アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2023年 冬アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

 

2023年冬アニメもほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により,一部の作品は放送延期の憂き目をみているが,ひとまずここまでの段階で目立った作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)要注目作品をいくつか取り上げる。

なお「2023年 冬アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを水色にしてある。

 www.otalog.jp

 

1 『うる星やつら』

uy-allstars.com

【コメント】
“昭和感”を再現しながらも,決して古臭さを感じさせない絶妙な作画と演出。ラムというキャラ,そして“るーみっくわーるど”普遍的な魅力を再認識させてくれる良作である。上坂すみれを始めとする新バージョンの声優陣の貢献度も非常に高い。特にテン役の悠木碧は,旧TV版とは違ったキャラ解釈をしており,本作に新鮮な味わいを加味している。

 

2 『大雪海のカイナ』

ooyukiumi.net

【コメント】
世界観やキャラクターはジブリ作品のそれとよく似ているが,多重的な世界構造とその相互の邂逅という弐瓶勉らしい世界観がよく出た作品でもある。描き込まれた美術,そこに馴染むキャラクターデザインなど,作画面での作り込みもレベルが高く,『シドニアの騎士』(2014年)からのポリゴン・ピクチュアズの進化を窺い知ることができる。

 

3 『お兄ちゃんはおしまい!』

onimai.jp

表面的には“ちょいエロTRFアニメ”という装いながら,魅力的なキャラ造形や繊細な芝居によって,深みのあるアニメに仕上がっている。特に,丁寧にアニメートされたキャラクターの所作は,“日常系アニメ”としての本作の魅力を倍増している。演出家の個性が比較的はっきりと出るため,各話の演出の違いを観るのも楽しい。

www.otalog.jp

www.otalog.jp

 

4 『吸血鬼すぐ死ぬ 2』

sugushinu-anime.jp

【コメント】
無印にも増してテンションの高いギャグは,やや押し付けがましい感じもするが,押し付けがましいギャグこそがこの作品の醍醐味に違いない。このノリを定着させつつ,かつマンネリに陥ることがなければ,長く楽しめる作品になるだろう。なお,「2」では伊瀬茉莉也演じるサンズのキャラが面白い。

 

5 『TRIGUN STAMPEDE』

trigun-anime.com

【コメント】
魅力的なキャラ(クター)と物語,スタイリッシュなアクション,エモーショナルな演出,美しい美術と音楽,声優陣の卓越した演技,ハイクオリティの3DCG描画。
どれをとっても最高レベルのアニメである。上述した『大雪海のカイナ』と併せて,日本の3DCGアニメの水準の高さを窺い知ることのできる傑作だ。

 

6. 『Buddy Daddies』

buddy-animeproject.com

【コメント】
ノンケ男性同士の“両親”と拾い子という特殊な擬似家族設定に加え,ミリというキャラの可愛さが炸裂した魅力的なコメディアニメ。当初の予想とは違い,擬似家族の側面を丁寧に描写することにより,殺し屋としての「バディ」よりも,親(パパ)としての「バディ」を前面に押し出した点も評価できる。今期のオリジナルアニメの中でも有望株と言える。

 

7. 『 便利屋斎藤さん,異世界に行く』

saitou-anime.com

【コメント】

設定そのものは典型的な“異世界転生モノ”ながら,数多くの個性的なキャラと,それをうまく捌いた脚本力によって,不思議な魅力を放つ作品に仕上がっている。ギャグとシリアスのバランスもよい。サイトウ役の木村良平の穏やかなテノールが,作品全体を上品な雰囲気にまとめているのも高評価だ。

 

以上,「アニ録ブログ」が注目する2023年冬アニメ7作品を挙げた。今回は「何を観る?」の記事でピックアップしなかった作品が多い。つまり“予想を外した”ということなのだが,言い訳めいたことを言えば,予想が外れて,いわゆる“ダークホース”を楽しむことができるのもTVシリーズアニメの醍醐味だろう。最終的なランキング記事は,全作品の放映終了後に掲載する予定である。