アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2021年 春アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

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『オッドタクシー』公式HPより引用 ©︎P.I.C.S./小戸川交通パートナーズ

すでに夏クールアニメの放送も始まっているが,今回の記事では,2021年春アニメの中から特にレベルの高かった5作品をランキング形式で振り返ってみようと思う。なお,以前掲載した「2021年春アニメ 中間報告」からランキングが変化した作品もある。

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5位:『ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉』

godzilla-sp.jp

最も評価されるべき点は,ボンズ×オレンジのアニメーションだろう。手描きと3DCGとの馴染ませ方が独特かつ自然で,TVアニメとしてはかつてないレベルの映像体験を提供してくれた。こうしてアニメーションの表現の可能性が広がっていく様を現在進行形で目にすることができるのは,それだけでも十分に楽しい。それに加え,円城塔の硬派な脚本が物語としての格をグッと高めていた。ただし,やや難解にすぎる用語や説明のせいで“謎が解けた”という快感があまり得られず,人を選ぶ結末になったことは否めない。

4位:『Vivy -Fluorite Eye's Song-』

vivy-portal.com

純度の高いSF設定と世界観の上にまるで演歌のような情緒を乗せつつ,迫力のアクションとBGMで視聴者を惹きつけた見事な脚本。語ることと魅せることのバランスがとてもうまい作品だった。脚本を手がけたのは長月達平と梅原英司の“リゼロ”コンビだが,ラノベ原作に合わせ長期的に展開している『リゼロ』と比べ,13話の中に緩急がコンパクトに収められている。同じ脚本家による異なる傾向の作品として,両者を比較してみるのも面白いだろう。  

3位:『SSSS.DYNAZENON』

dynazenon.net

『ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉』が“叙事詩的怪獣アニメ”だとすれば,『SSSS.DYNAZENON』は“叙情詩的怪獣アニメ”とでも言うべきだろう。間をたっぷりと使ったセリフ回しや繊細な表情や目線の動きなどによって登場キャラクターの心情を豊かに伝えつつ,怪獣の存在要件に人の「感情」や「情動」というものを設定することで,叙情性を物語のそのものの中に組み入れるという秀逸な脚本が面白い。また,“戦隊モノ”という,前作『SSSS.GRIDMAN』と異なる要素を取り入れる一方で,アンチと2代目(アニシラス)を登場させることで前作との連続性を示し,ファンを楽しませた点も評価できる。「GRIDMAN UNIVERSE」の今後の展開も期待が高まる。

2位:『不滅のあなたへ』

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“命”という原作のテーマを真摯なアニメーションによって丁寧に伝えた『不滅のあなたへ』。原作に忠実な作りを基本としながらも,要所のオリジナル演出,的確な音響,個性的な声優の演技によって,原作のテーマをより豊かに伝えることに成功したと言えるだろう。特に#12「目覚め」におけるグーグーとリーンの物語は多くの視聴者を感動させた。今後“超展開”を迎えていく原作をアニメがどう表現していくか見ものである。

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1位:『オッドタクシー』

oddtaxi.jp

比較的淡々と語られる前半に対し,後半の話数ではヤノというキャラクターの登場によって物語が転調し,ラストは驚きの“どんでん返し”を迎えた『オッドタクシー』。最後まで隙のない緻密な物語と軽妙なセリフ回しが本作の最大の魅力だが,それらは此元和津也の優れた脚本力によるところが大きい。また,丸みを帯びた動物キャラとシリアスな物語とを破綻なく整合させた木下麦の手腕も高い評価に値する。本作によって,木下麦と此元和津也はアニメ制作者としての名を馳せることになるだろう。本作を当該クールの第1位としたい。

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● その他の鑑賞済み作品(50音順)

『さよなら私のクラマー』『シャドーハウス』『スーパーカブ』『戦闘員,派遣します!』『ゾンビランドサガ リベンジ』『バック・アロウ2期』『美少年探偵団』
 

以上,当ブログが注目した2021年春アニメ5作品を挙げてみた。はたして夏クールには,これらを超える作品が現れるだろうか。夏アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。

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