アニ録ブログ

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「魔法少女まどか⭐︎マギカ10(展)」レポート:明と暗の世界

*このレポートには「魔法少女まどか⭐︎マギカ10(展)」の展示に関する記述があります。新鮮な気持ちで展示を鑑賞したい方は,まず展示をご覧になってからこの記事をお読みください。

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「魔法少女まどか⭐︎マギカ」公式Twitterより引用 ©︎Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

10th.madoka-magica.com


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『魔法少女まどか⭐︎マギカ』は今年(2021年)で10周年を迎え,新作『劇場版 魔法少女まどか⭐︎マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』発表を含めた各種プロジェクトが始動している。

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この10周年プロジェクトの一環として開催された「魔法少女まどか⭐︎マギカ10(展)」は,2011年冬に放映されたTVシリーズを振り返る回顧展であり,作品の制作過程を説明した資料の他,その独特な世界観を再現したインスタレーションも豊富に展示されている。訪問者を瞬時にして『まどマギ』の独特な物語世界に連れ戻してくれる魅力的な展示会だ。今回の記事では,その見どころをいくつか紹介しよう。

展示会データ

*チケットやグッズ等については東京会場のもの

【会場・会期】
以下の順で巡回。
【東京】松屋銀座8階イベントスクエア:2021年9月22日(水)~10月5日(火)
【福岡】博多阪急8階催場:2021年11月23日(火・祝)~12月5日(日)
【石川】香林坊大和8階ホール:2021年12月26日(日)〜2022年1月12日(水)
以降,大阪,新潟,静岡に巡回予定。

【チケット】
一般 1300円(税込)高校生 900円(税込)中学生 700円(税込)小学生 500円(税込)。グッズ付チケットあり(2種)。詳しくはこちら
グッズ:「Official Book」の販売あり(2200円(税込))。その他,アクリルスタンド,クリアファイル,缶バッジ,トートバッグ,キャンバスアート,Tシャツ等の販売あり。詳しくはこちら

【その他】
多くのセクションで写真撮影可(原画等の制作資料や映像展示などは撮影不可)。音声ガイドあり(700円(税込)。ガイド機タイプとアプリタイプの2種類あり。鹿目まどか役:悠木碧とキュゥべえ役:加藤英美里の完全録り下ろし音声)。鑑賞所要時間の目安は「やや急いで鑑賞」で1時間30分。「じっくり鑑賞」で2時間。

『魔法少女まどか⭐︎マギカ』データ

新房昭之(監督)虚淵玄(脚本)蒼樹うめ(キャラクター原案)シャフトからなる「Magica Quartet」によるオリジナルTVシリーズアニメ。鹿目まどかと暁美ほむらを中心に,謎の生命体キュゥべえと契約し「魔法少女」となった少女たちの数奇な運命を描く。蒼樹うめの可愛らしいキャラクターと裏腹に,話数を追うごとにダークな展開を見せる虚淵玄の脚本が話題を呼び,深夜アニメ界に旋風を巻き起こした。2011年1月から4月にかけて(途中,東日本大震災による一時休止あり),全12話が放映された。

【スタッフ】原作:Magica Quartet/監督:新房昭之/脚本:虚淵玄(ニトロプラス)/キャラクター原案:蒼樹うめ/キャラクターデザイン:岸田隆宏/シリーズディレクター:宮本幸裕/総作画監督:谷口淳一郎,高橋美香/アクションディレクター:阿部望,神谷智大/異空間設計:劇団イヌカレー/レイアウト設計:牧孝雄/美術監督:稲葉邦彦,金子雄司(~第6話),内藤健(第7話~)/美術設定:大原盛仁/色彩設計:日比野仁,滝沢いづみ/ビジュアルエフェクト:酒井基/撮影監督:江藤慎一郎/編集:松原理恵/音響監督:鶴岡陽太/音響制作:楽音舎/音楽:梶浦由記/アニメーション制作:シャフト

【キャスト】鹿目まどか:悠木碧/暁美ほむら:斎藤千和/巴マミ:水橋かおり/美樹さやか:喜多村英梨/キュゥべえ:加藤英美里/佐倉杏子:野中藍

展示構成

展示はOPENING+TVシリーズ全話数に対応した12のセクションに分かれており,それぞれ別個のテーマで展示がなされている。

OPENING:オープニング・アニメーション
EPISODE 1: キャラクター紹介,変身シーンなど
EPISODE 2 :魔法少女の衣装,蒼樹うめによるキャラクター初期原案など
EPISODE 3 :劇団イヌカレーによる「魔女結界」空間演出
EPISODE 4 & 5 :脚本・絵コンテから完成映像までの制作過程紹介
EPISODE 6:ソウルジェム,キュゥべえの設定資料・イラストなど
EPISODE 7 :アクションシーンの映像・原画など
EPISODE 8:さやかと杏子の物語,「人魚の魔女」像展示
EPISODE 9:キュゥべえのセリフ,梶浦由記による音楽
EPISODE 10:ほむらの「ループ」原画
MADOKA MAGICA Interactive Theater
EPISODE 11:ほむらとまどかの物語
EPISODE 12:制作スタッフのメッセージ

明と暗の世界観へ

エントランスでは,ClariSの歌うテーマ曲「コネクト」とともに,オープニングアニメーションの絵コンテ・原撮映像と完成映像が大画面に映し出される。「コネクト」のアップテンポな曲調と,キュートな鹿目まどかをフォーカスしたアニメーションが,「魔法少女」をテーマとした本作のイメージにぴったりのオープニングであることを改めて感じさせられる。すでにこのセクションで,訪問者は『まどマギ』のあの世界に一気に引き戻されるだろう。その後,展示は魔法少女たちの変身シーンやきらびやかな衣装などを紹介していく。

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しかし言うまでもなく,こうしたポジティブな要素は『まどマギ』という作品全体の片面に過ぎない。

「EPISODE 3」では,『まどマギ』のダーク面の世界観を決定付けた「魔女結界」が再現されている。劇団イヌカレーのデザインした魔女たちが壁一面を埋め尽くした一角は圧巻だ。

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第3話と言えば,巴マミが「お菓子の魔女」に殺害され,物語が一気に暗転したことで知られる話数だ。エンディングテーマも悠木碧が歌うほのぼのとした「また あした」から,Kalafinaの「Magia」へと変わっている。展示では,この明から暗への転調も再現されているわけだ。

俗に“さやかのテーマ”とも呼ばれる“Decretum”が流れてくると,僕らは美樹さやかの悲劇的な運命を否応なく想起させられる。魔女化したさやかの「人魚の魔女(オクタヴィア)」も立体的に再現されている。

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このように,本展示は各話の名場面や作品の世界観を再現するインスタレーションが中心ではあるが,脚本から完成映像までの流れを詳細に説明した展示や,アクションシーンの原画などの制作資料も多く,『まどマギ』を“アニメ制作”という側面からも捉えることも視野に入れた展示構成になっている。

ほむらの「ループ」原画

とりわけ「EPISODE 10」では,まどかを救うべくほむらが繰り返した時間遡行を再現する膨大な原画が展示されている。通常,アニメ1話分の作画枚数は平均3000〜5000枚と言われているが,この第10話では約10000もの枚数が作画されたという。ここではそのうち約1000枚の原画が展示されており,間違いなく本展示の目玉の1つと言える。

原画は撮影禁止のためここでは画像を紹介できないのが残念だが,声も劇伴もない無言の静止画から立ち上ってくるほむらの“執念”には終始圧倒される。制作資料としての価値も高いので,ぜひじっくりと鑑賞したいところだ。

「OFFICIAL BOOK」とグッズについて

「OFFICIAL BOOK」は展示の内容を振り返る資料の他,新房昭之監督の各話コメンタリや,「『魔法少女まどか⭐︎マギカ』ができるまで」と題された論考なども掲載されている。10周年の記念として一冊手元に置いておくことをお勧めしたい。

「展示会データ」にも記したように,物販コーナーでは多数のグッズが販売されている。こればかりは好みの問題だが,僕が購入したものをTwitterで紹介したので,参考にして頂ければと思う。

さいごに

「魔法少女まどか⭐︎マギカ10(展)」を観ることで,その独特な世界観に連れ戻されると同時に,もう一度あの類稀な物語を辿りなおしたいという気持ちになることは間違いないだろう。劇場版公開の前に,TVシリーズと劇場版を鑑賞し直すいい機会となるかもしれない。当時のインタビュー記事や2011年に発行された「ユリイカ臨時増刊号 総特集 魔法少女まどか⭐︎マギカ 魔法少女に花束を」などの論考を読み直してみるのもいいだろう。

はたして『劇場版 魔法少女まどか⭐︎マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』はどのような物語になるのか。明か。それとも暗なのか。10年前のTVシリーズを振り返りながら,楽しみに待つとしようではないか。

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キャラクターデザイン・岸田隆宏のイラスト

商品情報

 

www.otalog.jp