年)における空間演出について

タイトルやPV,そして「中学生のソフトテニス部」という題材から予想される“爽やか青春ドラマ”の印象を見事に裏切った『星合いの空』。本作のテイストの方向性は,第1話における夏南子の「あんたさぁ,なーんか闇深そうだね」というセリフによって決定付けら…

アニメレビュー覚書:〈集合生命体〉のヴァリアント

*この記事は『ドラゴンボールZ』『新世紀エヴァンゲリオン Air / まごころを,きみに』『ガン×ソード』『キルラキル』『シドニアの騎士』『PSYCHO-PASS』の内容に触れています。ご注意下さい。 他者を取り込み,他者を排除することで,唯一絶対の存在になろ…

アニメレビュー覚書:〈戦闘美少女〉のヴァリアント

綾波レイ,月野うさぎ,ウテナ,プリキュア,鹿目まどか… この国では〈戦う少女〉たちの姿が幾度となく量産され再生産され続けてきた。彼女たちにつきまとう〈セクシュアリティ〉という記号は不変か,それとも可変か。 〈戦闘美少女〉のセクシュアリティ 『…

ブログ開設から1年経ちました。

早いもので,当ブログを開設してから1年も経ってしまったようです(はてなブログ運営からメールをもらうまで気づきませんでしたが…)。 アニメを一個の作品と捉えて正面から向き合い,様々な資料や知識を駆使して読み解き,「レビューそれ自体を“読ませる”も…

2019年 秋アニメは何を観る?

『星合いの空』公式Twitterより引用 ©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 www.animatetimes.com uzurainfo.han-be.com 2019年夏アニメもクール終盤に入り,ほとんどの作品が数話を残すのみとなっている。注目すべき作品はいくつかあったが,中でも以…

「高畑勲展」@東京国立近代美術館レポート:描線に宿るロゴス

東京国立近代美術館HPより引用 ©2013畑事務所・Studio Ghibli・NDHDMTK takahata-ten.jp 2018年にこの世を去った高畑勲。この『高畑勲展』は,高畑の遺品から新たに発見された未公開資料を含め,1000点以上の膨大な資料を紹介しながら,彼の緻密かつ豊かな「…

アニメをより深く観るためのツール②:アニメの〈撮影〉を知る

※この記事は『鬼滅の刃』『リズと青い鳥』『Fate/stay night [Heaven's Feel] II. lost butterfly』に関するネタバレを少々含みます。気になる方は作品本編をご覧になってから本記事をお読みください。 『鬼滅の刃』十九話「ヒノカミ」より引用 ©吾峠呼世晴…

高瀬康司編『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』(フィルムアート社,2019年)レビュー:〈迷走〉と〈快楽〉のメディア

アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門 (Next Creator Book) 作者: 高瀬康司,片渕須直,京極尚彦,井上俊之,押山清高,泉津井陽一,山田豊徳,山下清悟,土上いつき,土居伸彰,久野遥子,藤津亮太,石岡良治,渡邉大輔,泉信行,古谷利裕,吉村浩一,福本達也,…

ドキュメンタリー映画『飄々~拝啓,大塚康生様~』(2015年)レビュー:ムーミンよ,永遠に。

トムス・エンタテインメント公式ブログより引用 作品データ 監督:宇城秀紀 出演:大塚康生,おおすみ正秋,小田部羊一,高畑勲,田中敦子,月岡貞夫,富沢信雄,友永和秀,林雅子,道籏義宣,大塚文枝(大塚康生夫人) 語り:島本須美(リンクはWikipedia,…

アニメをより深く観るためのツール:僕らがアニメをアーカイブする

アニメに限らず,ほぼすべての映像作品は“ただ観ている”だけでも十分に楽しめる媒体として作られている。だが同時にほぼすべての映像作品は,その表現の技法,クリエーターの思想,制作の背景などを知ることで,その楽しさがより深まるようにも作られている…

アニメレビュー雑感:カノンとの小さな戦い

〈カノン〉に争う 蓮實重彦は,ことあるごとに映画史の〈カノン〉を忌避する発言をしている。 〈カノン(canon)〉とは宗教教義における「正典」のことであり,要するに「映画を語りたければこれを観ろ」というような規範のことだ。映画界はしばしば「ベスト…

2019夏アニメは何を観る?

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』公式HPより引用 © 岡田麿里・絵本奈央・講談社/荒乙製作委員会 www.animatetimes.com uzurainfo.han-be.com 2019年夏アニメのラインナップに関して,「アニメイトタイムズ」は38作品(2019/6/25時点),「うずらインフォ」は41…

「幾原邦彦展」@東京ソラマチ®スペース634レポート

※この記事は幾原邦彦監督作品に関するネタバレが少々含まれます。気になる方は作品を先にご覧になってから本記事をお読み下さい。 公式HPより引用 ©1997 ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京 ©1999 少女革命ウテナ製作委員会 ©イクニ…

なぜここにアニメレビューを書くのか

僕は評論家でも研究者でもないので,これはあくまでも個人的な所懐に過ぎないのだが,僕は作品に対して“謎解き”という踏み込み方をするのが好きではない。 例えば「主人公の名前を数字に置き換えると◯◯になり,これは◯◯が起こった年だ」のような解釈。このよ…

デジャヴュからジャメヴュへ:アニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』レビューに代えて

※このレビューはネタバレを含みます。 『ダーリン・イン・ザ・フランキス』は〈既視感〉という言葉がつきまとう作品だった。ネット上では「面白い」という意見が見られる一方で,常に「◯◯にあったシーンだ」といったような意見が飛び交っていた。 現代アニメ…

日本動画協会「アニメ産業レポート2018」を買ってみた。

2,000,000,000,000??? 2017年,アニメ産業の市場規模はとうとう2兆円の大台を突破しました。 888888!!!ってなもんですが,「2兆円」と言われても,僕のような庶民には正直ピンと来ない数字です。また,近年低調と言われている円盤の売り上げはどうなの…

アニメの産業と業界を知るための3冊

今回は,近年のアニメ産業と業界の動向を知る上で役立つ,3冊の本を紹介したいと思う。 アニメ作品そのものを鑑賞することが楽しいのは言うまでもないが,制(製)作や業界の事情を知った上で鑑賞することでアニメの見方に奥行きと広がりができ,楽しさが増…

“配”信 or “発”信-アニメの“ユニバーサルサービス”は多様化するか

「+Ultra」の思想 plus-ultra.tv NetflixとAmazon Prime Videoの日本市場への参入,Crunchyrollの製作委員会への参加など,近年のアメリカの配信企業の動向を見ると,日本アニメがますますグローバル市場に開かれつつあることがわかります。 2018年の国内の…

2019冬アニメは何を観る?

『ケムリクサ』公式HPより引用 ©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト 2018年秋アニメもクール後半戦に入ってしまい,来年の冬アニメのことを考える時期になりました。速いですね… www.animatetimes.com uzurainfo.han-be.com 2019年冬アニメも盛りだくさんのラ…

アニメ円盤の行く末は…

改めて問おう あなたは円盤購入派か,配信(Video on Demand=VOD)派か。 アニメのVODサービス(とりわけ2015年に参入したNetflix)が主流になって以来,たびたび問われる問題ですね。 結論から言うと,僕は“今のところ”,円盤購入にこだわりたいと思ってい…