- 2024年 冬アニメ振返り
- ①『アストロノオト』(オリジナル)
- ②『WIND BREAKER』
- ③『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』
- ④『怪獣8号』
- ⑤『鬼滅の刃 柱稽古編』
- ⑥『この素晴らしい世界に祝福を!3』
- ⑦『SAND LAND: THE SERIES』
- ⑧『終末トレインどこへいく?』(オリジナル)
- ⑨『戦隊大失格』
- ⑩『響け!ユーフォニアム 3』
- ⑪『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす〜 第2クール』
- ⑫『ゆるキャン△ SEASON3』
- ⑬『夜のクラゲは泳げない』(オリジナル)
- 2024年春アニメのイチオシは…
2024年 冬アニメ振返り
今クールの作品で特に注目したいのは,『アンデッドアンラック』『薬屋のひとりごと』『葬送のフリーレン』『ダンジョン飯』『僕の心のヤバイやつ 第2期』の5作品だ。
戸塚慶文原作/八瀬祐樹監督『アンデッドアンラック』は「2023年 秋アニメランキング」でも7位としてピックアップした作品である。第2クールでは世界の成り立ちに関する“解答”が開示された他,新たなキャラクター・安野雲が加わったことにより,物語が急展開を迎えている。スタイリッシュな演出も健在で,アニメーションの面でも優れた秀作だ。
日向夏原作/長沼範裕監督『薬屋のひとりごと』は「2023年 秋アニメランキング」で6位としてピックアップしている。第2クールでは猫猫と羅漢の関係が明かされ,猫猫のキャラクターの輪郭がいっそう明確になりつつある。多数の登場人物と複雑な人間関係を扱いながらも,キャラ(クター)の魅力を的確に伝えた良作である。
山田鐘人(原案),アベツカサ(作画)原作/斎藤圭一郎監督『葬送のフリーレン』は「2023年 秋アニメランキング」で1位としてピックアップした作品だ。基本的には日常芝居が魅力の本作だが,第2クールの「#26 魔法の高み」では迫力あるアクションや緊迫感に満ちた〈対峙〉のシーンが盛り込まれ,最終話を目前にして大きな山場を見せた。アニメーションの質において,他の追随を許さない傑作と言えるだろう。
以上の3作品は2023年秋からの連続2クール作品である。
九井諒子原作/宮島善博監督『ダンジョン飯』は「2024年 冬アニメは何を観る?」の記事でイチオシ作品として挙げた。随所に“TRIGGERらしさ”を盛り込み,アニメーションとしての楽しさを伝えた秀作だ。各話演出担当や原画担当の個性を前面に押し出した演出方針も面白く,各話ごとの“味変”が楽しめる作品になっている。
桜井のりお原作/赤城博昭監督『僕の心のヤバイやつ 第2期』は,第1期を「2023年 春アニメランキング」で9位として挙げた。牛尾憲輔の劇伴や撮影効果などによって,主人公たちの心理や感情を彩り豊かに伝えた秀作である。第2期では荒木哲郎によるOPアニメーションも話題となった。
この他,「レベルアップ」というゲーム的要素をうまくキャラクター成分に取り込んだ『俺だけレベルアップな件』,テンポ感のよいギャグと丁寧な日常芝居が光る『姫様“拷問”の時間です』,美麗なキャラ作画と美術が目を引く『ぶっちぎり?!』なども面白い。
2024年冬アニメの最終的なランキングは,全作品の最終話放送終了後に掲載する予定である。
では今回も2024年春アニメのラインナップの中から,五十音順に注目作をピックアップしていこう。各作品タイトルの下に最新PVなどのリンクを貼ってあるので,ぜひご覧になりながら本記事をお読みいただきたい。なお,オリジナルアニメ(マンガ,ラノベ,ゲーム等の原作がない作品)のタイトルの末尾には「(オリジナル)」と付記してある。
①『アストロノオト』(オリジナル)
【スタッフ】
総監督:高松信司/監督:春日森春木/シリーズ構成:うえのきみこ/キャラクターデザイン原案:窪之内英策/キャラクターデザイン・総作画監督:あおきまほ/メカデザイン:小澤和則,小原渉平/プロップデザイン:丹羽恭利,川本和隆/美術監督:春日礼児(スタジオじゃっく)/色彩設定:村口冬仁(ロケットビジョン)/撮影監督:千葉洋之(アニメフィルム)/CGIディレクター:菊地等/オフライン編集:白石あかね(瀬山編集室)/音楽:宗本康兵/音楽制作:ランティス/アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
豪徳寺ミラ:内田真礼/宮坂拓己:斉藤壮馬/若林蓮:釘宮理恵/若林富裕:杉田智和/山下正吉:三木眞一郎/松原照子:降幡愛/上町葵:小倉唯/ナオスケ:諏訪部順一/ショーイン・ジンジャー:福山潤
【コメント】
就職先のアパートで一目惚れした大家の女性が,実は宇宙人だったという物語。『うる星やつら』×『めぞん一刻』のような趣の“SFラブコメ”だが,「最終話で,全部いただきます。」という謳い文句からは,脚本上の大きな仕掛けが期待できる(公式HPには「物語は壮大なミステリーへと飛躍する」という文句もある)。一見マンガ原作のような雰囲気だが,完全オリジナルアニメである。
総監督は『銀魂』(2006-2010年)『ちみも』(2022年)の高松信司が務める。『ちみも』『ダンジョン飯』(2024年)などコメディ作品に定評のあるうえのきみこが脚本を担当するのも注目だ。
②『WIND BREAKER』
【スタッフ】
原作:にいさとる/監督:赤井俊文/シリーズ構成:瀬古浩司/キャラクターデザイン・総作画監督:川上大志/アクションディレクター:浅賀和行/プロップデザイン:羽土真衣子/美術設定・美術監督:守安靖尚/色彩設計:横田明日香/撮影監督:長瀬由起子/3Dディレクター:渡邉啓太(サブリメイション)/編集:三嶋章紀/音楽:高橋諒/音響監督:明田川仁/制作:CloverWorks
【キャスト】
桜遥:内田雄馬/楡井秋彦:千葉翔也/杉下京太郎:内山昂輝/蘇枋隼飛:島﨑信長/梅宮一:中村悠一/柊登馬:鈴木崚汰/柘浦大河:河西健吾/桐生三輝:豊永利行/橘ことは:長谷川育美
【コメント】
原作はにいさとるの同名マンガ。すでに評価が定まっている作品であることに加え,監督が『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』(2019年)などの赤井俊文,シリーズ構成が『モブサイコ100』(第1期:2016年,第2期:2019年,第3期:2022年)などの瀬古浩司,キャラデザが『明日ちゃんのセーラー服』(2022年)などの川上大志,制作が赤井と川上が所属するCloverWorksと,座組も文句なしである。
③『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』
『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』公式Twitter
【スタッフ】
原作:支倉凍砂/キャラクター原案:文倉十/総監督:高橋丈夫/監督:さんぺい聖/キャラクターデザイン:羽田浩二/色彩設計:小山知子/美術設定:青木薫,天田俊貴,小畑嶺二/美術監督:井上一宏/撮影監督:林幸司/編集:丹彩子/音響監督:吉田知弘/音楽:Kevin Penkin/プロデュース:ENISHIYA/アニメーション制作:パッショーネ
【キャスト】
クラフト・ロレンス:福山潤/ホロ:小清水亜美/ノーラ・アレント:中原麻衣/ゼーレン:浪川大輔/リヒテン・マールハイト:大塚芳忠/ハンス・レメリオ:郷田ほづみ
【コメント】
原作は支倉凍砂のマンガ『狼と香辛料』。すでに2008年と2009年にアニメ化されているが,今回は続編ではなく再アニメ化(リメイク)である。旧作の監督・高橋丈夫は新作では総監督を務め,クラフト・ロレンス役の福山潤とホロ役の小清水亜美も続投する。しかしそれ以外は,キャラクターデザインをはじめ作風が大きく変わることが予想される。最新の技術で蘇る『狼と香辛料』を期待しよう。
④『怪獣8号』
【スタッフ】
原作:松本直也/監督:宮繁之,神谷友美/シリーズ構成・脚本:大河内一楼/キャラクターデザイン・総作画監督:西尾鉄也/怪獣デザイン:前田真宏/美術監督:木村真二/色彩設計:広瀬いづみ/3D監督:松本勝/撮影監督:荒井栄児/編集:肥田文/音響監督:郷文裕貴/音楽:坂東祐大/怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラー/アニメーション制作:Production I.G
【キャスト】
日比野カフカ/怪獣8号:福西勝也/亜白ミナ:瀬戸麻沙美/市川レノ:加藤渉/四ノ宮キコル:ファイルーズあい/保科宗四郎:河西健吾/古橋伊春:新祐樹/出雲ハルイチ:河本啓佑/神楽木葵:武内駿輔/小此木このみ:千本木彩花
【コメント】
原作は松本直也の同名マンガ。こちらも人気のマンガ原作のアニメ化とあって,すでに一定の評価は予想できるが,PVからを見ると,作画的にもかなり面白いものが期待できそうだ。
監督は『鬼平』(2017年)などの宮繁之と『鹿楓堂よついろ日和』(2017年)などの神谷友美,シリーズ構成は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(2022-2023年)などの大河内一楼,キャラクターデザインは『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004-2005年)などの西尾鉄也,怪獣デザインは『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996年)や『SSSS.GRIDMAN』(2018年)などの前田真宏,制作はProduction I.G。座組からして期待感が高まる。
⑤『鬼滅の刃 柱稽古編』
【スタッフ】
原作:吾峠呼世晴/監督:外崎春雄/キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃/脚本制作:ufotable/サブキャラクターデザイン:佐藤美幸,梶山庸子,菊池美花/プロップデザイン:小山将治/美術監督:矢中勝,樺澤侑里/美術監修:衛藤功二/撮影監督:寺尾優一/3D監督:西脇一樹/色彩設計:大前祐子/編集:神野学/音楽:梶浦由記,椎名豪/アニメーション制作:ufotable
【キャスト】
竈門炭治郎:花江夏樹/竈門禰豆子:鬼頭明里/我妻善逸:下野紘/嘴平伊之助:松岡禎丞/冨岡義勇:櫻井孝宏/宇髄天元:小西克幸/時透無一郎:河西健吾/胡蝶しのぶ:早見沙織/甘露寺蜜璃:花澤香菜/伊黒小芭内:鈴村健一/不死川実弥:関智一/悲鳴嶼行冥:杉田智和
【コメント】
毎度のことだが,この作品については多くを語る必要はないだろう。「刀鍛冶の里編」が終了した時点で,原作単行本23巻中15巻の1/3ほどまで到達。禰豆子が太陽を克服したことにより,物語はいよいよ最終決戦に向けて徐々に加速していく。引き続き,稀代の制作集団・ufotableのお手並み拝見と行こう。
⑥『この素晴らしい世界に祝福を!3』
【スタッフ】
原作:暁なつめ/原作イラスト:三嶋くろね/総監督:金崎貴臣/監督:安部祐二郎/シリーズ構成:上江洲誠/キャラクターデザイン:菊田幸一/色彩設計:吉田沙織/美術設定:友野加世子/美術監督:丸山由紀子,山梨絵里/美術:アトリエムサ/撮影監督:衛藤直毅/撮影:EXPLOSION/3D監督:今垣佳奈/編集:木村佳史子/音響監督:岩浪美和/音響効果:小山恭正/録音:山口貴之/音響制作:HALF H・P STUDIO/音楽:甲田雅人/音楽制作:日本コロムビア/アニメーション制作:ドライブ
【キャスト】
カズマ:福島潤/アクア:雨宮天/めぐみん:高橋李依/ダクネス:茅野愛衣/ルナ:原紗友里/荒くれ者:稲田徹/クリス:諏訪彩花/ウィズ:堀江由衣/バニル:西田雅一/ゆんゆん:豊崎愛生/ミツルギ:江口拓也/アイリス:高尾奏音/クレア:矢作紗友里/レイン:上田麗奈
【コメント】
この作品も当ブログの読者であれば説明不要だろう。第3期では監督が金崎孝臣から安部佑二郎へ,制作がスタジオディーンからドライブに交代しているが,キャラクターデザインの菊田幸一などは続投,金崎も総監督として参加する。また第3期の座組はすでにスピンオフ作品の『この素晴らしい世界に爆焔を!』(2023年)で披露されている。これまでのファンも違和感なく楽しめるだろう。
⑦『SAND LAND: THE SERIES』
【スタッフ】
原作・ストーリー原案・キャラクターデザイン:鳥山明/監督:横嶋俊久/ディレクションアドバイザー:神志那弘志/シリーズ構成:森ハヤシ/アニメーションキャラクターデザイン:菅野利之/メカニカルデザイン:山根公利,帆足タケヒコ/CGディレクター:重川尚之/美術監督:金子雄司/色彩設計:安部なぎさ/撮影監督:川下裕樹/編集:徳田俊/音響監督:岩浪美和/録音調整:山口貴之/音響効果:小山恭正/音楽:菅野祐悟/アニメーション制作:サンライズ,ANIMA,神風動画
【キャスト】
ベルゼブブ:田村睦心/ラオ:山路和弘/シーフ:チョー/アレ:鶴岡聡/ゼウ:飛田展男/スイマーズ・パパ:杉田智和/サタン:大塚明夫/アン:小松未可子/ムニエル:村瀬歩/ブレッド:玄田哲章
【コメント】
原作は鳥山明のマンガ『SAND LAND』。2023年に劇場公開されたものに未公開カットなどを加えて「悪魔の王子編」として再構築,続編の「天使の勇者編」と合わせて前13話で放送される。先日他界したばかりの鳥山の作品ということをおいても,純粋に3Dアニメーションとして優れた作品である。田村睦心,山路和弘,チョーの演技も冴えわたっている。この放送を機に本作が再評価されることを願いたい。
ディズニープラスにて以下のスケジュールで配信予定。
3/20(水・祝)より「悪魔の王子編」第1〜7話を配信
3/27(水)より第8話以降を1話ずつ配信
⑧『終末トレインどこへいく?』(オリジナル)
【スタッフ】
監督:水島努/演出チーフ:菅沼芙実彦/シリーズ構成:横手美智子/キャラクターデザイン・総作画監督:西田亜沙子/キャラクターデザイン原案:namo/美術監督:野村正信,堀越由美/色彩設計:小山知子/撮影監督:田沢二郎/編集:後藤正浩/音響効果:小山恭正/録音調整:山口貴之/音響監督:水島努/音楽:辻林美穂/音楽制作:フライングドッグ/アニメーション制作:EMTスクエアード
【キャスト】
千倉静留:安済知佳/星撫子:和氣あず未/久賀玲実:久遠エリサ/東雲晶:木野日菜/中富葉香:東山奈央/善治郎:興津和幸
【コメント】
舞台はある大異変が起こった田舎町。行方不明になった友人を探すべく,主人公たちが電車に乗って捜索の旅に出るという物語だ。タイトルからもわかる通り,「電車」が一つのモチーフになっているようで,PVからはかなりリアルな作画が伺える。『ラブライブ!』(2013年)の西田亜沙子が手がけるキャラクターデザインも美麗。『映像研には手を出すな!』(2020年)の美峰・野村正信による美術もたいへん見応えがある。
そして何より,『ガールズ&パンツァー』(2012年)『SHIROBAKO』(2014-2015年)の水島努監督オリジナルアニメとあって,自ずと期待は高まるというもの。シリーズ構成は同じく『SHIROBAKO』の横手美智子。頼もしい布陣である。
⑨『戦隊大失格』
【スタッフ】
原作:春場ねぎ/監督:さとうけいいち/シリーズ構成:大知慶一郎/キャラクターデザイン:古関果歩子/アニメーションスーパーバイザー:羽山賢二/音楽:池頼広/色彩設計:近藤直登/美術監督:権瓶岳斗(グーフィー)/3DCGディレクター:千葉高雪(A-worth),竹内晋作(サブリメイション)/撮影監督:久保田淳/アニメーション制作:Yostar Pictures
【キャスト】
戦闘員D(青年D):小林裕介/桜間日々輝:梶田大嗣/錫切夢子:矢野優美華/レッドキーパー:中村悠一/ブルーキーパー:井上剛/イエローキーパー:小野賢章/グリーンキーパー:鳥海浩輔/ピンクキーパー:M・A・O/朱鷺田隼:吉野裕行/藍染小町:長江里加/翡翠かのん:和氣あず未/撫子益荒男:立木文彦/獅音海:小野友樹/浦部永玄:山下誠一郎/雪野アンジェリカ:鬼頭明里/石川宗次郎:濱野大輝/明林恋蓮:黒沢ともよ/薄久保天使:三上枝織/来栖大和:逢坂良太/七宝司:清水優譲/小熊蘭丸:野津山幸/戦闘員XX:羊宮妃那
【コメント】
原作は春場ねぎの同名マンガ。ヒーローvs怪人の戦いが実は茶番だったという,戦隊ヒーローものを換骨奪胎した設定が面白い(ついこの間まで五つ子美少女ハーレムラブコメを描いていた漫画家とは思えない)。『TIGER & BUNNY』(2011年)監督の他,「スーパー戦隊シリーズ」のキャラクターデザインを手がけた経歴のあるさとうけいいちが監督を務める。まさしく適材適所である。PVを観るに,作画面でもなかなか面白いものが期待できそうだ。
⑩『響け!ユーフォニアム 3』
【スタッフ】
原作:武田綾乃/監督:石原立也/副監督:小川太一/シリーズ構成:花田十輝/キャラクターデザイン:池田晶子,池田和美/総作画監督:池田和美/楽器設定:髙橋博行/楽器作画監督:太田稔/美術監督:篠原睦雄/3D美術:鵜ノ口穣二/色彩設計:竹田明代/撮影監督:髙尾一也/3D監督:冨板紀宏/音響監督:鶴岡陽太/音楽:松田彬人/音楽制作:ランティス,ハートカンパニー/音楽協力:洗足学園音楽大学/演奏協力:プログレッシブ!ウインド・オーケストラ/吹奏楽監修:大和田雅洋/アニメーション制作:京都アニメーション
【キャスト】
黄前久美子:黒沢ともよ/加藤葉月:朝井彩加/川島緑輝:豊田萌絵/高坂麗奈:安済知佳/黒江真由:戸松遥/塚本秀一:石谷春貴/釜屋つばめ:大橋彩香/久石奏:雨宮天/鈴木美玲:七瀬彩夏/鈴木さつき:久野美咲/月永求:土屋神葉/剣崎梨々花:杉浦しおり/釜屋すずめ:夏川椎菜/上石弥生:松田彩音/針谷佳穂:寺澤百花/義井沙里:陶山恵実里/滝昇:櫻井孝宏
【コメント】
言わずと知れた京都アニメーション制作ビッグタイトルの続編である。そしていよいよ「久美子3年生編」に突入する。キャラクターデザインが池田晶子から池田和美に交代したことや,山田尚子の不在により,それなりの作風変化が予想されるだろう(『アンサンブルコンテスト』(2023年)を観る限りそのように判断できる)。しかし『ユーフォ』は,第1期から作画や演出の方針が少なからず変化している作品だ。変化の中に“違和”を見るか“進化”を見るかは人ぞれぞれだろうが,個人的には,苦難を乗り越えて飛躍したスタッフの技術の“深化”を期待したい。
⑪『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす〜 第2クール』
『無職転生Ⅱ 〜異世界行ったら本気出す〜』公式Twitter
【スタッフ】
原作:理不尽な孫の手/キャラクター原案:シロタカ/原作企画:フロンティアワークス/監督:渋谷亮介/シリーズ構成:大野敏哉/キャラクターデザイン:嶋田真恵,齊藤佳子/総作画監督:世良コータ,五十子忍,孫弘志/美術監督:三宅昌和/色彩設計:土居真紀子/撮影監督:頓所信二/編集:三嶋章紀/音響監督:明田川仁/音楽:藤澤慶昌/プロデュース:EGG FIRM/制作:スタジオバインド
【キャスト】
ルーデウス・グレイラット:内山夕実/前世の男:杉田智和/シルフィエット:茅野愛衣/ノルン・グレイラット:会沢紗弥/アイシャ・グレイラット:高田憂希/アリエル・アネモイ・アスラ:上田麗奈/ルーク・ノトス・グレイラット:興津和幸/エリナリーゼ・ドラゴンロード:田中理恵/ナナホシ/サイレント・セブンスター:若山詩音/ザノバ・シーローン:鶴岡聡/クリフ・グリモル:逢坂良太/ジュリエット:諸星すみれ/リニアーナ・デドルディア:ファイルーズあい/プルセナ・アドルディア:田中美海/バーディガーディ:楠大典
【コメント】
異世界転生ジャンルの嚆矢,『無職転生』の続編。これも多くを語るまでもないだろう。待ちに待ったルディとシルフィの“再会”後の物語である。正直に言えば,第1クールで監督交代による懸念が多少はあったのだが,全体としてうまくまとめられていたと思う。第2クールではさらに進化していることを願う。
⑫『ゆるキャン△ SEASON3』
【スタッフ】
原作:あfろ/監督:登坂晋/シリーズ構成:ピエール杉浦/キャラクターデザイン:橋本尚典/プロップデザイン:豊田暁子,興津香織/メカデザイン:稲田航/色彩設計:長谷川美穂(緋和)/美術監督:権瓶岳斗(グーフィー)/背景美術:Creative Freaks/撮影監督:小川克人(チップチューン)/CGディレクター:広沢範光(オーラスタジオ)/スーパーバイザー/モニターグラフィックス:生原雄次/オフライン編集:神宮司由美/音楽:立山秋航/音楽制作:MAGES./音響監督:高寺たけし/音響制作:HALF H・P STUDIO/アニメーション制作:エイトビット
【キャスト】
各務原なでしこ:花守ゆみり/志摩リン:東山奈央/大垣千明:原紗友里/犬山あおい:豊崎愛生/斉藤恵那:高橋李依/土岐綾乃:黒沢ともよ/鳥羽美波:伊藤静/各務原桜:井上麻里奈/犬山あかり:松田利冴/ナレーション:大塚明夫
【コメント】
これもビッグタイトルの続編だが,最大のポイントは制作会社・監督・キャラクターデザインを始め,制作の布陣が大きく変わることだ。しかも「原作漫画のテイストを取り入れ」(公式HPの登坂晋監督コメントより)るという方針のもと,キャラクターデザインを旧来のものから変更しており,この点で先述の『この素晴らしい世界に祝福を!』などとはまったく事情を異にする。この手の作品で最大の目玉となるキャラデザを変更したことが,これまでのファンにどう評価されるか,また原作勢とアニメ勢で評価が変わるのか。賛否を覚悟で敢えて変更に挑んだ制作陣のお手並み拝見といこう。
第1・2期→第3期の主な交代は以下の通り。
監督:京極義昭→登坂晋
シリーズ構成:田中仁→ピエール杉浦
キャラクターデザイン:佐々木睦美→橋本尚典
美術監督:海野よしみ→権瓶岳斗
制作:C-Station→エイトビット
⑬『夜のクラゲは泳げない』(オリジナル)
【スタッフ】
原作:JELEE/監督:竹下良平/シリーズ構成・脚本:屋久ユウキ/キャラクター原案:popman3580/キャラクターデザイン:谷口淳一郎/サブキャラクターデザイン:中島千明,朱里/衣装デザイン:葛原詩乃,長澤翔子/プロップデザイン:服部未夢/総作画監督:谷口淳一郎,豊田暁子,鈴木明日香/メインアニメーター:太田慎之介,Saurabh Singh,中尾和麻/劇中イラスト原案:はむねずこ/美術監督:金子雄司/美術設定:平澤晃弘/色彩設計:石黒けい/撮影監督:桒野貴文/編集:木村佳史子/音響監督:木村絵理子/音楽:横山克/音楽制作:キングレコード/アニメーション制作:動画工房
【キャスト】
光月まひる:伊藤美来/山ノ内花音:高橋李依/渡瀬キウイ:富田美憂/高梨・キム・アヌーク・めい:島袋美由利/みー子:上坂すみれ/瀬藤メロ:岡咲美保/柳桃子:首藤志奈/鈴村あかり:天城サリー
【コメント】
渋谷を舞台にしたガールズ青春群像劇系オリジナルアニメ。PVからはかなり美麗な作画が伺える。特に「クラゲの輝き」が一つのモチーフとなっているだけあって,キツめの撮影効果による美しい光表現が目を引く。
監督は『エロマンガ先生』(2017年)の竹下良平,キャラクター原案は人気イラストレーターのpopman3580,キャラクターデザインは『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(2020-2022年)などの谷口淳一郎。ルック面でのクオリティは保証されていると言っていいだろう。
2024年春アニメのイチオシは…
2024年春アニメの期待作として,今回は13作品をピックアップした。
今回のイチオシ作品として水島努監督『終末トレインどこへいく?』を挙げよう。今クールは続編の中に期待作が多いのだが,ここは一つ水島監督のオリジナルアニメに賭けてみたいと思う。
次点として,石原立也監督『響け!ユーフォニアム3』,登坂晋監督『ゆるキャン△SEASON3』,外崎春雄監督『鬼滅の刃 柱稽古編』,春日森春木監督『アストロノオト』にも注目したい。特に『ユーフォ』『ゆるキャン』などは,スタッフ陣交代による変化を仔細に確認しておきたいところだ。
以上,2024年春アニメ視聴の参考にして頂ければ幸いである。