- 2020年 夏アニメ振返り
- アクダマドライブ
- 安達としまむら
- 池袋ウエストゲートパーク
- 犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい
- 神様になった日
- ゴールデンカムイ
- 呪術廻戦
- 進撃の巨人 The Final Season
- 戦翼のシグルドリーヴァ
- ひぐらしのなく頃に
- 2020年秋アニメのイチオシは…
2020年 夏アニメ振返り
前クールに続きコロナ禍による影響を大きく受けつつも,延期になっていた作品がようやく放送されるなど,光が見え始めてきた夏クール。まだ放送中ではあるが,本ブログで注目した作品をいくつか振り返ってみよう。
立川謙監督『デカダンス』は,早くも2話でのどんでん返しと,意表を突いたキャラクターデザインで放送当初から耳目を集めた。しかし終盤の展開は“王道”といった体で,今のところ“ハケン”と言えるほどのインパクトは見出せない。橋本昌和監督『天晴爛漫!』は,作画のクオリティなどは頭一つ抜けている水準だが,ロードムービー的な展開がやや単調で,物語の展開にもさほど目新しいものはない。湯浅政明監督 『日本沈没2020』は,作品に散見される“政治性”がネット民を中心に曲解され,必ずしも正当な評価を得たとは言い難い作品となった。ただし,それを措いたとしても,湯浅のメッセージを伝え切れた作品になったかどうかは少々疑問である。
一方,長月達平原作・渡邊政治監督『Re:ゼロから始める異世界生活』や川原礫原作・小野学監督『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』のようなビッグタイトルの続編は変わらず堅調だったと言える。しかしこれらの作品は“常連客”が人気を支えているところが大きく,そういう意味では,他作品と比べて突出していたとは言い難い。
総じて,ややインパクトに欠けたクールだったのではないかというのが正直な感想だ。今回は辛口の振り返りになってしまったが,次クールはどうだろうか。いつも通り五十音順で紹介していこう。
アクダマドライブ
【スタッフ】
原作:ぴえろ・TooKyoGames/ストーリー原案:小高和剛/キャラクター原案:小松崎類/監督:田口智久/シリーズ構成:海法紀光/キャラクターデザイン:Cindy H. Yamauchi/メカニックデザイン:山本翔,宮川治雄,常木志伸/美術監督:谷岡善王/美術設定:青木 薫/色彩設計:合田沙織/撮影監督:山田和弘/CG監督:藤谷秀法/音響監督:長崎行男/音楽:會田茂一/アニメーション制作:studioぴえろ
【キャスト】
一般人:黒沢ともよ/運び屋:梅原裕一郎/喧嘩屋:武内駿輔/ハッカー:堀江瞬/医者:緒方恵美/チンピラ:木村昴/殺人鬼:櫻井孝宏
ゲーム『ダンガンロンパ』シリーズでタッグを組んだ小高和剛と小松崎類が,それぞれストーリー原案とキャラクター原案を手がけるクライム・アクション。「カンサイがカントウの属国となる」という設定が何かと物議を醸しそうで実に楽しみだ。監督は『Persona4 the Golden ANIMATION』(2014年夏)や『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』(2020年)などの田口智久。今期期待のオリジナルアニメである。
安達としまむら
【スタッフ】
原作:入間人間/監督:桑原智/シリーズ構成:大知慶一郎/キャラクターデザイン:金子志津枝/総作画監督:豊田暁子,氏家章雄,神谷美也子,森田莉奈,薄谷栄之/美術監督:斉藤雅巳/プロップデザイン:加来哲郎,山田菜都/美色彩設計:油谷ゆみ/撮影監督:志村豪(T2Studio)/音響監督:本山哲/音楽:田渕夏海,中村巴奈重,櫻井美希/音楽制作:日音/アニメーション制作:手塚プロダクション
【キャスト】
安達:鬼頭明里/しまむら:伊藤美来/日野:沼倉愛美/永藤:上田麗奈/ヤシロ:佐伯伊織
いわゆる“百合”アニメ。原作は仲谷鳰『やがて君になる』のスピンオフ小説『やがて君になる 佐伯沙弥香について』(2018-2020年)の入間人間である。僕は百合やBLの歴史に詳しいわけではないが,昨今の性的マイノリティの議論の高まりを反映してか,この辺りのジャンルは徐々に変容しつつあるような印象がある。『リズと青い鳥』(2018年),『やがて君になる』(2018年秋),『囀る鳥は羽ばたかない』(2020年),『海辺のエトランゼ』(2020年)といった近年の作品群の中で,本作がどのような位置づけになるだろうか。
池袋ウエストゲートパーク
【スタッフ】
原作:石田衣良/監督:越田知明/シリーズ構成:志茂文彦/キャラクターデザイン:谷口淳一郎/サブキャラクターデザイン:豊田暁子,吉川真帆,松浦麻衣/総作画監督:谷口淳一郎,吉川真帆,松浦麻衣/プロップデザイン:秋篠 Denforword 日和/美術監督:中村典史/色彩設計:伊藤裕香/撮影監督:呉健弘/編集:平木大輔/音楽:中川大二朗,高田龍一(MONACA)/音響監督:土屋雅紀/アニメーション制作:動画工房
【キャスト】
マコト:熊谷健太郎/タカシ:内山昂輝/キョウイチ:土田玲央/ヒロト:木村昴/磯貝:花江夏樹/谷口マサル:小林千晃/藤本ミツキ:村瀬歩/ミノル・タモツ:新垣樽助/クロウ:小野賢章/サル:木村良平/ゼロワン:諏訪部順一/シャドウ:津田健次郎/横山礼一郎:櫻井孝宏/吉岡:檜山修之/マコトの母:甲斐田裕子
【IWGP】TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」PV第2弾
石田衣良の同名小説(1997年-)を原作とし,2000年に宮藤官九郎の脚本でドラマ化され話題となった『池袋ウエストゲートパーク』。“池袋とカラーギャング”という,今からすればやや懐かしい設定がどう翻案されるかが見所だろう。
監督は『イエスタデイをうたって』(2020年)などの一部の話数で演出を務めた越田知明,脚本は『CLANNAD』(2007年秋-2008年冬)『CLANNAD~AFTER STORY~』(2008年秋-2009年冬)の志茂文彦,キャラクターデザインは『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(2020年冬),『イエスタデイをうたって』などの谷口淳一郎と,座組も頼もしい。
犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい
【スタッフ】
原作:松本ひで吉/監督・脚本・シリーズ構成:岸誠二/キャラクターデザイン:
Team Till Dawn/美術監督:宮越歩/色彩設計:伊東さき子/撮影監督:宋賢大/編集:髙橋歩/音響監督:飯田里樹/アニメーション制作:Team Till Dawn
【キャスト】
犬くん:花澤香菜/猫さま:杉田智和/松本ひで吉:金澤まい
TVアニメ「犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい」PV第2弾
今期のアニマル癒やし枠。松本ひで吉が2017年からTwitterに投稿し続けている同名作品のアニメ化である。僕も毎週楽しみにしている作品で,「犬と猫」だけでよくここまで面白いマンガを描き続けられるものだな,とつくづく感心する。ちなみに,猫に杉田智和をキャスティングしたのは“当たり”だと思う。
神様になった日
【スタッフ】
原作・脚本:麻枝准(VISUAL ARTS/Key)/監督:浅井義之/キャラクター原案:Na-Ga(VISUAL ARTS/Key)/キャラクターデザイン・総作画監督:仁井学/美術監督:鈴木くるみ/撮影監督:梶原幸代/色彩設計:中野尚美/3D監督:鈴木晴輝/編集:髙橋歩/音響監督:飯田里樹/音楽:MANYO,麻枝准/アニメーション制作:P.A.WORKS
【キャスト】
ひな:佐倉綾音/成神陽太:花江夏樹/伊座並杏子:石川由依/国宝阿修羅:木村良平/成神空:桑原由気
TVアニメ「神様になった日」第2弾CM【10月10日(土)より放送開始!】
ゲーム『CLANNAD』(2004年),アニメ『Angel Beats!』(2010年春),アニメ『Charlotte』(2015年夏)などで知られる麻枝准が原作・脚本を手がけるオリジナルアニメ。「麻枝准は原点回帰する。」(公式HPより)というコピーは,〈ボーイミーツガール&セカイ系〉への回帰を暗示しているのか。〈セカイ系〉は”終わった”のか,それとも”伝統芸”として回帰し続け,時代ごとに新たな価値を付与されるのか。この作品にその解の1つを期待してみたい気もする。
ゴールデンカムイ
【スタッフ】
原作:野田サトル/監督:難波日登志/シリーズ構成:高木登/キャラクターデザイン:大貫健一/プロップ設定:渡辺浩二/動物設定:廣江啓輔/美術監督:森川 篤/美術設定:大久保知江/色彩設計:茂木孝浩/撮影監督:長田雄一郎/CGディレクター:宍戸光太郎/編集:定松剛/音響監督:明田川仁/音響制作:マジックカプセル/アイヌ語監修:中川裕/ロシア語監修:Eugenio Uzhinin/音楽:末廣健一郎/アニメーション制作:ジェノスタジオ
【キャスト】
杉元佐一:小林親弘/アシㇼパ:白石晴香/白石由竹:伊藤健太郎/鶴見中尉:大塚芳忠/土方歳三:中田譲治/尾形百之助:津田健次郎/谷垣源次郎:細谷佳正/牛山辰馬:乃村健次/永倉新八:菅生隆之/家永カノ:大原さやか/キロランケ:てらそままさき/インカラマッ:能登麻美子/二階堂浩平:杉田智和/月島軍曹:竹本英史/鯉登少尉:小西克幸
言わずと知れた傑作マンガのアニメシリーズ第三期。多くを語る必要はないだろう。
呪術廻戦
【スタッフ】
原作:芥見下々/監督:朴性厚/副監督:梅本唯/シリーズ構成・脚本:瀬古浩司/キャラクターデザイン:平松禎史/色彩設計:鎌田千賀子/3DCGディレクター:兼田美希/撮影監督:伊藤哲平/編集:柳圭介/音楽:堤博明,照井順政,桶狭間ありさ/音響監督:藤田亜紀子/音響制作:dugout/アニメーション制作:MAPPA
【キャスト】
虎杖悠仁:榎木淳弥/伏黒恵:内田雄馬/釘崎野薔薇:瀬戸麻沙美/禪院真希:小松未可子/狗巻棘:内山昂輝/パンダ:関智一/七海建人:津田健次郎/五条悟:中村悠一/両面宿儺:諏訪部順一
今クールのジャンプ枠期待作品。芥見下々の同名マンガを原作とする。「呪い」という負の力をテーマにしているだけあって,全体的にダークな雰囲気の漂う作品だ。シリーズ構成・脚本は『モブサイコ100』(2016年夏)などの瀬古浩司,キャラクターデザインは『ユーリ!!! on ICE』(2016年秋)などの平松禎史が担当。楽しみな布陣である。
進撃の巨人 The Final Season
【スタッフ】
原作:諫山創/監督:林祐一郎/シリーズ構成:瀬古浩司/キャラクターデザイン:岸友洋/総作画監督:新沼大祐/演出チーフ:宍戸淳/エフェクト作画監督:酒井智史,古俣太一/色彩設計:末永絢子/美術監督:小倉一男/画面設計:淡輪雄介/3DCG監督:上薗隆浩/撮影監督:浅川茂輝/編集:吉武将人/音響監督:三間雅文/音楽:澤野弘之,KOHTA YAMAMOTO/音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)/音響制作:テクノサウンド/アニメーションプロデューサー:松永理人/制作:MAPPA
【キャスト】
エレン・イェーガー:梶裕貴/ミカサ・アッカーマン:石川由依/アルミン・アルレルト:井上麻里奈/コニー・スプリンガー:下野紘/サシャ・ブラウス:小林ゆう/ヒストリア・レイス:三上枝織/ジャン・キルシュタイン:谷山紀章/ライナー・ブラウン:細谷佳正/ハンジ・ゾエ:朴璐美/リヴァイ:神谷浩史/ジーク:子安武人
TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season PV
これももはや語るまでもないビッグタイトルの続編だが,ここへ来て監督,シリーズ構成,キャラクターデザイン,制作会社が総入れ替えというのが気になる。PVを見ると,だいぶキャラクターデザインのテイストが変わっていることがわかる。その辺りがどう受け入れられるかというところだろう。
戦翼のシグルドリーヴァ
【スタッフ】
原作:戦翼倶楽部/シリーズ構成・脚本:長月達平/キャラクター原案:藤真拓哉/世界観設定・設定考証:鈴木貴昭/監督:徳田大貴/キャラクターデザイン:横田拓己/サブキャラクターデザイン:水谷雄一郎/総作画監督:横田拓己,中川洋未,矢向宏志/プロップ・メカニックデザイン:江間一隆/美術監督:渡辺幸浩,若林里紗/美術設定:松本浩樹/色彩設計:佐野ひとみ/CG監督:荻田直樹/撮影監督:関谷能弘/編集:重村建吾/音響監督:岩浪美和/音楽:小森茂生,百石元/制作:A-1 Pictures
【キャスト】
クラウディア・ブラフォード:山村響/六車・宮古:稗田寧々/駒込・アズズ:M・A・O/渡来・園香:菊池紗矢香/里見・一郎:平田広明/ルサルカ・エヴァレスカ:茅野愛衣/リズベット・クラウン:小松未可子/レイリー・ハルティア:上田瞳/本庄・美智:堀江由衣/和浦・野乃:日高里菜/御厨・小町:上坂すみれ/ロン毛:中村悠一/金髪:杉田智和/グラサン:マフィア梶田/整備班長:千葉繁
ライトノベル『Re:ゼロから始める異世界生活』(2012年-)の長月達平がシリーズ構成・脚本を務めるオリジナルアニメ。『ガールズ&パンツァー』(2012年秋)の考証や『ハイスクール・フリート』(2016年春)の原案を手がけた鈴木貴昭が,世界観設定と設定考証を担当する。それもあってか,“ハイフリ空戦版”といった雰囲気の作品になりそうだ。
ひぐらしのなく頃に
【スタッフ】
原作:竜騎士07/07th Expansion/監督:川口敬一郎/シリーズ構成:ハヤシナオキ/キャラクターデザイン:渡辺明夫/助監督:池端隆史/美術監督:井上一宏(草薙)/美術統括:山根左帆(草薙)/色彩設計:小松亜理沙/撮影監督:戸澤雄一朗(グラフィニカ)/編集:丹彩子(グラフィニカ)/音響監督:森下広人/音響効果:八十正太(スワラプロ)/音楽:川井憲次/音楽制作:フロンティアワークス/プロデュース:インフィニット/アニメーション制作:パッショーネ
【キャスト】
前原圭一:保志総一朗/竜宮レナ:中原麻衣/園崎魅音・詩音:ゆきのさつき/北条沙都子:かないみか/古手梨花:田村ゆかり/大石蔵人:茶風林/富竹ジロウ:大川透/鷹野三四:伊藤美紀/入江京介:関俊彦
2002年からPCゲームとして発表され,その残酷な描写から社会問題ともなった『ひぐらしのなく頃に』。2006年にアニメ化されたが,今回はスタッフもほぼ一新されたリメイク版である。とりわけ,『化物語』シリーズのキャラクターデザイン・総作画監督を務めた渡辺明夫(ぽよよん♥ろっく)がキャラクターデザインを手がけたことにより,雰囲気は大幅に変わっており,新鮮な気持ちで本作を楽しめそうだ。その一方で,CVが当時のオリジナルキャストのままというのも逆に大変嬉しい。
2020年秋アニメのイチオシは…
以上,2020年秋アニメの期待作として10作品を紹介した。イチオシとしては,今回もオリジナル作品である『アクダマドライブ』を挙げておこう。設定の妙がどう光るかが楽しみだ。
次点として,『安達としまむら』『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』『神様になった日』を挙げておこう。
アニメ業界がコロナ禍を乗り越え,以前に増してパワーアップすることを願いつつ,今回の記事を終えることにする。