アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2021年 冬アニメは何を観る?来期オススメアニメの紹介ー2020年秋アニメを振返りながらー

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『ワンダーエッグ・プライオリティ』公式Twitterより引用 ⒸWEP PROJECT

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2020年 秋アニメ振返り

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2020年秋アニメは“豊作”と言われただけあって,大変魅力的な作品が多かった。現在,終盤を迎えつつある作品の中から注目作品をいくつかピックアップしておこう。

田口智久監督『アクダマドライブ』は,ユニークな映像表現と奇想天外なストーリーを全面に押し出しながらも,要所でエモーショナルな心情表現を挿入する繊細な演出が目を引く。当初の期待通り,今期のオリジナルアニメの中でも一際異彩を放つ秀作だ。

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朴性厚監督『呪術廻戦』は,自在なカメラワークによって見応えのあるアクションシーンを演出しており,原作の面白さを巧みに引き出している。五条悟のような魅力的なキャラクターの造形も上手く,今期のマンガ原作アニメの中では筆頭株だろう。

浅井義之監督『神様になった日』は,プレスコの特徴を活かし,主演の花江夏樹と佐倉綾音の軽快な掛け合いを見事にアニメ映像に落とし込んでいる。現在,主人公の佐藤ひなの正体を巡って物語が佳境に入っている。本作のキャッチフレーズとして示された,麻枝准の「原点回帰」がどのように表現されるか。今後の展開が楽しみだ。

以上の3作品が今期作品の中でも抜きん出ているのではないかと思うが,これに桑原智監督『安達としまむら』も加えておきたい。技術的には上記の作品よりも見劣りがするかもしれないが,金子志津江のキャラクターデザインや主演の鬼頭明里・伊藤未来の演技が,原作の入間人間の独特な世界観や台詞回しを上手く再現している。

では以下,2021年冬アニメのラインナップの中から,五十音順に注目作をピックアップしていこう。

アーヤと魔女

【スタッフ】
企 画:宮崎 駿/原 作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/脚 本:丹羽圭子郡司絵美/キャラクター・舞台設定原案:佐竹美保/音楽:武部聡志/音響演出:笠松広司/アフレコ演出:木村絵理子/キャラクターデザイン:近藤勝也/CGスーパーバイザー:中村幸憲/アニメーションディレクター:タンセリ/背景:武内裕季/アニメーションプロデューサー:森下健太郎/プロデューサー:鈴木敏夫/制作統括:吉國勲土橋圭介星野康二/監督:宮崎吾朗/制作・著作:NHK,NHKエンタープライズ,スタジオジブリ

【キャスト】
ベラ・ヤーガ:寺島しのぶ/マンドレーク:豊川悦司/トーマス:濱田岳/アーヤ:平澤宏々路

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宮崎駿の息子,宮崎吾朗が監督を務める“魔女修行モノ”アニメ。従来のジブリ作品同様,主要キャラクターには声優ではなく俳優を起用している。その一方で,手描きアニメにこだわる宮崎駿も企画として参加する本作が,フルCGという媒体をどう解釈してくるか。内容もさることながら,今後のアニメ業界におけるスタジオジブリのプレゼンスを予見する上でも注目すべき作品だろう。

裏世界ピクニック

【スタッフ】
原作:宮澤伊織/キャラクター原案:shirakaba/監督・シリーズ構成:佐藤卓哉/キャラクターデザイン・総作画監督:西畑あゆみ/クリーチャーデザイン:江間一隆/エフェクト作画監督:吉田徹(アニメアール)/美術監督:松本浩樹(アトリエPlatz)/色彩設計:岩井田洋(Assez Finaud Fabric.)/撮影監督:口羽毅(Assez Finaud Fabric.)/3Dディレクター:白石優也(FelixFilm)/編集:後藤正浩(REAL-T)/音楽:渡辺剛/アニメーション制作:LIDENFILMS×FelixFilm

【キャスト】
紙越空魚:花守ゆみり/仁科鳥子:茅野愛衣/小桜:日高里菜/瀬戸茜理:富田美憂

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TVアニメ「裏世界ピクニック」PV第2弾

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「ピクニック」というタイトルが醸し出す表面的な印象とは裏腹に,“怪異モノ”としてかなりシリアスに作り込まれた世界観であることがPVから伺える。

監督は『STEINS;GATE』(2011年春・夏)などの佐藤卓哉。佐藤は今年,劇場アニメ『どうにかなる日々』(2020年)でも,シンプルながらも原作の風合いに合った説得力のある演出を見せつけたばかりであり,期待できる作品になりそうだ。

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SK∞ エスケーエイト

【スタッフ】
監督:内海紘子/シリーズ構成:大河内一楼/キャラクターデザイン:千葉道徳/音楽:高橋諒/アニメーション制作:ボンズ

【キャスト】
レキ:畠中祐/ランガ:小林千晃/MIYA:永塚拓馬/シャドウ:三宅健太/Cherry blossom:緑川光/ジョー:松本保典/愛抱夢アダム:子安武人/菊池忠:小野賢章

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【1月番新アニメ】TVアニメ「SK∞ エスケーエイト」第2弾PV(出演:畠中祐、小林千晃ほか)

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キービジュアルだけを見て“何だスケボーか”と思うなかれ。「スケボー×バトル」という奇抜な設定に加え,キワモノ揃いのキャラクター(何せ子安武人氏も出演している)。さらにオリジナルアニメと来ている。それだけに未知数要素の多い作品だが,制作スタッフの布陣は盤石だ。監督は『Free!』(2013年夏)『BANANA FISH』(2018年夏・秋)などの内海紘子,シリーズ構成は『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年)『甲鉄城のカバネリ』(2016年春)『プリンセス・プリンシパル』(2017年夏)などの大河内一楼,制作は『モブサイコ100』(2016年夏)『僕のヒーローアカデミア』(2016年春)などのボンズ。これだけの豪華スタッフが揃っては,注目しないわけにいくまい。

スケートリーディング☆スターズ

【スタッフ】
原作:谷口悟朗バンダイナムコアーツJ.C.STAFF/総監督:谷口悟朗/監督:福島利規/シリーズ構成・脚本:木村暢/キャラクターデザイン原案:枢やな/キャラクターデザイン・総作画監督:伊東葉子/キーアニメーター:高木有詩/衣装デザイン原案:オサレカンパニー/美術監督:奥村泰浩(スタジオリセス)/色彩設計:店橋真弓/撮影監督:廣瀬唯希/編集:瀧川三智(REAL-T)/音響監督:明田川仁/振付・パフォーマンスディレクター:TETSU(Bugs Under Groove)/共同振付:小林宏一(プリンスアイスワールド)/音楽:高橋諒/アニメーション制作:J.C.STAFF

【キャスト】
前島絢晴:内田雄馬/流石井隼人:古川慎/篠崎怜鳳:神谷浩史/寺内正太郎:日野聡/桐山樹:前野智昭/望月雪光:花江夏樹/望月暁光:土田玲央/城ノ内颯太:千葉翔也/窪田智之:佐藤元/姫川泉澄:梅原裕一郎/氷室泰冴:小野友樹/倉吉虎之助:竹田海渡/久遠寺夢空:斉藤壮馬/石川一:野島裕史/石川二:野島健児

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TVアニメ『スケートリーディング☆スターズ』 PV②

「スケートリーディング」という,架空のフィギュアスケート団体競技を設定したオリジナルアニメ。何より興味深いのは,原作と総監督に谷口悟朗の名が挙げられていることだろう。谷口と言うと,どちらかと言えばSFやロボットアクションの印象が強い。その彼がフィギュアスケートを素材にどんなストーリーテリングをしてくるか。また,フィギュアという題材に関しては,『ユーリ!!! on ICE』(2016年秋)という先行作品があるだけに,どんなチャレンジを仕掛けてくるか楽しみだ。

天地創造デザイン部

【スタッフ】
監督:増井壮一/シリーズ構成:横手美智子/キャラクターデザイン:大橋幸子/プロップデザイン:今門卓也/色彩設定:田中美穂/美術監督・美術設定:根本洋行(アートチーム・コンボイ)/撮影監督:寺本友紀/編集:本田優規/音楽:松尾早人/音響監督:飯田里樹/音響制作:スタジオマウス/音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ/アニメーション制作:旭プロダクション

【キャスト】
下田:榎木淳弥/上田:原由実/土屋:井上和彦/木村:梅原裕一郎/水島:諏訪部順一/金森:岸尾だいすけ/冥戸:大空直美/海原:竹内良太/火口:泊明日菜/ケンタ:木野日菜/横田:逢坂良太/虫部の面々:水島大宙/神様:龍田直樹

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TVアニメ「天地創造デザイン部」本PV

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天地創造の後,面倒になった神(クライアント)が動物の創造を「天地創造社」に下請けに出すというユニークな設定。『はたらく細胞』(2018年夏)と同系統の”教養型お仕事アニメ”である。この手のアニメは本当に勉強になるので見逃せない。『SHIROBAKO』(2014年秋-2015年冬)などの横手美智子がシリーズ構成を務めるのも注目ポイントだ。

バック・アロウ

【スタッフ】
監督:谷口悟朗/シリーズ構成・全話脚本:中島かずき/キャラクター原案:大高忍/キャラクターデザイン・総作画監督:菅野利之/ブライハイトデザイン:天神英貴/CGアクションスーパーバイザー:山根理宏/音楽:田中公平/CG制作:ダイナモピクチャーズ/撮影:チップチューン/背景:スタジオワイエス/アニメーション制作:スタジオヴォルン

【キャスト】
バック・アロウ:梶裕貴/アタリー・アリエル:洲崎綾/エルシャ・リーン:小澤亜李/ビット・ナミタル:小野賢章/カイ・ロウダン:置鮎龍太郎/シュウ・ビ:杉田智和/レン・シン:潘めぐみ/フィーネ・フォルテ:小清水亜美/プラーク・コンラート:小松未可子

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TVアニメ『バック・アロウ』PV第2弾/2021年1月放送開始

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何と言っても,監督・谷口悟朗×シリーズ構成・中島かずき(しかも全話脚本!)という布陣のビッグプロジェクトだ。これを見逃す手はないだろう。

壁に守られた「リンガリンド」辺境の「エッジャ村」に,ある日バック・アロウという青年が突然姿を現したことから物語は始まる。PVには,「ブライハイト」というロボットかサイボーグの様なもので戦うアクションシーンが見られる。先ほどの『スケートリーディング☆スターズ』と比べ,これぞ谷口という世界観の作品だ。

BEASTARS(第2期)

【スタッフ】
原作:板垣巴留/監督:松見真一/脚本:樋口七海/キャラクターデザイン:大津直/CGチーフディレクター:井野元英二/美術監督春日美波/色彩設計:橋本賢/撮影監督:古性史織,蔡伯崙/編集:植松淳一/音楽:神前暁(MONACA)/制作:オレンジ

【キャスト】
レゴシ:小林親弘/ハル:千本木彩花/ルイ:小野友樹/ジュノ:種﨑敦美/ジャック:榎木淳弥/ミグノ:内田雄馬/コロ:大塚剛央/ダラム:小林直ボス:下妻由幸/カイ:岡本信彦/サヌ:落合福嗣/ビル:虎島貴明/エルス:渡部紗弓/ドーム:室元気/キビ:井口祐一/シイラ:原優子/アオバ:兼政郁人/エレン:大内茜/ミズチ:山村響/レゴム:あんどうさくら/ピナ:梶裕貴/ゴウヒン:大塚明夫/市長:星野充昭/オグマ:堀内賢雄/イブキ楠大典/フリー:木村昴

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TVアニメ「BEASTARS」 第2期PV

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2019年秋クールの第1期放映に続く第2期。擬人化された動物の世界を舞台に,肉食獣と草食獣の間の対立・共生・愛を扱ったアニメである。1期では,主人公・レゴシ役の小林親弘の繊細な演技の他,制作のオレンジが見せつけた3DCGの新たな可能性が大きな見所だった。第2期も楽しみな作品である。 

約束のネバーランド(第2期)

【スタッフ】
原作:白井カイウ,出水ぽすか/監督:神戸守/シリーズ構成:大野敏哉,白井カイウ/キャラクターデザイン・総作画監督:嶋田和晃/プロップデザイン:板井寛樹/美術設定:池田繁美(アトリエ・ムサ),大久保修一(アトリエ・ムサ),友野加世子(アトリエ・ムサ),乗末美穂(アトリエ・ムサ)/美術監督:池田繁美(アトリエ・ムサ),丸山由紀子(アトリエ・ムサ)/色彩設計:横田明日香/撮影監督:塩川智幸(T2studio)/CG監督:神田瑞帆/編集:松原理恵(瀬山編集室)/音楽:小畑貴裕/音響監督:清水勝則/アニメーション制作:CloverWorks

【キャスト】
エマ:諸星すみれ/レイ:伊瀬茉莉也/ドン:植木慎英/ギルダ:Lynn/ナット:石上静香/アンナ:茅野愛衣/トーマ・ドミニク:日野まり/ラニオン:森優子/アリシア・マルク:青山吉能/フィル・クリスティ:河野ひより/ロッシー:林鼓子/ジェミマ:久遠エリサ/イベット:白城なお/ソンジュ:神尾晋一郎/ムジカ:種﨑敦美

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TVアニメ「約束のネバーランド」第2期CM第2弾

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ビッグタイトルの続編である。多くを語るまでもないだろう。第1期の水準は極めて高かったので,このままテンションを落とさずに最後まで駆け抜けて欲しい作品だ。 

ワンダーエッグ・プライオリティ

【スタッフ】
原案・脚本:野島伸司/監督:若林信/キャラクターデザイン・総作画監督:高橋沙妃/コンセプトアート:taracod/副監督:山﨑雄太/アクションディレクター:川上雄介/コアアニメーター:小林恵祐/ゲストキャラクターデザイン:久武伊織/プロップデザイン:井上晴日/デザインワークス:大鳥,絵を描くPETER/色彩設計:中島和子/美術監督:船隠雄貴/撮影監督:荻原猛夫/3DCG:Boundary/編集:平木大輔/音響監督:藤田亜紀子/音楽:DÉ DÉ MOUSE,ミト(クラムボン)/音響効果:古谷友二/企画プロデュース:植野浩之(日本テレビ),中山信宏(アニプレックス)/制作:CloverWorks/製作:WEP PROJECT/主題歌:アネモネリア

【キャスト】
大戸アイ:相川奏多/青沼ねいる:楠木ともり/川井リカ:斉藤朱夏/沢木桃恵:矢野妃菜喜

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完全新作オリジナルTVアニメーション「ワンダーエッグ・プライオリティ」第1弾PV

 

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原案・脚本をあの野島伸司が手がけるオリジナルアニメである。野島と言えば,『愛という名のもとに』(1992年)『高校教師』(1993年)『明日,ママがいない』(2014年)など,テレビドラマのフィールドで話題作・問題作を手がけた脚本家だ。その彼が初めてのアニメ脚本に携わるというだけあって,大いに期待が膨らむ。しかし,監督の若林信,キャラクターデザイン・総作画監督の高橋沙妃,制作のCloverWorks,およびキービジュアルとPV以外,現時点ではほとんど情報がない。ヒントになるのは,野島の「いつからかドラマにも『コンプライアンス』が侵食して、僕のような物書きは翼をもがれた感覚で、より自由度の高い場所を模索していました」というコメントだろう。*1 仮に野島がアニメに自由な表現を求めたのだとするなら,彼のドラマ脚本よりも伸びやかな作品を期待できるのかもしれない。

制作は『約束のネバーランド』(2019年冬)『空の青さを知る人よ』(2019年)のCloverWorksというだけあり,映像表現の水準が高い作品であることがPVから伺える。不確定要素の多い作品ではあるが,有望株と言えるだろう。

【2020年12月22日追記】

12月16日にスタッフ,キャストの発表に加え,第1弾PVも公表されたので,上に追記する。とは言えオリジナルアニメということもあり,未知数の多い作品ではある。しかしPVを見るに,キャラクターデザインを含めた画作りや世界観は水準以上と言えるだろう。

2021冬アニメのイチオシは…

2021年秋アニメの期待作として,今回は9作品を挙げた。イチオシとしては,オリジナル作品である『ワンダーエッグ・プライオリティ』を挙げる。ほとんど情報のない謎の作品だが,野島伸司とPVの映像に期待をかけることにする。

次点として,『バック・アロウ』『BEASTARS(第2期)』『裏世界ピクニック』を挙げておこう。

ちなみに,いつもご覧頂いている方はお気づきかもしれないが,本記事ではどちらかと言うとマンガやラノベ原作のアニメよりも,オリジナルアニメを優先していることをお断りしておく。