- 2019秋アニメ振返り
- 異種族レビュアーズ
- 痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
- ID: INVADED イド:インヴェイデッド
- 映像研には手を出すな!
- 空挺ドラゴンズ
- ドロヘドロ
- 22/7
- pet
- マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
- 2020年冬アニメのイチオシは…
2019秋アニメ振返り
2019年秋アニメでは,『PSYCHO-PASS 3』や『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』などのビッグタイトルがやや出力不足で物足りない印象がある。もちろん,“続編製作は常に難しい”という命題が呪いのように制作陣を悩ませているということもあるだろうが,『ちはやふる 3』のようにシリーズ3作目にも関わらず十分健闘している作品もある。上掲2作品には,ぜひ残りの話数を期待したいところだ。
一方,今クールは『バビロン』『BEASTARS』『星合いの空』といった“心の暗部”を丁寧に(あるいは大胆に)描いた作品が大健闘したことが特徴的だった。
とりわけ『バビロン』は原作の緻密な描写を大胆に省略しながらも,驚くべき演出の妙によって視聴者の度肝を抜いた作品となった。第7話「最悪」は文字通りアニメ史上最悪の展開で終わり,第8話「希望」は12月30日放送という異例のスケジュールとなったが,この独特の見せ方も視聴者の感情を揺さぶる効果があって面白い。
『BEASTARS』は動物の習性を人間社会にカリカチュアした“リアル『けものフレンズ』”といった風の作品だが,制作オレンジのハイクオリティな3DCGと声優陣の卓越した演技により,濃厚で見応えのある作品となっている。
『星合いの空』は,PVでの“中学生部活もの”という爽やかイメージをいい意味で裏切り,計算された演出によって主人公たちの心の闇を丁寧に描いた良作だ。とりわけ構図やカメラワークなどは見事という他ない。
ちなみに当ブログの記事「〇〇年〇アニメは何を観る?」シリーズでは,僕がイチオシと判断した作品のキービジュアルをアイキャッチにしているのだが,この『星合いの空』を含め,今のところすべて外れていないのが自慢だ。
それでは以下,次クール期待のアニメを五十音順に紹介したいと思う。
異種族レビュアーズ
- 原作:天原
- 作画:masha
- 監督:小川優樹
- シリーズ構成:筆安一幸
- キャラクターデザイン:うのまこと
- 制作:パッショーネ
いきなりエロ系だが,従来の異世界ファンタジーの世界観を“異世界風俗モノ”という設定で崩してくるのはなかなか興味深い。そして何より,超巨乳の女性キャラのビジュアルが「宇崎ちゃん騒動」に喧嘩を売って…もとい,問題提起をしているようで面白い。ひょっとしたら傑作になるかもしれない。僕は未読だが,天原の原作コミックの人気も高いようだ。
『少女終末旅行』(2017年),『転生したらスライムだった件』(2018年)などの筆安一幸がシリーズ構成を担当するのも注目ポイントだ。
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
- 原作:夕蜜柑
- キャラクター原案:狐印
- 監督:大沼心,湊未來
- シリーズ構成:志茂文彦
- キャラクターデザイン・総作画監督:平田和也
- アニメーション制作:SILVER LINK.
TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』ティザーPV
どこかのデミサーヴァントのスピンオフのような印象の作品だが,『AIR』(2005年),『Kanon』(2006-2007年),『CLANNAD』(2007-2008年)など,Keyブランドのゲーム原作,京都アニメーション制作の作品に多く携わった志茂文彦がシリーズ構成を務めるのがポイント。PVからも心地よい作画に仕上がっているのが伺える。
ID: INVADED イド:インヴェイデッド
- 監督:あおきえい
- 脚本:舞城王太郎
- キャラクター原案:小玉有起
- キャラクターデザイン:碇谷敦
- メインアニメーター:又賀大介
- アニメーター:清水慶太、浅利歩惟,豆塚あす香,井川典恵,河合桃子
ID:INVADED イド:インヴェイデッド Official Trailer 01
『Fate/Zero』(2011-2012年)などのあおきえいが監督,小説『阿修羅ガール』(2003年)などの舞城王太郎が脚本を務めるオリジナル作品とあっては,観るなという方が無理というものである。公式からの情報はまだ少ないが,「SFミステリ」というカテゴリらしい。PVからは美麗で豪奢な世界観が伺える。最近方々から引っ張りだこの津田健次郎と細谷佳正の演技にも期待したい。
映像研には手を出すな!
- 原作:大童澄瞳
- 監督・シリーズ構成:湯浅政明
- キャラクターデザイン:浅野直之
- 制作:サイエンスSARU
大童澄瞳の同名コミックスが原作。『四畳半神話大系』(2010年),『夜明け告げるルーのうた』(2017年),『DEVILMAN crybaby』(2018年)の湯浅政明が監督,彼の率いるサイエンスSARUが制作とあれば,そのクオリティはすでに保証されている。僕は原作未読jだが,同じくアニメ制作の現場を描いた『SHIROBAKO』(2014-2015年)がリアル志向のアニメだったとすれば,本作はそれよりもアドベンチャー風味(?)の強い作品になりそうだ。両者の比較をするのも面白いかもしれない。
空挺ドラゴンズ
- 原作:桑原太矩
- 監督:吉平"Tady"直弘
- シリーズ構成・脚本:上江洲 誠
- キャラクターデザイン:小谷杏子
- 音響監督:岩浪美和
- 制作:ポリゴン・ピクチュアズ
【2020.1.8放送開始】TVアニメ「空挺ドラゴンズ」“龍の尾身ステーキサンド”飯テロシーン
本クールの「+Ultra」枠作品。『シドニアの騎士 第九惑星戦役』(2015年)で副監督を務めた吉平"Tady"直弘が監督。制作はやはり『シドニア』シリーズのポリゴン・ピクチュアズである。正直,この辺りの座組では『シドニア』の続編を制作して欲しいところなのだが,諸事情あるのだろう。『暗殺教室』(2015年),『この素晴らしい世界に祝福を!』(2015-2016年)などの上江洲誠がシリーズ構成を務めるのもポイント。
ドロヘドロ
- 原作:林田球
- 監督:林祐一郎
- シリーズ構成:瀬古浩司
- キャラクターデザイン:岸友洋
- 制作:MAPPA
林田球の同名コミックスが原作。「魔法によって顔をトカゲにされてしまった記憶喪失の男,カイマン。本当の顔と記憶を取り戻すため,相棒のニカイドウと一緒に自分に魔法をかけた魔法使いを探し続ける」ータイトルとこの設定からしてすでに独特な匂いを放つ作品のようだが,PVを見るとさらにその異様さがわかる。文字通りカオスな世界観のようだ。
監督は『賭ケグルイ』(2017)などの林祐一郎。脚本は『進撃の巨人』(2013年-),『残響のテロル』(2014年),『甲鉄城のカバネリ』(2016年)などの瀬古浩司。力強い布陣だ。
22/7
- 総合プロデューサー:秋元康
- キャラクターデザイン原案:カントク/岸田メル/QP:flapper(小原トメ太さくら小春)/黒星紅白/こやまひろかず(TYPE-MOON)/田中将賀/細居美恵子/堀口悠紀子/深崎暮人/渡辺明夫
- キャラクターデザイン:堀口悠紀子
- 監督:阿保孝雄
- シリーズ構成:宮島礼吏/永井千晶
- アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督:まじろ
- 総作画監督:田村里美/髙田晃
- 制作:A-1 Pictures
秋元康がプロデュースするデジタルアイドルグループ「22/7」だが,キャラクターデザインを『けいおん!』(2009年),『HELLO WORLD』(2019年)などの堀口悠紀子が担当しているのが一番の注目ポイント。原案も岸田メル,黒星紅白,こやまひろかず,田中将賀,深崎暮人,渡辺明夫など錚々たるメンバーである。『HELLO WORLD』の「一行瑠璃」にやられてしまった人は必見だろう。
pet
- 原作:三宅乱丈「ペット リマスター・エディション」
- 監督:大森貴弘
- シリーズ構成:村井さだゆき
- キャラクターデザイン:羽山淳一
- 制作:ジェノスタジオ
- 製作:ツインエンジン
TVアニメ「pet」第3弾PV(EDテーマ「image _____」眩暈SIREN)
「人の脳内に潜り込み,記憶を操る能力を持つ者達がいた。人は恐れ,蔑み,彼らを『pet』と呼ぶ」(公式HP「INTRODUCTION」より)。これまた設定からしてすでに傑作の予感がする。近年,『甲鉄城のカバネリ』(2016年),『どろろ』(2019年),『バビロン』(2019年)など,山本幸治率いるツインエンジン製作のアニメが快進撃を続けている。本作も『バビロン』に次ぐ“怪作”となるかもしれない。
マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
- 原作:Magica Quartet
- 総監督・シリーズ構成:劇団イヌカレー(泥犬)
- メインキャラクター原案:蒼樹うめ
- キャラクターデザイン・総作画監督:谷口淳一郎
- 総作画監督:杉山延寛,山村洋貴
- アニメーションスーパーバイザー:新房昭之
- 制作:シャフト
TVアニメ「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」第2弾PV
同名のスマートフォン向けRPGが原作であり,ストーリーとしては『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)の外伝的位置づけである。『まどマギ』で「異空間設計」を担当し,『マギレコ』でも魔女の原案を担当した劇団イヌカレーが総監督とシリーズ構成を務める他,キャラクター原案の蒼樹うめ,キャラクターデザインの谷口淳一郎,制作のシャフトと,“まどマギ同窓会”のような座組が話題性十分の作品だ。虚淵玄のような濃厚な“鬱展開”は望めないだろうが,これだけの布陣には否が応でも期待が高まる。
2020年冬アニメのイチオシは…
現時点での注目アニメは以上だ。2020年冬アニメのイチオシは『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』としたい。『ドロヘドロ』『pet』とも悩んだのだが,ここはひとつオリジナルアニメに期待するとしよう。
おそらく2020年も劇場アニメラッシュが継続し,業界はTVシリーズアニメと劇場アニメのバランスの模索を続けていくことになるだろう。いずれにせよ,どちらも見逃せない作品が次々と制作されていくに違いない。
来年の話をしすぎると鬼舞辻無惨が笑うかもしれないが,おそらく我らが鬼殺隊の面々があの胸糞の悪いしたり顔を打ち砕いてくれる日も間近だろう。
来年がアニメファンにとって良き年になりますよう。