アニ録ブログ

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメとマンガを中心としたカルチャー雑記。

2023年 夏アニメランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

殺人的な残暑がようやく終わり,2023年夏アニメもほぼすべての作品が放送を終えた。今回の記事では,恒例通り2023年夏アニメの中から,当ブログが特にレベルが高いと判断した9作品をランキング形式で振り返ってみよう(今回は「中間評価」の記事では挙げなかった作品がランクインしている)。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。

www.otalog.jp

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9位:『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』

zom100.com

【コメント】
第9話までで放送が中断されたため,インパクトが薄れてしまったことが悔やまれる。本記事掲載時点(2023年10月14日)では第10話以降の放送予定も発表されていない。しかし,色彩設計を中心とした本作の表現力の高さは,そうした瑕疵を差し引いても高く評価されるべきだろう。今後の放送分にも期待したいところだ。

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8位:『いきものさん』

www.toei-anim.co.jp

【コメント】
シンプルな線描だが,キャラの存在感を強く感じさせる。セリフもほとんどない,シュールな世界観だが,ある種の物語性がある。わずか1分半ほどの超短尺の中に,アニメーションというものの楽しさを凝縮した良作だった。近年の深夜枠のショートアニメには,この類のユニークな作品が少なからず見られる。日本のアニメ表現の多様性を支えているのは,実はこの手の作品かもしれない。アニメファンとして,こうした作品を見逃す手はないだろう。

 

7位:『AIの遺電子』

ai-no-idenshi.com

【コメント】
当ブログでも話題にすることの多い〈AIと人〉というテーマを掘り下げた作品。人,ヒューマノイド,AI,ロボットと,“人間的存在”がすでに多様化した世界観の中で,人の心の有り様を問うている。非常に多くのことを考えさせくれる作品だ。AIがAGI(汎用人工知能)の開発が猛スピードで進められる中,僕らは“人と似た他者”と付き合う世界を想像しなければならないのかもしれない。

 

6位:『わたしの幸せな結婚』

watakon-anime.com

【コメント】
小出卓史による第六話「決意と雷鳴」を境に,それまですべてに受動的だった美世が見せた“強さ”。“化け物”と称されるほどの強者だった清霞が見せた“弱さ”。第十二話(最終話)「暗闇の中の光」では美世と清霞の庇護の関係を逆転させ,“救う美世”と“救われる清霞”の姿を見せつつ,運命から強制されたそれではない,本当の意味でのプロポーズシーンで大団円を迎えた。非常に優れたシリーズ構成だったと言えるだろう。すでに第二期の制作が決定している。今後も期待しよう。

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5位:『アンデッドガール・マーダーファルス』

undeadgirl.jp

【コメント】
スタイリッシュな演出,魅力的な作画,輪堂鴉夜(黒沢ともよ)真打津軽役(八代拓)の軽妙な掛け合い。クールだった馳井静句が,後半の話数でヒューマンな面を垣間見せたのも面白い展開だった。ミステリーとしての謎解き要素ももちろん面白かったが,総じてアニメ化による付加価値の高かった作品と言えるだろう。制作会社ラパントラックの代表作の一つとなるのではないだろうか。

 

4位:『デキる猫は今日も憂鬱』

dekineko-anime.com

【コメント】
「中間評価」では挙げていなかったが,途中の話数でそのクオリティの高さに気づき,急遽ランクインさせた。魅力的なキャラデザとほのぼのとした物語は,僕のような猫好きでなくとも間違いなく惹かれるだろう。そしてこの作品で何より際立っていたのは,制作会社GoHandsのユニークなアニメーションだ。GoHandsと言うと,その独特な色彩や強烈なパースに好き嫌いが分かれることもあるが,本作ではむしろその個性が原作の個性と絶妙にマッチしていたと言える。GoHandsのようなユニークな制作会社がそのプレゼンスを増していくことは,日本のアニメ表現の多様性を確保することにもつながる。今後の作品にも注目していきたい。

 

3位:『幻日のヨハネ』

yohane.net

【コメント】
既存キャラを別の世界観で“リサイクル”するという秀逸なアイデア,並びにそのキャラの魅力を作画・演出面で支えた技術力に感服する。ストーリーやメッセージそのものはシンプルながら,この絶対的なキャラの“強度”そのものが本作最大の魅力となった。あるいは,ストーリーやメッセージの点で気を衒わなかったからこそ,キャラの魅力が際立ったと言えるかもしれない。アニメ作品において,キャラメイクがいかに重要かを改めて実感させてくれる作品だったと思う。OPのアニメーションと主題歌の完成度も高く,本編を綺麗に彩っていたのも高評価に値する。

 

2位:『ホリミヤ -piece-』

horimiya-anime.com

【コメント】
学園ラブコメというよりは,シチュエーションコメディのような賑やかさ。魅力的なキャラと演出。声優陣の伸び伸びとした演技。そしてそれらに爽やかな風味を加味したOPアニメーション。多くの点で高い表現力が光った傑作だった。Twitterでもほぼ毎話,感想をツイートしていた記憶がある。最終話の仕上がりも素晴らしく,少し悲しい“if”の世界を挿入しつつ堀さんと宮村くんの“運命”の強さを際立たせた点は,最終話らしいドラマ性があってよかった。また“髪型”の変化でラストを締め括ったのも,本作らしい瑞々しいオシャレ感が出ていてたいへん好印象だった。

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1位:『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』

『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』「#29 玉折」より引用 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

jujutsukaisen.jp

【コメント】
五条悟と夏油傑の青春,天内理子を巡る悲哀,伏黒甚爾の脅威,覚醒,そして確執。これらの“ヒューマン”な物語が,デフォルメ顔や漫符などを多用した温もりのある演出や目の覚めるような緻密な作画によって印象深いアニメーションとなり,その後の「渋谷事変」の地獄のような物語ときれいなコントラストを成す。朴性厚から監督を引き継いだ御所園翔太は,自らの個性も発揮しつつ,この偉業を存分に成し遂げた。監督交代が告知された時点では幾ばくかの不安があったことも確かだが,結果として杞憂にすぎなかった。羊文学の「more than words」を主題歌とするEDアニメーションも素晴らしく,本編では語られることの少ない,虎杖・伏黒・釘崎らの青春の風景を写し出している。個人的には,これまでのMAPPA作品の中でも最大限の賛辞を贈りたいとすら思う。現在放送中の「渋谷事変」の今後の話数にも期待しよう。

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● その他の鑑賞済み作品(50音順)

『AYAKA-あやか-』『ギヴン』(再放送)『SYNDUALITY Noir』『スパイ教室』『ダークギャザリング』『無職転生Ⅱ~異世界行ったら本気だす~』『ライザのアトリエ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』

 

以上,当ブログが注目した2023年夏アニメ9作品を紹介した。

今回は1位の『呪術廻戦』と2位の『ホリミヤ』の順位に悩んだ。前クールの『スキップとローファー』と『天国大魔境』の場合もそうだったが,まったく違う方向性やテイストの作品に甲乙をつけるのはとにかく難しい。今回は御所園監督の鮮やかな演出術を高く評価して,最終的に『呪術廻戦』に軍配を上げた次第である。

2023年秋アニメのおすすめに関しては以下の記事を参照頂きたい。 

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