アニ録ブログ

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2023年 TVアニメ話数ランキング[おすすめアニメ]

*この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。

今回の記事では,2023年に放送されたTVアニメの中から特に優れた話数を作品横断的に選び,ランキング形式で紹介したいと思う。原作に“解釈”を施し大胆に再構成したもの,逆に原作に忠実でありながら原作の持ち味をブーストしたもの,演出担当の個性を前面に押し出したものなど,どれも見応えのある話数である。各話数に関するレビュー記事も併せてご覧いただければ幸いである。

それぞれのタイトルは,水色=冬アニメ桃色=春アニメ赤色=夏アニメ茶色=秋アニメのように色分けしてある。

 

8位:『お兄ちゃんはおしまい!』 第2話

「#02. まひろと女の子の日」より引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「#02. まひろと女の子の日」
ユニークなカメラワークによって,〈日常感〉と〈ファンタジー感〉を両立させた優れた話数。第2話という早い話数の段階で,本作が“作画アニメ”系であることを印象付けたことにより,コアなアニメファンを取り込む結果になったのではないかと考えられる。

「#02. まひろと女の子の日」より引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会

【スタッフ】
脚本:横手美智子/絵コンテ・演出:伊礼えり/総作画監督:今村亮/総作画監督補佐:ヘイン/作画監督:山﨑匠馬/作画監督補佐:内田百香五藤有樹株式会社マカリア),西野佳佑mockingbird

【レビュー記事】

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7位:『呪術廻戦 渋谷事変』 第37話

「#37 赫鱗」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「#37 赫鱗」
標識,地下通路,ピクトグラムなど,都市=渋谷というトポスを巧みに用いた優れた話数。渋谷はもはや単なる“背景”ではなく,キャラと同期し,キャラの行動を条件づける,もう1つの“キャラ”として存在している。第41話における渋谷大破壊の序章として観ると感慨深いものがある。

「#37 赫鱗」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

【スタッフ】
脚本:
瀬古浩司/絵コンテ・演出:荒井和人砂小原巧/演出協力:青木youイチロー/総作画監督:矢島陽介森光恵

【レビュー記事】

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6位:『薬屋のひとりごと』第4話

「#4 恫喝」より引用 ©︎日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「#4 恫喝」
猫猫の毒味カットや“手”の繊細な芝居が光る名話数。ちなの演出ともああんの作監によって,他の話数とは明らかに異なる存在感を持ったユニークな話数となった。それだけにやや玄人好みの話数でもあったが,当ブログとしてはこの手の演出を積極的に推していきたい。

「#4 恫喝」より引用 ©︎日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

【スタッフ】
脚本:柿原優子/絵コンテ・演出:ちな/総作画監督:中谷友紀子/作監:もああん

【レビュー記事】

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5位:『天国大魔境』第10話

『天国大魔境』「〈#10〉壁の町」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「〈#10〉壁の町」
大胆なデフォルメ,巧みなカメラワーク,効果的な止め絵など,多彩な技が繰り出された名話数。他の話数と作風が異質であると同時に,この話数ないでもシーン毎に異質な作風の作画が混在している。今年最も話数担当の裁量に委ねられた話数と言えるかもしれない。

『天国大魔境』「〈#10〉壁の町」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

【スタッフ】
脚本:窪山阿佐子/絵コンテ・演出:五十嵐海/作画監督:竹内哲也

【レビュー記事】

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4位:『スキップとローファー』第9話

『スキップとローファー』第9話「トロトロ ルンルン」より引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会

【コメント】
正式タイトル:第9話「トロトロ ルンルン」
劇伴やセリフを一切排した帰郷シーン,パストラルな田舎の風景,それと対照的な仄暗い心情など,繊細で豊かな演出が光った名話数。特に「スイカ」のシーンは,環境音とスイカを齧る「シャク」という音だけで,主人公みつみの穏やかな内面を伝えた名シーンだ。

『スキップとローファー』第9話「トロトロ ルンルン」より引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会

【スタッフ】
脚本:日高勝郎/画コンテ・演出:本間修/総作画監督:井川麗奈作画監督:井上裕亮迫江沙羅小笠原憂田中沙希齊藤和也田中彩

 【レビュー記事】

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3位:『葬送のフリーレン』第1話

第1話「冒険の終わり」より引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「冒険の終わり」
空の青を余白として用いつつ,細やかな芝居,Evan Callの楽曲,声優陣の演技の穏やかな音響情報によって,本作のゆったりとした時間感覚を伝えた名演出。透徹した青空とフリーレンの“涙”を重ねたカットもとても美しく仕上がっている。

第1話「冒険の終わり」より引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

【スタッフ】
脚本:鈴木智尋/絵コンテ:斎藤圭一郎/演出:辻彩夏/作画監督:長澤礼子

【レビュー記事】

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2位:『呪術廻戦 渋谷事変』第41話

「#41 霹靂-弍-」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「#41 霹靂-弐-」
アニメオリジナルの解釈をふんだんに盛り込みながら,膨大なエネルギーによる都市トポスの徹底的な〈破壊〉と〈生きんとする意志〉を描いた話数。土上いつき,伍柏諭,山崎晴美の個性を存分に活かした,極めてユニークな傑作話数である。

「#41 霹靂-弍-」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

【スタッフ】
脚本:瀬古浩司/絵コンテ・演出:土上いつき伍柏諭山崎晴美/作画監督:山﨑爽太矢島陽介石井百合子青木一紀

【レビュー記事】

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1位:『天国大魔境』第8話

『天国大魔境』「〈#08〉それぞれの選択」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

【コメント】
正式タイトル:「〈#8〉それぞれの選択」
光と影,青と赤,暴殺と尊厳死。原作では意図的にサブエピソードとして扱われていた「宇佐美」と「彼女」の別れを,アニメでは情感たっぷりに描きこんでいる。今期最も美しいアニオリと言っても過言ではないだろう。

『天国大魔境』「〈#08〉それぞれの選択」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

【スタッフ】
脚本:窪山阿佐子/絵コンテ:藤田春香/演出:仲野良/作画監督:富坂真帆奥谷花奈澤田英彦小林冴子廣江啓輔永野裕大ゼロ柴田海

【レビュー記事】

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以上,2023年TVアニメ話数の中から,8作品を挙げた。この記事を参考に,改めて各作品を再鑑賞していただければ幸いである。

 

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